稚アユ(稚鮎)を釣って初夏を噛み締める①:稚アユの基礎知識と釣り方

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先日、生まれてはじめて「稚アユ釣り」をする機会に恵まれました。

きっかけはコブダイ釣りの師匠のNさんに「仕事で大阪行くんですが、何か今オススメの釣りありませんか」と聞いたところ「今は稚アユ釣りが面白いんじゃない」と言われたこと。関西地方ではこの時期の定番の釣りもののひとつなんですね。

アユの子供ながら、成魚とはまた違う魅力や高い市場価値がある稚アユ。古くから親しまれるこの稚アユの釣りにトライしたくなり、師匠からいろいろ教えてもらいました。

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稚アユとアユは“違う魚”

稚アユは文字通りアユの稚魚なのですが、成魚とはいくつかの点で大きな相違があり、釣りの上では「全く別の魚」と考えたほうがよいです。

まず知っておくべきなのは「アユは基本お金を払えば釣りが可能だけど、稚アユはそういうわけにもいかない」ということ。
海で生まれた稚アユはこの時期になると川をさかのぼり、中流で成魚になるのですが、多くの河川において天然物の遡上に合わせて、琵琶湖から取り寄せた稚アユを放流しています。アユは日本の河川で最も人気のある釣り物なので、その数を増やすべくどこの河川でも放流を行っているのです。

なので漁協にとっては稚アユを釣られると困るわけで、禁漁になっている場合が多いわけですね。川に入る前のアユなら釣ってもいいんだけど(※神奈川や静岡など、川に入る前のアユの捕獲も条例で禁止しているところがあるので注意)、数がまとまらないので狙うのは難しいです。

裏を返せば、漁業権のない川であれば稚アユの放流は行っていないし、釣ってもいいということになります。大阪であれば淀川や分流の大川は問題ないです。師匠いわく「道頓堀でも釣れると思う」とのことですが、地元民誰かトライしてみて。今年タイガースが優勝したらくりふじ氏に食わせたい。


もう一つ知っておきたいのは「食べるものが全く別なので釣り方も別」ということ。
アユの成魚は川底の石につく藻を食べており、そのために餌釣りで狙うことができず、友釣りやコロガシ釣り(引っ掛け釣り)で狙われます。しかし川に入ったばかりの稚アユは動物性のものを食べており、餌釣りで狙うことができます。
高価な道具も特殊なテクニックも必要なく、誰でも気軽に狙うことができるので人気があるわけです。しかし今回やってわかったけど、工夫の余地は目一杯あって、腕の差もめっちゃ出ます。それもまたいいんだよね。

稚アユを釣ってみた

稚アユの釣り方はいわゆる「サビキ釣り」。アジやイワシと同じく、寄せ餌で寄せて空針を食わせます。
関西の釣具屋に行くと仕掛けと餌が丸っと購入できますが、初めての人間には使い方が分からないものもあります。

この螺旋状の道具に寄せ餌を詰めるんだろうな……しかしこのスーパーボールは一体なんだろう……いいや全部買っちゃおう。、
寄せ餌も市販のものを買おうかなと思いましたが、ググると「釜揚げシラスとパン粉をブレンドしたもの」で釣るという人が多かったので、そちらでトライしてみることにしました。稚アユも釜揚げシラス好きなんだな……

結果としてはとても良い判断でした。


ポイントはざっくりと教えてもらっていたのですが、とても広くアユがいる場所の見当がつきません。

仕方なくそれっぽいところで竿を出してみたのですがうんともすんともいかず、なにか手がかりがないかとうろうろしていると、1ヶ所だけやたらと人が集まっている場所がありました。見るからに怪しい。

向かってみると案の定、地元のおいちゃんと思われる人々が楽しげに談笑しながら稚アユを次々と釣り上げていました。
横っちょに入れていただき、見よう見まねで仕掛けを沈めるも……なかなか釣れず。、隣のおいちゃんは1投ごとに5連掛けとかしてるのに……

