フナの鱗はつけたまま?:筑後川水系のフナを美味しく食べよう③

スポンサーリンク

「野食のススメ」第9回の記事が公開されました。
↓↓
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
星海社Webサイト「ジセダイ」
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!


★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


「コイの鱗どうしてますか問題」というものがある。
発端は美味しんぼの某話だと思うのだがどうか。

簡単に説明すると、鯉のうま煮を作るときにコイの鱗を取り去ったものを使ったことで、例によってトラブルを起こしてしまった山岡さんサイドが、セカンドチャンスをもらい(無理やり創出し)、あえて鱗そのものを楽しむ料理を供して客は満足、ほっこり大団円、というテンプレエピソードである。
「コイの鱗はゼラチン質なので、よく似ることでゼラチンや旨味が溶け出し味にこくが出る、そのため鱗を取ってしまうと味が台無しになる」というのが当エピソードのテーマだ。

これのせいで、僕のような普段ほとんどコイを食べない人々の間に
「コイを煮るときは鱗をとったらアカン」
という認識ができていたと思う。


しかし実際はというと、長野・佐久地方などコイを食べる機会の多い地域の人に聞いてみても「いや、うちは鱗とってたよ」という答えが結構返ってくる。
調理する人の好みにもよるようなのだが「鱗が舌に障る」「プチプチして好きじゃない」という人も少なからずいるようなのだ。

当地のスーパーでいくつか購入して確かめたが、確かにうま煮については鱗のある/なしは半々くらいだった。
個人的には味に大きな違いは感じなかったものの(そもそも煮汁の素材の分量が違うのでわからん)よく煮込まれた鱗のぷちっとした感じは美味しいなあと思ったものだ。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
 

フナの鱗はどうなのか


さて、フナの鱗である。


今回鮒こくを作るに当たり、とりあえずコイと同様に鱗を付けたまま筒切りにして、煮込んでみた。


都合3時間ほど煮たことで、とても濃厚な出汁が取れ、とても満足のいく味に仕上がったのだが、鱗については正直、コイほどには美味しくなかった。
プチプチというよりはクシュクシュといった感じで、不快に感じるものではないけど無ければ無いで問題ないといったレベルのものだ。

調理に当たり鱗を取るのが面倒な魚であれば、鱗を付けたまま調理することで時短にもつながるため(コイについてはその意味も大きいようだ)その意義があるだろうけど、フナの鱗は見た目に反して非常に採りやすく、道具を使わなくてもあっという間にきれいにすることができるので考える必要がない。

であれば考えるべきは「鱗から出汁が出ているのかどうか」ということだけである。
これは試してみればいいだろう。


というわけで、鱗を取り去ったフナの筒切りとアラを鍋に入れて、日本酒をひたひたに注いで、水を足しながらグツグツ3時間煮込み


スープを取った。
味付けは塩のみ。


oh…
なんでしょうねこの黄金色、めっちゃ美味しそうなんですけど。
臭いはというと、煮込み始めはフナ特有の川っぽい臭いがあったが、煮込み続けていくうちにすっかり感じなくなり、煮干しのスープなどとほとんど変わらない「魚らしい」香りになった。


いただきマース
……(@~@*)
うーまーいー!!
うまいぞおおおおお!(味皇ビーム)

口の中が旨味とゼラチンに満たされてなんというか、蹂躙……そう蹂躙されているような感じだ。
鱗を削ぐときに皮もちょっと持ってかれちゃったからダメかなぁと思っていたが、全くの杞憂だった。
これ、鱗なくても十分美味いんじゃないですかねぇ……

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆


まあでも、鱗にも名誉を挽回する機会を与えてあげよう。
つまり、単体で食べたほうが美味しいんじゃないかということだ。



ということで鱗の付いた皮をレンチンして水分を飛ばし、


低温の油でじっくり揚げる。
あちちち、めっちゃ跳ねるぞこれ!


味付けはやはり塩のみ。

……(`・~・´)
うん、まあ、想定内の美味しさ。
鱗はカリッと、皮がネトッとしていて、珍味としてはそれなりの出来。

先述の美味しんぼのエピソードでは、まずはコイの鱗単体をから揚げにしてその美味しさを実感させ、さらにすっぽんのスープを合わせることでゼラチンのハーモニーを楽しませる、ということをしていた。


それに倣い、このフナ鱗のから揚げを先ほどのフナスーパースープに入れてみたが、クシュクシュ感が復活してしまっただけだった。
フナの鱗、無理に食べなくてもいいかもわからんね……

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆



コイの鱗は1枚がとても大きいうえに、分厚くていかにもゼラチンです! ってカンジの見た目をしている。
一方でフナの鱗は薄く貧弱で、あまり成分が溶け出そうにない印象だ。
フナで一番旨味が出るのはおそらく皮で、その旨味をしっかりと味わうためには鱗はないほうがよいのではないか、という結論。
今後はとってから調理することにしよう。。

スポンサーリンク
 
スポンサーリンク
魚介その1(魚系)
スポンサーリンク
茸本 朗をフォローする
野食ハンマープライス

コメント

  1. たいめん より:

    >まずはコイの鱗単体をから揚げにしてその美味しさを実感させ、さらにすっぽんのスープを合わせることでゼラチンのハーモニーを楽しませる

    すっぽんのスープは単品の方が美味しいんじゃないですかねえ…(名推理

    • wacky より:

      間違いない(確信)
      それにすっぽんのゼラチンと魚類のゼラチンってなんていうか、違うんですよねぇ……

タイトルとURLをコピーしました