要注意外来種「シナダレスズメガヤ」で、世界一まずい(?)主食を作ってみた

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さいきん、多摩川の河川敷で人知れず増殖している外来種があります。

その名はシナダレスズメガヤ。アフリカ原産のイネ科植物で、日本へは道路の法面緑化のために移入されました。
日当たり良く乾燥する場所を好み、過酷な環境にも適応できる……となれば定着・増殖は時間の問題。いまでは全国の河川敷・河原に繁茂し、在来植物を圧迫したり、病原菌や害虫の発生源になったりして問題となり、日本の侵略的外来種ワースト100にも指定されています。

日本の外来種問題は基本的にこのパターンですよね。学べよなという感じです。まあ今後はこう言う安易な生物の移入は行われなくなっていくのでしょうけど。。

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シナダレスズメガヤ、なんか食べられそう

そんなシナダレスズメガヤですが、同じイネ科スズメガヤ属に含まれる「テフ」という植物に外観がよく似ています。
河川敷で見かけたときに「あれなんでこんなとこにテフが」って思ったくらい似てる。まあイネ科の学者さんなら全く似ていないと思うんでしょうけど。。

テフというのはエチオピアの主食「インジェラ」の原料となる穀物で、スーパーフードとしても注目されています。
普通、作物として利用されるイネ科植物はだいたい種子が大きく改良されるのですが、このテフはそのようなことはなく(テフというのが現地語で「見失うもの」という意味らしい)長径1mmくらいの芥子粒のようなサイズをしています。

シナダレスズメガヤの種子はどんなサイズでしょうか。

穂を振って回収し

籾殻を風で飛ばします。

おお! まさにテフと同サイズ。見た目の色合いも近く、非常にテフそっくりです。これ、ひょっとしてテフと同じように利用できるんじゃないかしら。

というわけで死ぬ気で集め、なんとか片手にひとすくい分ほど集まりました。脱穀の際にそのままもみから種子が落ちてくれるので仕分けそのものは容易ですが、1つの穂から採れる量がたかが知れているので集めるのは結構大変。人海戦術で行きたいですね

せっかくなのでこれをインジェラに加工して食べてみることにします。

世界一まずいと言われる主食「インジェラ」を作ってみた

さてこのインジェラ、実は旅行者の間で「世界一まずい主食」として知られています。

穀物を粉にひいて発酵させて焼く、という作り方をみる限りはパンなどと変わらない気がしますが、発酵をイーストではなく乳酸菌によって行うため、ヨーグルトやチーズのような独特の酸味と発酵臭があり、それが食べる人を選ぶのだそうです。

また最近では某テレビ番組で取り上げられたことからちょっとしたネットミームになっており、日本でも知名度を上げています。その作り方を解説するにあたって、わざと現地語が用いられたのです。

せっかくなのでここでも現地語で説明させていただきます。

まず、採取してきたシナダレスズメガヤの種子をオフチョベットします。

オフチョベットしたものをさらにマブガッドして、リットを作ります。リットにアブシィトを加えて発酵させていきます。日本はエチオピアと気候が違い、うまく発酵させるのが難しいので、イーストも加えて置きます。

3日ほど常温で発酵させるとこのように泡立ちます。
念のため日本語訳しておくと
オフチョベット→製粉する
マブガッド→水を加える
リット→水を加えて混ぜたもの
アブシィト→酵母
となります。

発酵が終わったリットからは強いたくあん臭がします。まさに乳酸発酵の匂いで、正直ちょっとウッとなります。

フライパンの上にリットを薄く伸ばし、蒸し焼きにしていきます。
本来ならばこのとき、発酵によって生じたガスが気泡となり生地に穴が生じるのですが……

残念ながらうまくいきませんでした。製粉の仕方が荒すぎたようです。もっと細かくしないとね

裏面はちょっと気泡入ってた

さて、インジェラはあくまで主食。副菜と一緒に食べないとその真価はわからない、ということで、エチオピアを代表するおかず「ドロワット」を作っていきます。
レモン汁でマリネした鶏肉を唐辛子やにんにく、各種スパイスとともに煮るだけのおてがる料理。

焼き上がったインジェラ(もどき)にこのドロワットを乗せたら完成!

まずはインジェラからいただきまーす

……(;´∀`)オオゥ
なるほどなー。。これはまあ、旅人たちの評価もわからんでもないです。ヨーグルトの酸味とたくあんの匂いを兼ね備えたクレープみたいな感じで、単体だと正直しんどい。

でも、ドロワットと一緒だと……

めっちゃ美味い!!
ドロワットの酸味と辛さが、インジェラの風味にベストマッチです。

エチオピアは暑い国なので、酸味や辛味を利かせた料理が多く、そこに合わせるには普通のパンやトルティーヤなどでは物足りないでしょう。やはりインジェラでないといけない、というわけなんでしょうね。

味:★★★★☆
入手難易度:★★★☆☆ どこにでもあるけど、収穫がホント大変

シナダレスズメガヤ、収穫の手間さえなんとかできれば、穀物として十二分に価値があるような気がします。テフに近い種類ということを考えれば栄養価も非常に豊富だと思うし。
外来種として刈り取り処分が行われているようなので、その際にみんなで脱穀して食べられたりしたらいいなぁと思います。

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コメント

  1. ナマステ侍 より:

    何がとは言いませんけど金属バット小林さんの唾液を思い出しました

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