とここで見かねたのか、一人のおいちゃんが「仕掛け見せてみ!」と声を掛けてくれました。
ぼくの仕掛けを見ると「やっぱりな、今日はこれはあかん、パール付いとるやろ」と一瞬で釣れない理由を看破。
アジなんかもそうですが、日によって「当たり仕掛け」が異なるのがサビキ釣りの常識。ぼくの使っていた仕掛けは針の付け根に真珠のようなビーズがつけられており、これが効果を発揮することもあるけど今日はそうではないとのことでした。

おいちゃんの仕掛けを見せてもらうと、普通の豆アジを釣るためのシンプルな空針、通称「パニックサビキ」でした。これが一番安く、またたくさん釣れることが多いのだそう。


「それから、寄せ餌もちょっとあかんな。ラセンから出とらん」

見てみると、確かにぼくの作った釜揚げシラスとパン粉のミンチは、この螺旋状の寄せ餌かごからなかなか出ていきません。
おいちゃんの寄せ餌は水につけたとたんパッと広がり、あっという間に魚影に囲まれました。

「兄ちゃんのは水分が多すぎるな。パラパラでええんや」
おいちゃんの餌を見せてもらうと、確かにパラパラでほとんど粉状です。この餌はおいちゃんのオリジナルブレンドらしく、材料については教えてもら……えましたwしかも大変快く! この気前の良さが関西の釣り人なんだよなぁ……東扇島西公園の常連のジジイどもに爪の垢を煎じて飲ませたいわ。。

ただ、それをぼくがここで書くのはまた筋違いのような気がするので、止めておきます。基本的にはぼくの使った「シラス干しを潰してパン粉と混ぜたもの」でもちゃんと釣れますしね。
おいちゃんの餌ですが、ヒントは「水分含有量が少ない食材」。ちょっと勘のいい人なら簡単に思い付くでしょうし、そうでなければ緊急事態宣言解除後に直接聞きに行かれたら良いかなと思います。
みんな親切なんで、丁寧に聞けばいくらでも教えてくれますよ。こんな感じで……

「ここは浅いからラセンは下につけた方がええかもな。道糸には目印付けとき。底まで沈めたら5cmくらいシャクって置いとくんや、掛かったら目印がピクピクなるから判るで。慣れてきたらな、ピクピクきてもそのまま放っとくんや、ほんだら他の針にもどんどん掛かってきてこいのぼりみたいになるで。しかし兄ちゃんの竿はここではちと短いな、サブロクか、ここはみんな5.4(m)の渓流竿や。そしたらこの人の隣に入ったらええで、おい○○さんちょっとこの兄ちゃんそこ入れたってや! そこやったら足元でも鮎釣れるで。リール竿やったらウキつけて放り込んでもええな、ウキがピクピクなったらアタリや。おっ兄ちゃん掛かっとるな! そのままちょっと待って追い食いさせなあかん、おしおしよう釣れた、小そうてもよう引くやろ、さすが鮎やで。味もめっちゃええしな、唐揚げしたらビール止まらんわ。ここの釣り場はな、みんないろんな餌使っとるけど、ひとつだけ決まっとるんが『人が食べられるものだけを使う』ってことや。みんな丸ごと揚げて食うからな、人がよう食わんもんワタにはいっとったらいややろ? 食べるときはまず塩をふって揉んでな、ヌメリ落とすねん、ほんで初めて食べる人は腹をぎゅっと押して中身抜くんや、したらあんま苦くない、わしらはもう丸ごと食べるんやけどな……」

そんな感じで無事10匹ほど釣り上げ、さらにおいちゃんにその倍以上お裾分けいただき(持って帰ったらかあちゃんにええ加減にせえと怒られるとのこと)ホクホク気分で帰路につきました。


川崎に持ち帰り早速調理したのですが、長すぎるのでまた次回。。

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野食ハンマープライス

コメント

  1. より:

    子供の頃、山奥に住んでいたおいちゃん達が、よく鮎釣を教えてくれていました。エサはイクラだったような…
    自分がおいちゃんになった現在、全く釣りをしないので、ただの不勉強ですが。今思えば、何故にイクラ?好物で良いのか、鮎達よ。
    鮎釣のエサについて思い出が甦って混乱したので、ググりつつ、そのまま書き込んでいます。すみません。

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