「野食のススメ」第9回の記事が公開されました。
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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ジャボチカバ狩りを堪能した後、連れに「ご飯何食べる?」と聞いたらぶち切れられた。。
なんで?(;ω;)と聞くと「今からイチゴ狩りに行くんでしょうが!!」とのこと。
そうでした。
「春の果物狩り」なんだからイチゴ狩らなきゃ始まらないンゴねぇ……
静岡が誇る「石垣いちご」
全国の温暖な土地で栽培されているフルーツの女王・イチゴだが、静岡市駿河区の海沿いで行われている栽培方法はちょっとユニークだ。
海沿いに立ち並ぶ温室群の中には、コンクリートで組み上げられた「石垣」が何重にも廻らされている。
その隙間に植えられたイチゴはたくさんの実をぶら下げるのだが、うまく苗と苗の間に並ぶようになっており、それぞれの実に日光と石垣からの輻射熱がよく当たるようになっている。
もともと温暖でイチゴ栽培に向いた地域だが、1896年にこの石垣栽培法が発明され、イチゴ栽培のメッカとして名を挙げたのだそうだ。
確かに、僕が子供のころ読んだ本でも、イチゴ栽培地の代表として「石垣いちご」の名とともに石垣の上に実るやや細長いイチゴの写真が載っていたのを鮮明に記憶している。
この地域は、徳川家康が祭られていることで有名な「久能山東照宮」の門前町として古くから観光地化されていた。
そこに「石垣いちご狩り」が合わさって、今では静岡を代表する一大観光地となっている。
現在は30軒ほどのイチゴ農家が観光イチゴ園を開いているらしいが、向かったのが3連休ということもあり、多くのイチゴ園で「予約者限定」の看板を出していた。
実るイチゴの数にも限界があるからね、しょうがない。
でも、ふりの客を受け入れてくれるところもあって、そういうところは「いちご娘」が道路際でイチゴ提灯を威勢よく振り回しているのですぐわかる。
今回はその中の一つ「才茂園」さんにお邪魔した。
流通に乗らないローカルイチゴ「章姫」を裏技も駆使しつつ食べまくった
料金を支払い、ヘタを入れるためのパックと練乳を受け取って、受付所の中で10分ほど待つ。
建物の中にはお土産用のイチゴが所狭しと並べられ、甘い匂いが充満している。
現在「石垣いちご」の主流となっているのは「章姫」という品種だ。
前述のとおり細長く、色は朱色がかった赤でラメ入りのルージュのようにきらきらと輝く。
香りがめちゃくちゃ甘いのが特徴で、時にストロベリー香料そのもののような香りを放つものもあった。
味は甘みが強いとのことで、酸味が苦手なお子ちゃま舌の僕にはとてもありがたい。
ワクワクしながら開始を待った。
ややあって案内され、いよいよハウスの中に入った。
5~6組ほどで1列の石垣を占拠するので、1組当たり数メートルのスペースがある。
イチゴの密度は高く、相当量が生っているのがわかる。
「時間は30分ですけど、まあ10分ぐらいオーバーしてもいいですからね」というお姉さんの言葉に沸き立ち、そのまま狩りが開始された。
イチゴの色づきは様々だが、ヘタが上に反り返っているものは採っても大丈夫なのだそうだ。
なるたけ綺麗で大きなものを摘んで、食べてみる。
……(≧~≦*)
あんまーい!!
甘くて甘くて、ほんのちょっとだけ酸味があるけどひたすら甘い!
酸味が少ないのが気にいらない人もいるかもしれないけど、ワイはこれ大好物や!!
練乳もつけずひたすら採っては食べ、採っては食べを繰り返していく。
自然に近い栽培なのでヘンな形になっているものもあるが
当然、味は変わらないのでバクバク食べる。
10分もするとイチゴ欲が落ち着いてくるので、ちょっとキワモノにも挑戦してみる。
これなんかヘタは反ってるけど、色は全くついてないぞ。
味はどうだろう。
……(・~・)
酸っぱくはないけど、味もないな……
色のついてない「白いイチゴ」が最近よく売られてるけど、アレは特殊なんだろうな。
逆に、全く大きくなれないまま赤くなっているものもあったが……
……(×~×)
これはなんかヘンな苦みもあって、ヘビイチゴ食べてるみたい。
過熟して伸びてるやつもあった。
匂いが甘ったるくてよさげだけど……
……(´・~・`)
これは完全に「イチゴ味の駄菓子」の風味だな。
章姫はもともと酸味が少ない分、過熟して酸味が消えると甘ったるくなってきちゃうな……
でも、こんな風にいろいろチャレンジできるのも、イチゴ狩りのいいところ。
練乳-タネツケバナ-練乳-タネツケバナ
それでもやはり、開始20分もするとかなりしんどくなってくる。
他の客の口数も減り、ハウス内に静寂が広がるようになる。
早くもリタイアする組も出てきた。
始めに配られる練乳を駆使して味に変化をつけることは可能だが、そもそも練乳が苦手な僕は、何個も連続して食べることができない。
そんななか、ふと目についたのが
タネツケバナ。
アブラナ科の雑草で、石垣の隙間からも旺盛に葉を広げている。
このタネツケバナ、厄介な雑草であると同時に良く知られた山菜でもある。
クレソンによく似たピリッと辛い風味があり、生でサラダなどにして食べても美味しい。
イチゴの合間にこれを1枚つまむと、口の中がさっぱりとリセットされ、また甘いイチゴを頬張りたくなってくるのだ。
練乳とうまく組み合わせつつ「遠山・葛西スペシャル」的な継投策で章姫軍を攻略する。
結果、欲望の塊のようなヘタの残骸が手元に残る。
1年分は食べたかな。
いや、1か月……やっぱり1週間……いや、3日分くらいかな。
翌日、そこには国道150号線脇の直売所で章姫を2パック購入する茸本の姿が!
