カメノテの蔓脚とボタンボウフウの根をかき揚げにしたらあふれだす野趣:野食のススメ番外編

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星海社ウェブサイト「ジセダイ」にて連載させていただいておりやす「野食のススメ」。

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「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!

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おかげさまでご好評をいただいており、今週金曜日に第4回の記事が掲載される予定です。→9.16公開されました! 上のバナーからどうぞ!


今回は、黒潮の影響を受ける相模湾沿岸某所にて「暖かい海の生き物たち&海岸の植物で1食作る」をテーマに取材を行いました。

その時に採れた食材を、本記事にて使用したものとは別に少しだけ持ち帰り、色々と試してみました。
「野食のススメ」のスピンオフ的な位置づけでお楽しみください。

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カメノテの蔓脚って結構美味しいのよね

今回、メイン食材のひとつとして大きなカメノテを採取した。
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カメノテは鉄腕ダッシュ等のバラエティ番組でもたびたび取り上げられ、「高級食材」として紹介されるなど、野食材としては比較的市民権を得ている。
こう見えて甲殻類であり、カニやエビとも遠い親戚関係にある。


利用方法は、「カメの爪」状の殻と、うろこ状の腕の部分をパキッと折って切り離し、
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腕の中にある筋肉の部分を取りだして食べる、といったカンジである。

タコやイカのような弾力ある食感に、カニのような甲殻類の風味が乗っかって非常に美味しい食材でなのだが、その一方で歩留まりはかなり低いと言わざるを得ない。

販売時は殻ごと量り売りをされるので、可食部の割合を考えると超のつく高級食材と言っても言い過ぎではないだろう。


さて、今回この筋肉部分を用いてとある絶品メニューを作成したのだが、その際に「カメの爪」部分が大量に破棄された。
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食べられないとされているので当然なのだが、なんだかもったいないなぁと思い、持ち帰ってきた。


この爪の殻の中には、蔓脚(まんきゃく)と呼ばれる部位が収まっている。

前述したように、カメノテは甲殻類の一種なのだが、この蔓脚は脚が変化したものだと考えられている。
潮が満ちているときに、殻の隙間からこの蔓脚を外に出し、餌となるプランクトン類をかきとって食べるのだ。


この蔓脚だが、口に入れるとやや舌触りが悪く、一般的には利用されずに捨てられてしまう。
まさに小エビの脚のようなイメージだ。

しかし、殻ごとのカニの味噌汁が美味しくなるように、カメノテもこの蔓脚からけっこう良い出汁が出る。
そのため、これも美味しく食べることができるのではないかと考えた。




試してみよう。
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殻の口をこじ開けて
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蔓脚の先端を引っ張って取り出す。

ひとつ食べてみると、プチプチとした歯ごたえとともに強烈な磯の香りが口に広がる。
これは、揚げて香ばしさを加えたらかなり美味しくなりそうだ。

ボタンボウフウの根も使おう

でもただ揚げるだけじゃ面白味がないので、別の具も入れてみたい。

ということで用意したのが
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ボタンボウフウの根だ。
ボタンボウフウを含むセリ科の植物の根は、その独特の香りが葉よりも強く、またパクチーなど強い旨味を含むものがある。

山野草の根を採取するのは、自然保護の観点からもあまり良くないのだが、崩壊しかけた崖地に生えているものがあったので一株分だけ頂いてきた。


見た目はゴボウかオタネニンジン(高麗人参)だが、かなり固そうではある。
煎じてお茶にするなどは可能そうだが、果たして食べられるのか。

洗って表皮を剥き、
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断面を見ると、芯の部分は極めて固そうだが、その周囲の部分は比較的柔らかそうだ。
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ナイフで剥ぎ取り、かじってみると、フェンネル様の爽やかで強烈な香りが口に広がった。
これはカメノテの磯香にも負けなさそうだ。

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細かく刻んで利用することに。

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これとカメノテの蔓脚、小麦粉、卵黄を混ぜて、
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お玉ですくい、熱した油にそっと浮かべる。
火が通ったら裏返して、きつね色になるまで揚げれば

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カメノテ蔓脚とボタンボウフウ根のかき揚げ、完成!

いただきマース
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Σ(`・ω・´;)
強烈な磯臭さと強烈なセリ香が、まるでドンフライと高山の様にノーガードで殴り合う!
それの風味を卵黄がラウンドガールのごとき優しさで包み込もうとするも、全然押さえ込めてない。

「ともかく野趣のあるものを食わせろ」と言われたときにこの料理を出すのは良いかも。

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆

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魚介その2(魚以外) 植物
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野食ハンマープライス

コメント

  1. ななし より:

    相変わらずの食材チョイスの秀逸さにニヤつきながら見てたけど最後のラウンドガールのくだりでさすがに吹き出しました。
    けっこう美味しかったんやね!!

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