先日、とあるテレビのロケハンをお手伝いしていた際に、ハナウドの群落を見つけました。
ハナウドはセリ科の大型草本で、花茎が伸びると高さ1mほどになります。採るとウドのような香りがあり、花がきれいで目立つのでハナウドと呼ばれますが、ウコギ科に属するウドとは近縁ではありません。
もうちょっと里山とか森の中なんかに生えるものと思い込んでいたので、まさか近所の多摩川河畔で見かけるとは思いませんでした。多分おととしの台風で河川敷の環境が変わり、上流から流されてきた種が芽吹いたのではないかと思います。
ハナウドは酢味噌とめちゃ合う
以前、読者の方からハナウドを送っていただいて食べたことがありますが、その美味しさにびっくりしました。
セリ科の野草はいずれも独特の香りがあり、ものによってはアシタバやセロリのように食べる人を選ぶようなものもあるのですが、このハナウドはちょっとトリッキーな香りがありながらもさわやかで、ぼくの嗜好にはドハマリしたのです。
セロリの香りをもう少しさわやかにして、ちょっとだけ甘味を足したような……
シンプルなお浸しなどではこの香りがクセに感じますが、酢味噌みたいな強めの調味料と合わせると良き個性となりました。
オリーブオイルとの相性もいいので、刻んでパスタの具にするのもよいですね。
聞くところによると、全国的にもこのハナウドを尊ぶのは岡山県の一部地域など限られた場所で、基本的には箸にも棒にもかからない存在のようです。
こんなに美味しいのにな~とも思いつつ、まあライバルがいないというのはたいへん良いことです。存在を知っていて、かつ味が好きという人だけが細々と楽しんでいけばよいと思います。
ハナウドを「アンゼリカ」にしてみた
さて、この度見つけたハナウドはややシーズン遅めだったためか、大きくとうの立った花茎も見かけました。
ここまで大きくなると食べるにはやや繊維質なのですが、今回はこれを使ってやってみたいことがあったので採取しました。
皆様は「アンゼリカ」という食材をご存じでしょうか。ケーキやクッキーの上に乗っかった、きれいな緑色のトッピングがそれです。
あれは日本だとフキを砂糖ににして作ることが多いのですが、本来は「セイヨウトウキ」というセリ科の野草の茎でつくられるものです。このセイヨウトウキとハナウドは属が違うのでそこまで近い存在ではないですが、一方で同じセリ科だけあって香りが似通っています。個人的にはハナウドのほうが万人受けする良い香りだと思いますが。
なのでこのハナウドの茎を砂糖漬けにしたら、より自分好みなアンゼリカにすることができるのではないかと思ったのです。
作り方は簡単で、皮を剥いたハナウドを
砂糖水で煮て、煮詰めてから
さらに砂糖をまぶして乾燥させる、以上!
できました。アンゼリカのように輪切りにしてみましょう。
うーん、茎の壁の厚みが足りないからなんだか九条ネギみたいだなぁ(;´Д`)
まあいいや、味はどうかな。
……(`・~・´)ほぉ、なるほどこういう感じ……
市販のアンゼリカよりだいぶんさわやかというか、香りがさっぱりしていますね。でも悪くないというか、好き。。
透き通った甘い香りで紅茶にもよく合いそうですが、本物のアンゼリカの、ときに薬品臭にも思えるようなこってりした香りとは大きく違います。このまま食べるにはハナウドでもいいけど、お菓子に入れるにはセイヨウトウキくらいパワフルなほうがいいかも。。
ただ、アンゼリカ独特のあのねっちょり歯にくっつく感じはかなり再現できていると思いますw
ハナウドで作ったものを食べると、やっぱりフキ製のものは(まずいわけではないけど)アンゼリカとはいいがたいなぁと思いました。あくまでこれはセリ科の香りであって、フキが属するキク科のそれとは違いますね。
味:★★★☆☆
入手難易度:★★☆☆☆ 土がこんもりして茂みになったようなところを探すと見つかります。この時期は花が良く目立つので探しやすいね
セイヨウトウキは滋養強壮剤にも入れられる有名な生薬で、女性特有の各種体調トラブルにもとてもよく効くそうです。ハナウドももしかしたら効果あるかもね。
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