章姫は果汁が多くて非常に柔らかく、長時間の輸送に向かないため、現在では流通に乗ることはあまりないそうだ。
なので首都圏ではデパートやスーパーで見かけることもあまりなく、マイナーなイチゴであるともいえる。
しかし、口いっぱいに広がる甘い香りと、舌だけでつぶせるジューシーな味わいは他にはないもの。
イチゴ狩りに行く機会があったらぜひ、章姫を栽培しているところを探して訪れてみてほしいなと思う。
コメント
章姫がマイナーとは。超メジャー品種だと、地元の思い込みって怖いですね(笑)。
少なくとも首都圏では、デパートやスーパーでは買えないですね(`・ω・´)
おおっ、石垣栽培が商業ベースに進化してるんですねー。実家の同じ学区内でも、30年くらいまで前は、石垣苺が有りました。
あ、静岡以外でも行われているんですね! なんで廃れたんでしょう、やはり石垣を組むのが手間だからかな……?
めっちゃ間延びしたタネツケバナですね。
温室でぬくぬくと育ったら、雑草もこうなるのか。
イチゴ狩り良いなぁ~。
たぶん肥料のおかげだと思います(`・ω・´)大きいですけど味も濃くてなかなか乙でした。
章姫美味しいですよね。昔、母方の実家(愛知県)で育ててました。
帰省するたびに、口の周りをベトベトにしながら食べまくったなあ。
甘いんですけど全体的にライトで、おなかが許せばいくらでも食べられる味ですよね!
初めてまして、静岡県西部に住んでいる者です。静岡県ではイチゴといえば、紅ほっぺか章姫なので貴重という感覚はありませんでした。今度からは大事に食べます。
どこに書き込むか迷ったのですが…
本日フィールという愛知から進出してきたスーパーで、ハダカイワシ(100円)とヒメコダイ(150円)を買いました。塩焼きを勧められました。
先日は観賞用としてクリオネ(2500円)も売っていましたが、財政難のため購入を断念してしまいました。
ヒメコダイいいですねぇ、フライにするとエビみたいな食感になって美味しいんですよね! フィールですか……初耳です。見かけたら入ってみます!
章姫は名古屋では割とよく見る品種なので、東京ではそんなにレアな品種だとは知りませんでした。
イチゴって毎年のように新品種が出ていてやたら品種改良が盛んですよね。
にもかかわらず古くからある章姫がいまだ栽培されているってことは、それだけ優れた品種なんでしょうね。
パックのものを購入して持ち帰ってきたんですけど、帰宅したらすでに下の方のものが少しつぶれてしまっていたので、本当に輸送に向かないんだと思います。
一方で味はいいし、色もきれいですから、需要はたくさんあるんだと思いますよ。柔らかいということは裏を返せば食味も良いということですし。
こんにちは!
我が地元三重でも章姫がメインなんで、なかなか流通に乗らないのは知りませんでした。
章姫はさっくりとした繊維質の歯ざわりも魅力ですよね!
そうなんですよね! 舌でつぶせるくらいに柔らかいけど、しゃりっとした歯ごたえもあって、すごく良いイチゴだと思いました。
章姫は酸味が少なくて話題の品種でしたが、身が柔らかいので小売り店に嫌われたのでしょう、東京のスーパーではあまり見なくなりましたね。
普段私は酸味や香り、ジューシーさのバランスで栃乙女が好みですが、いちご狩りで章姫はなんか良さそうです。石垣で温まった甘いイチゴは美味しそうで・・・次回いちご狩りに行くなら章姫を狙っていってみたいなと思いました。
以前は東京でも見かけたんだけど、とは良く聞きました。でも気を付けて輸送しても、東京まで運ばれる間にかなりダメになってしまうと思います。
でもその柔らかさが美味しいんですよね。イチゴ狩りでしか食べられない(首都圏では)という希少性もいい方向に働くと思います。