ぼくは何でもかんでも漢字で書こうとするのがあまり好きではないです。とくに和名。
別に学者肌という訳じゃないんですけど、生物の標準和名を漢字で書いてるのを見るとなんだか落ちつかなさを感じてしまいます。
漢字というのは表意文字なので、和名を漢字で書くと、本来その生き物を示す「バッジ」であるだけの和名にも意味をもたせてしまうと思うんですよね。だから気持ち悪さが出る。
その被害をもっとも被っている食材が「カメノテ」かなあと思います。
漢字で書くと「亀の手」、見た目が亀の手に似ているからでしょうね。
まあ似てるっちゃ似てるんだけど、そのことを考えてしまうとこのカメノテが岩の隙間やテトラポッドに束になって張り付いているようすがめちゃめちゃ気持ち悪くなるじゃないですか。
そもそも集合体恐怖症というものがあるので、カメノテという生物の生態自体がしんどいという人はいるとは思うのですが、そこに「亀の手」という想像の具現化イメージが乗っかるせいで気持ち悪さマシマシになっちゃってるんですよ。こんなに美味しい生き物なのに……
ここまで書いてて内容の薄っぺらさにめまいがしてきました。すべては確定申告のせいなのよ……(税理士さんに泣きついて、仕訳作業の締め切り伸ばしてもらった)
カメノテ、刺身でも結構うまい
そんなカメノテ、煮るとめちゃくちゃいい出汁が出るので、野食界隈ではとても人気のある食材です。
だいたい味噌汁にされますが、大きいものであれば酒蒸しが旨いです。
海の旨味成分を濃縮したような出汁がじゅわっと出てきて、ムチムチとさくさくの中間のような食感とともに楽しむことができます。エンドレスで食べ続けられるやつ。
しかし、先日でかいのが採れたので試しに刺身にしてみたのですが、これもなかなか美味しい。
カメノテって何なの? とよく聞かれるのですが、じつは甲殻類の一種です。エビやカニ、ヤドカリとは近くとも遠からずで、そう考えれば刺身が美味しくないはずがないです。
身質としてはエビと二枚貝の中間くらい。分かりやすくいうとミドリシャミセンガイが生でも美味しくなったみたいな感じ(分かりやすくない例え)
近い仲間であるはずのフジツボはもっとカニっぽい感じがします。この差はどこからくるんだろう。
カメノテら内臓に少しクセがあるので、九州の甘い醤油が合う感じです。
面白そうなので塩辛にもしてみましたが……
……とくに何かの変哲とか片鱗とかがあるわけではないですね。
カメノテはカニと違って酵素の力があんまり強くないようで、熟成させても分解されて旨味がでるというわけではないのかもしれません。それか年単位でやるか。
熟成しなくても味濃くてうまいけどさー
味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆
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