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cakesにて茸本朗の連載
「野食ハンターの七転八倒日記」
が始まりました!
野食失敗体験を中心に、ブログとはちょっと違った切り口の記事を公開していく予定です。
合わせてお楽しみいただけると嬉しいです。
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もう20年以上昔の話なんですけど、「ハシバミジャム」ってのを購入したことがあるんですよ。
たしか軽井沢でだったと思うんだけど。
当時、ぼくはジャムが苦手で、食パンにもバターかピーナツバターしか塗らないという贅沢ものだったのですが、このハシバミジャムは好きでよく塗って食べてました。
ジャムというよりは、ハシバミを粗挽き胡椒くらいのサイズにひいてシロップで煮たみたいな感じでしたね。
大人になってから、軽井沢方向に向かうたびに探しているのですがどうにも見つかりません。
心当たりのある方は是非ご一報いただけると嬉しいです。
まあそういう訳で「ナッツのジャム」ってものにずっと興味があります。
ハシバミ(ヘーゼルナッツ)に限らずほかのナッツでも作れるんじゃないかなぁ……ということを考えていたときに、予想通り「クルミのジャム」なるものが存在するということを聞きました。
なるほど、それはどんなもんでしょう。
「青いクルミを果肉・殻ごとシロップ煮にします。アクで真っ黒になるそうです。」
……なんか思てたんとちゃう……
教えてくれたのは野食会でもおなじみ山中さん・広渡さんご夫妻。
さっそく作ってみようと思ったのですが、それを聞いたのは7月、すでにクルミは成長しすぎていて加工できませんでした。
そして今年、無事に近所の青いクルミがいい感じになってきたので、作ってみることにしました。
青いクルミのジャムを作ってみた
ぼくが住む川崎では、野生のクルミといえばほとんどがオニグルミ。
多摩川沿い、鶴見川沿いの上流から河口に至るまで非常にたくさんの木が生えています。
どこにでもある木だけど、川沿いは非常に多いです。樹木の5~6本に1本はオニグルミですね。
種子が流されてくるのかな?
最初にトライしたのは今月の頭。
我が家から徒歩2分くらいの多摩川河川敷で、ギンナンより一回り大きい位のサイズのオニグルミの果実を収穫し、やってみることにしました。
とはいえ作り方は調べてみてもさっぱりわからない。
青いクルミをシロップで煮たらいいということなのですが、よくわからないので適当にやってみることにしました。
青いクルミといえばその強烈なアク。
手についたら1週間以上は落ちず(この文章を書いてる今も指先が黒い)そのまま食べたら体に悪影響を及ぼしそうです。
というわけでいくつかは皮を剥いて水に晒し、
残りも1度茹でこぼしてから、多めの砂糖と辛口のシェリー酒(酸味要素)を入れてことことと煮詰めました。
……うーん、黒い……
まあいいや、食べてみよう。
……(´・益・`;)
うーん、これは……いまいち。
皮を剥いたほうはアクこそけっこう抜けていましたが、木工用ボンドのようなしつこい風味が口中に残ります。
それから食感が……柔らかく、噛むとぶちゅっと潰れてヤニ臭い汁が出てくるのはかなり閉口。
皮そのままのほうは逆に歯ごたえが良く、ちょっとパリッとした食感がありますが、えぐみが強く残ってしまっています。
何より肝心の胚(クルミのナッツ部分)がまだ姿かたち共になく、これでは食べる意味がありません。
もう少し成熟を待ちましょう。
2週間後、今度は鶴見川の河川敷で観察してみます。
うん、大きくなっていますね。
南高梅の実ぐらいありそうなサイズを集めてきました。
半分に切ると、内部の胚はかなり成熟してきており、果皮が薄くなってきています。
これは良さそう。
前回、表皮をそのままに煮たものはちょっとえぐみが強すぎたので、表皮は剥いて煮てみることにします。
一度茹でこぼし、数時間水に晒してから、ことこと煮ていきます。
……(`・〰・´)……Σ(`・Д・´;)
うーむ、途中までよかったんだけど、胚の中にある隙間にアクがたっぷり溜まってて、齧ると中から苦い汁がぶちゅっと飛び出してくる……
あと、大きい実はまだこれでもアクが強いね。
というわけでテイク3、皮を剥いて、半分に切ってから2度茹でこぼし、砂糖とシェリー酒で煮てみました。
……(≧〰≦)
うん、これならかなり、いいんじゃないかな!
苦味はまだ残っていますが、これを抜ききってしまうとクルミらしさが失われてしまうので、このぐらいでいいと思います。
内部の未熟な胚はナッツの風味があり、サクサクとした歯ごたえが心地よいです。
そのまま食べるとちょっと強いけど、パンに乗せて食べると……
美味い!
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
これはなかなか気に入ったので、今のうちに青いクルミをいっぱい集めて多めにジャムを作っておこうと思います。
コメント
初コメです。いつも楽しく拝見しています。
シロップ煮、というとロシア周辺で作られるヴァレーニエが近いものでしょうか。
以前青胡桃を使ったケーキが野食会に出ていたと思いますが(私自身は参加出来なかったので定かでない)、それも同じように加工したのですかね。
検索しても、完成品がどんな見た目かも分かるものもろくに見つからないですね。茸本さんは手探りで美味いといえるレベルに完成度を上げてこれるのが素晴らしいです。
食べ物ではないんですが、クルミの渋皮で作るインクなんて物があります。
もし、機会と興味がありましたら是非…