この世のどこかにあるという「酒の湧く竹林」を探しに行ってみた①:竹の中の酒を飲んでみたい!!(動画あり)

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先日、以下のようなツイートがバズったのを覚えていらっしゃる方もいるかと思います。

竹林に、酒が、湧いてる……!?
なんでしょうかその夢のある話は。これは何とか自分でも見つけてみたい。そして思うさま酒を飲み倒したい。

そしてあくる朝、ぼくは友人宅の竹林の前に立っていたのです。

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なぜ竹に酒が溜まるのか

今回快く竹林を貸してくれたのは、田舎サバイバル実践家の永野太郎さん。彼の家の裏にはモウソウチクの竹林が、また近所には彼が管理を手伝っているマダケ・ハチクの竹林があり、そこで酒の湧く竹を探させてくれることになりました。

季節にそぐわない大雨が降った翌日で、透き通ったような大空が広がっています。


しかし、本当にかぐや姫よろしく酒が詰まっているような酒は存在しているのでしょうか。
永野さんに聞いてみると「自分も一回だけ見たことがある」とのこと! 
竹の樹液(篩管液)はかなり高い糖度を帯びており、また竹の表面には酵母がたくさん付着しています。そのため、竹の樹液にその酵母がつくことで発酵が起こり、酒と化すことがあるのだそう。


一方で、長らく竹林の管理をしている永野さんでも「一回だけ」しか見たことがないということは、出会うのはなかなか難しいのではないかということも推測されます。
考えてみれば「何らかの理由により樹液が節の中にたまり」「それが人知れず発酵され」「切り倒した竹にそれが入っている」という3つの偶然が重ならないと出会えないため、普通に考えたらかなりの幸運が必要でしょう。ただ酒を得るのはいつだって困難が伴います。

竹の酒を探してみた

それでも、やっぱり出会ってみたい! 
というわけで、怪しい竹を片っ端から切っていき、中身を確認していくことにしました。

怪しい竹と言われても、竹の節の中に酒が溜まっているかどうかは外見からはまずわかりません。そこで使うのはトンカチ
これで竹の節をトンカントンカン叩いていき、音が違う節を見つけたらその竹を切り倒してみるのです。

酒が節の中に溜まっていれば、その節をたたいた時にちょっとくぐもった音がするはず。
非常に地味な作業で、かつ確認可能な節は全体のうちごくわずかですが、これ以外に方法がないので止むをえません。


最初の30分は正直、何の手掛かりも得られませんでした。節の長さや竹の分厚さが一つ一つ異なるうえ、叩く場所が節の中心から少しでもずれると、仮に中が空っぽでも詰まったような音がするのです。
そのため無駄に何本も切り倒してしまいました。永野さんは「どうせ管理のためには切らないといけない竹だから」と言ってはくれるのですが、罪悪感が湧き出します。


それでも頑張って竹を叩き、切り続けていると、ついに1本だけ違和感のある竹を見つけました。

切り倒して、節を根寄りから順に叩いていくと

「カンカン」「カンカン」「ボンボン」「カンカン」「ボンボン」

というように、いくつかの節でくぐもった音がするのです。
怪しい節を切り出し、手で持って揺らしてみると

「チャポンチャポン」

という音が! 明らかに何かの液体が竹の節に溜まっています。
ということは……ということは!!

心躍らせながらドリルで穴をあけてみると

液体が噴出!
コップをあてがい、竹から出てくる液を集めます。


この竹は葉を茂らせた生きている竹で、節には穴も開いておらず外部から水が入った形跡はありません。この液は間違いなく、竹の内部からしみだしてきたものなのです。


集まった液体がこちら。やや緑がかったきれいな色合いで、アブサンみたいな見た目です。さわやかな香りがあります。
これは期待大! 早速いただいてみましょう。いただきまーす

……Σ(`×👅×´)ゲェーッ
まじゅい……すごいまじゅい……
香りはさわやかですが、口の中に入れると「竹の葉をすりつぶした汁」みたいなひたすら青臭い味がします。
これはまさに竹のエキスそのもの。これで喜ぶのはパンダぐらいでしょう。

竹の樹液は糖度3~5%ほどになることがあるといいますが、この汁から甘みを感じることはできません。発酵しているかどうかも正直わからない。
どうやら、前日降った雨を竹が猛烈に吸い上げた結果、竹の節の中にあふれ出てしまったようです。
竹の酵母は非常に強力だと聞きますが、それでも1日で発酵するというわけにはいかないでしょう。残念。。、


永野さんによると「伐採した竹から染み出した樹液が、酵母によって発酵し切り株に溜まる」という例はもう少しよく見かけるそう。そのため、樹液をよく噴出する親竹(竹は地下茎により増えるので、竹林の中にはいくつかの親竹とそのクローンである子竹の集合体となっている)を伐採し、樹液が噴出するのを待ち、さらにそれが発酵するのを待てば、竹酒に出会える可能性はより大きくなるといいます。でもそこまで待つのはいろいろ困難だし、空気に触れることで腐敗が起こる懸念もあります。

そして何よりそれが「醸造行為」と判断されたら酒税法に違反してしまう。
あくまで「竹の中に溜まった酒を見つけて飲む」という行為がしたいんですよワイは……というわけで、“天然の”竹酒を飲むのはまた次の機会にしようと思います。
今回は「人造竹酒」で我慢することにしよう……

To be continued…

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コメント

  1. 雄町 より:

    竹の中に溜まった酒を飲む、ということができる可能性の一つとして、台風等の影響で、塩害で、蒸散が阻害された場合があります。
    ちなみに、節を抜いた竹を適当な長さに切って、火であぶると、水が滴り落ちてきますが、これは竹瀝という、立派な生薬でもあります。
    淡竹や孟宗竹など、竹の種類によって、異なる味がします。

  2. RON より:

    昔見たことがあるけど、すんごい泡立つと言うか…白い泡がいっぱい出てフワフワしていた。そしてすごい甘いにおいがしていて…めっちゃ虫にたかられてた…正直飲むのは勇気がいると思うが…

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