イカナゴ(オオナ)のなんちゃって酒盗

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以前、「クログチ」という魚の記事で、こんなことを書きました。


日本には、食材の味を表す際に「ご飯の量で表現する」というユニークな文化がございますね(他国でもそういうのあるとは思うけどさ)。
イカナゴのくぎ煮でどんぶり飯いっぱい余裕、とか、刺身が美味しすぎてお櫃がからっぽ、とか。

またそれとは別に、互助精神の豊かなわが国には、食材がショートするとお隣さんに借りるというほほえましい文化もありますな。
「○○さんごめんちょっと醤油貸してくださる~?」

で、これらが合体するとどうなるかというと「食べ物が美味しすぎてご飯を食べつくしちゃって、しょうがないからお隣さんに借りる」というPPAPが起こるわけですね。
そう、岡山名物ママカリのことです。

「野食のススメ」第10回の記事が公開されました!(2017.4.1) ↓↓ ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 星海社W...

このクログチという魚は、「カマガリ」という地方名を持っているのですが、それは「美味しすぎてご飯を食べつくしてしまい、隣から釜びつごと借りてきた」というエピソードから名づけられたものだといわれています。
「ままかり」の上位互換と言えそうです。(味のベクトルは全く別で、どちらもとても美味しい)


というわけで米まで借りる日本人ですが、そこまで助け合っていても、どうしても借りずに窃盗に走ってしまう、そんな存在があるのです。
そう、ですね。

-酒盗 Wikipedia-

まあ、酒を借りに来るような奴はすでに酔っぱらってて、貸し借りの算段を立てる脳みそもないということかもしれません。
貸し損になるのは火を見るより明らかでしょう。

あとはあれだ、中近世日本において、酒屋って金貸しでもあるからね。
酒を借りても利子つけられるってんじゃ盗み出したくなる人もいたでしょう(犯罪)

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イカナゴで浅漬け酒盗を作ってみた

というわけで今日のテーマは酒盗です。

考えてみたらすごいパワーワードだよね、酒盗って。
上記のような「美味しすぎて酒を飲みつくしてしまい、盗んでまで飲みたくなる」という由来のほかに「酒が盗まれたようになくなっていく」という語源説もあるそうです。命名者センスある―


お酒を飲まない方のためにざっくり説明すると、酒盗とは魚の内臓を塩漬けにして発酵させたもので、一般的にはカツオが使われますが、ほかにもマグロやタイなどの大型魚であれば作ることができます。
先日館山に行ったら「カジキマグロの酒盗」ってのが売られてました。当然あるだろうなとは思ってた。


でも、今回は敢えて小型魚であるところのイカナゴで作ってみたいと思います。

その理由は「イカナゴ(オオナ)の内臓が美味すぎるから」という以外にはありません。

イカナゴはプランクトン食で内臓の造りがシンプルなため、鮮度が良ければ生臭みもなくとても美味しいです。サンマの上位互換って感じです。

さらに内臓脂肪がやばく、口にするとフワッととろけて得も言われぬ幸せが広がります。
これに加えて全身の骨が柔らかいので、成魚であっても丸のまま生でぼりぼりと食べておいしく、そうやってやっていくうちに自分が水鳥なのではないかという錯覚すら覚えてきます。

豊栄水産より届いた旬のイカナゴ。 福岡に住んでいたころは「カナギ」と呼んで、10㎝位までのものをときどき食べていた。 瀬戸内では比較...

前回はこの内臓部分は取り集めて塩漬けにしアンチョビ用の物を作ろうとした(そして失敗した)のですが、今回は前にも増して内臓脂肪パンパンのものが手に入ったので、ぜひそのまま食べてやろうと思ったわけです。


とはいえ、生の内臓を延々と食べ続けるのは、どれだけ美味しくともさすがにしんどい。
そんな時に思い付いたのが酒盗というわけです。

ただ、本来酒盗は発酵食品で、塩漬けにして半年ほど寝かせないと食べごろになりません。
半年待てるほどの忍耐力がない(というか存在を忘れてダメにする)のでどうしようかと思っていた時にふと目に入ったのが


塩麹。
ヒト秋さん自家製、しかも長期熟成ものを先日譲っていただいていたのです。

これで漬けたら、数日で「なんちゃって酒盗っぽいもの」ができちゃうんじゃないか。
やってみることにしました。


イカナゴはに塩を振って揉み洗いし、肛門の下から鰓ぶたの手前にかけて斜めに切り、腹皮ごと内臓を取り出します。


これを容器に集め


同量の塩麹と和えます。


一晩おいてなじませれば、完成。

ご飯に乗せて、ちょっと味見……

……(´≧ω≦`*)コレアカンヤツゥー
塩麹の発酵香、そして角のとれたまろやかな塩味が本物の酒盗っぽさを醸し出します。
内臓の強い脂っ気、そして最後にわずかに来る苦味、いずれもが高級珍味たる要素となります。
時々口に入る卵巣のプチプチした食感がとても心地よい。

酒盗の美味しい(カツオのとれる)地域は端麗な吟醸酒が美味しいところが多いのですが、このイカナゴ酒盗を合わせるならやはり産地を合わせて灘、そして伏見の力強い純米酒でしょうか。

クリームチーズに乗せれば、みんな大好きリッtルヴァンパーティーにも饗せられる逸品となります。

山椒をふるとなお食べやすくなります。
もうこれ(どこの国の料理か)わかんねぇな

味:★★★★☆
価格:★★★★☆



作ってから思ったけど、これ酒盗っていうより「うるか」に近いものかもね。
内臓全部と腹皮を丸ごと使うという点も。
まあ、うるかが広義の酒盗に含まれる、と考えればいいか。いいのか?

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コメント

  1. 壊王 より:

    この記事は、オオナを送ってくださった翔さんを通じて現地で珍味として作ってもらうべきじゃないかなぁ・・・
    食べたい (´¬` )

  2. しゅう より:

    初めてメール致します。
    いつも楽しく拝読しております。
    以前印旛沼の近くを車で走っていた時に大きな亀を捕まえている人がいて、家に帰ってからあの人達は何をしていたのかなと思い「印旛沼 カミツキガメ」で検索したら出てきたのがこちらのサイトでした。
    多岐にわたる内容と飽くなき探究心に感服するばかりです。
    私はページの一番上にいる「おいしいものたべたい」と言っているお魚ちゃんが大好きです。
    変わったもの食べたいではないところも大好きです。
    普段はくだけた文章ながら時折山岡士郎ばりにするどくなるところもバランスが取れていて好感を持っています。
    いつか野食会にも参加してみたいと思います。
    もしかしてこのコメント欄は長文を寄せるところではないとしたら申し訳ございません。
    これからも楽しみにしております。
    お怪我にはくれぐれも気をつけて末永くよろしくお願い致します。