日田の郷土料理「たらおさ」を作ってみた(深海ダラで)

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たらおさ、という料理があります。
九州は大分県・日田という街の郷土料理なのですが、霧島酒造のCMで出てきたので、九州以外にお住まいの方でもご存知かもしれない。

日田は福岡中部の中心都市久留米から、筑後川を頑張ってさかのぼったところにある山奥の街です。
近いようで結構遠く、電車は久大線という無電化単線のローカル線しかありません。(高速バスが頑張ってるのでそっちのほうが楽)


久留米に長くいましたが、結局日田に行ったのは1度だけでした。
そのときもべつだん日田に用事があったのではなく、一日気ままに電車に乗り倒してたら気がついたら日田にいた、みたいな感じです。(たしか 室見⇒天神⇒西鉄久留米⇒甘木⇒基山⇒久留米⇒うきは⇒日田 とかそんな感じ)
なので日田のことはよくわかっていません。わからないままに書いていきますことをお詫び申し上げます。


話をもどそう。

たらおさとは簡単にいうと「マダラの鰓と胃をカチカチに干して(つまり棒鱈の鰓と胃)、戻して甘辛く煮たもの」です。
なんで山奥の日田で海産物が郷土料理になったのか、いろいろな説があるようです。
その中でまことしやかにささやかれている説は

“棒鱈が輸送されていく中で、身など美味しい部分は徐々に無くなっていき、日田に届くころにはアラだけになっていた”

というものです。日田の人かわいそうすぎんよ……
「そもそも北の海の魚であるマダラの姿を日田の人が知る故もなく、届いた胃を見て『これがタラなんだね~』と珍重した」なんて笑い話も残っていますが、さすがにこれは悪意が付帯されたものでしょう。日田にだって魚くらいあるわけですし(アユ美味いし)
お前ら日田になんか恨みでもあるのか……


以前、同じく大分の山間の町「竹田」の名物である「頭料理」を作りましたが、これも「身は沿岸で消費されて、アラだけが竹田に届いた」という由来の話が残っています。

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でもこっちはまだ卵巣や皮が残ってるし、腹身や背骨なんかも残っているわけだからまだ優しいよね。

竹田に届く魚は大分を代表する大河・大野川の流れに沿って流通していたものでしょうから、身を食べたのは大分市あたりの人々でしょうか。

日田は筑後川流域の街なので、身を食べたのは久留米人でしょう。
つまり、久留米市民のほうが大分市民より畜生度が高い、ということがおのずと示されます。
久留米市民きたない、内川くらいきたない。


ただ、確かに九州の山奥にマダラの胃が届く、というのも考えてみたら面白いですね。
九州近海ではタラこそ取れませんが、美味しい魚はたくさん獲れるはず。
持ち運びに便利とはいえ、わざわざ干しダラを取り寄せて流通させる理由はなんだったのでしょうか。

※福岡でタラといえば明太子を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、あれはマダラではなくスケソウダラなので全く別の文脈になります。

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たらおさを作って食べてみた

さて、福岡人をくさすのはここまでにして、さっそくたらおさを作っていきましょう。

でもいまや原料となる干しダラの胃腸はかなりの高級品、さらに首都圏ではなかなか手に入るものではありません。
じゃあどうするか、もうお分かりですね。


“ぼくらのタラ”こと深海ダラ(ミヤコヒゲ)の胃を使います。

まず、鰓と胃を引っ張って取り外し、きれいに水洗いして

カッチカチに干し上げます。


これを丸2日間、水で戻します。
この時、水に汚れと臭いが出るので、朝晩水を入れ替えましょう。



柔らかく戻ったら、ハサミで小さく刻み、水から煮ていきます。

この時、干し竹の子を入れるご家庭も多いようですが、ニンジンやコンニャクを入れるところもあるそうです。
ぼくは煮つけのコンニャクが好きなので入れていきます。

味が染みやすいようにちぎって入れていきましょう。


1時間ほどアクを取りながら煮たら、醤油ときび砂糖で味をつけます。
きび砂糖じゃなくてもいいですが、ともかく雑味の多い砂糖が良さげです。
あとかなり甘めにするのもコツ。「それっぽく」なります。


できた。
いただきマース


……(`・~・´)
うん、これは……魚の……モツ煮、ですな。モツ煮。
モツを煮てるんだから当たり前なんですけど、胃のクニュクニュ、鰓元のこりこり、鰓のポリポリなど様々な食感が楽しめるのはさすがモツ煮って感じです。

香りは結構魚臭さがあります。
ショウガや日本酒など、匂い消しを使っていないので当たり前ではありますが、これも「海産魚をあまり食べなかった地域の郷土料理」であることを考えれば、ちょっと匂うくらいのほうが「それっぽい」のかも。。

そしてこの匂いがまた会うんだよ、焼酎に……!

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆


日田ではこれをお盆に食べる風習があって、それは「親族一同が集まる機会なので、普段あまり食べられない海産魚を食べた」という理由があったというのですが、どうなんでしょう、あんまりしっくりこないな。見た目もすごい良いわけじゃないですし。

それよりも、お盆という「精進料理を食べる日」にたらおさを食べる理由があったんじゃないかって気がします。
というのもこれ、見た目と食感がぜんぜん魚料理っぽくないんだよね。
タケノコとかニンジン、コンニャクと一緒に煮たら、実に「精進料理っぽい」煮付けになるんです。
だから、「お盆だし、ホントは精進料理食べなきゃいけないんだけど、たらおさなら大丈夫だよね」っていう心理が働いたのではないでしょうか。

あてずっぽうの仮説ですけどね……

鰓耙の付け根の骨は食べられないので注意

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コメント

  1. たいめん より:

    完全に個人の感想なのですが、日田の鮎って川藻臭くて正直味、というか香が今一つなんですよね。私が知ってる範囲だと鮎は星野、川辺、厳木>矢部>球磨川本流>日田、佐々ってとこかな?

    九州で野食会してくれたら食べ比べして頂けるんだけどな~w(ちらっちらっ

  2. 壊王 より:

    悪意で美味しいところばかり取る地域には珍味が生まれないのかもしれませんねぇ・・・

  3. 野肉は美味い より:

    畜生度www
    でもここまで綺麗に魚を利用する術を持っていた先祖には感謝せねば。

  4. 思考ハッカー より:

    わい川崎在住日田市民憤慨
    これ、ばぁちゃんが毎年作ってたなぁ