先日、釣りの際にタモ網を、目の前を何かがほわほわ漂ってきました。
つい反射的にタモを出して掬ってしまったそのホワホワは
アカクラゲちゃん。
東京湾や大阪湾など内湾に多い沿岸性の中型クラゲです。
身近な毒クラゲ「アカクラゲ」
名前の通りかさに赤い条線がいっぱい入っているのが特徴で見た目にもわかりやすいのですが、個人的にこの条線は「警告色」なんじゃねぇかと思っています。というのもこのクラゲ、結構強い毒を持っているんですよね。
アカクラゲも他のクラゲ同様触手に刺胞毒というものを持っていて、不用意に触るとチクチクする他、粘膜への刺激性がとても強いです。打ち上げられて死にかけていてもその毒性は失われておらず、潮干狩りなどで子供が「わぁきれいなクラゲ」と触れてしまうことで事故が起こることがあるようです。
また、このクラゲは特に釣り人から恐れられています。というのもこのそうめん状の触手、釣り糸によく絡んでくるんですよ。東京湾のアジ釣りやキス釣りではしょっちゅう触手だけが釣り糸に引っかかってきて「何だゴミか」とつまんで採ろうとしてやられたり、気づかずに鼻や目をこすってしまって激痛に襲われたりするんですよね。
そんな毒クラゲですが、掬ってしまったからには何かせんと気がすまない。
勝算は特にありませんでしたが、持ち帰ってみることにしました。
アカクラゲを食べてみた
クラゲといえば御存知の通り、中華食材として有名です。中国の人は「特に味はないけど、ゼラチン質でぷりぷりコリコリしているもの」が本当に好きですね。
あのクラゲ、実は日本からの輸入がかなりの比率を占めているようです。まあそれはビゼンクラゲという巨大種であってアカクラゲのような中型種ではないんですけど、まあそれはそれとして同じように加工すれば同じように食えるのではないか。
クラゲの加工は実は非常に簡単で、スーパーで買えるものだけでやれます。必要なのは
ミョウバンと食塩だけ。食塩で水分を抜き、ミョウバンでタンパク質を固定するわけです。
ミョウバンと食塩の割合は1:2から1:6まで文献によってバラバラです。ミョウバンが多いとコリコリ感が出やすいけど、ミョウバン独特の苦味や匂いが強くなり、のちの「水晒し」の時間を長く取る必要が出てくるとか。
まあでも、パリパリしてこそのクラゲだもんねということで、1:2でやってみることにしました。
ゴム手袋をして、アカクラゲを真水でよく洗います。
クラゲの刺胞毒には海水中じゃないと発射されないものと、真水でも発射されるものがありますが、アカクラゲのそれはどっちかよくわかりません。とりあえず、はねた水が目に入らないようにだけ細心の注意をはらいます。
触手は食べられないと思うので取り分けておき、かさだけを使いましょう。
ミョウバンと食塩の混合物に、洗い上がったアカクラゲを漬け込みます。
すぐに水が染み出し、ドロドロになります。やがて上に水が浮いてくるのでそれは捨てます。
2日ほどでもとの1割位のサイズになりました。これくらい水分抜けたらいいんじゃないかな。
つづけて、塩&ミョウバン抜きをしていきましょう。
よーく水洗いし、更に水に晒していきます。
塩漬けのときはクトゥルフ感が強かったのですが、水に晒すともとの形が現れました。
ちょっとずつ齧ってはミョウバンの抜けを確認し、最終的には3時間ほどで殆ど感じなくなったので、
一度さっと湯通しします。刺胞毒は熱に弱いのでこれで完全に無毒化されるでしょう。
水に晒して冷やし、水気を切って刻み
きゅうりとよく和え、味付けをしたら完成。
アカクラゲの中華風前菜です。
細かく刻んでもアカクラゲらしい模様が残っているのが嬉しいですね。市販のクラゲより透明感が強く、見た目に清涼感があります。
いただきま~す
……(*^~^*)うん、これはクラゲですわ。
味は特になく、一方で臭みもない。純粋にコリコリしたクラゲらしい食感を感じます。
お好みのタレと合わせてどうぞって感じ。模様も美しいし中国人めっちゃ好きそう。
懸念の海水臭やミョウバン臭はこうやって冷やして食べる限りは特に感じませんでした。うまくやれば甘いデザートにも活かせそうな気がするな。見た目キレイだし。
味:★★★☆☆
入手難易度:★☆☆☆☆ 海いきゃ拾えます
あれ、捨てたはずの触手が……
なぜか、集められて干されて
粉末にされてる……? いったいなぜ……誰がこんなことを……?
コメント
アカクラゲの粉末とか言う凶器www
この粉を吸い込むと
くしゃみが止まらないって
本当なんですかねぇ・・・
その程度で済むのかなぁ