都会にも生えている!「アヘンの代用」とされた草を採って食べてみた

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今日も草ネタ。


先日ちょっと調べ物をしていたら、とても気になる記述を発見しました。それは「ワイルドレタスという植物が、アヘンの代わりに用いられたことがある」というもの。

アヘンはご存じの通り大変古い歴史を持つ麻薬で、戦争の原因にもなったことがあり、今でもなおその密造、およびそれが生み出すブラックマネーが世界的な問題となっています。
しかしその一方でアヘンがもたらす向精神作用、特に鎮静、鎮痛、催眠などの効果は人類にとって非常に役立つものです。アヘンからつくられるモルヒネは麻薬でもあるものの医療薬としても利用されるのですが、それをさらに精製してつくられるヘロインは麻薬の中でも最悪に近い存在。言ってみればアヘンの中には天使と悪魔が同居しているのです。


まあアヘンの話は置いといて、そのワイルドレタスなる野草には、アヘンと同様の効能を持つ「ラクチュコピクリン」「ラクチュシン」という成分が豊富に含まれているそうです。18世紀アメリカでは戦争などの影響でアヘンが慢性的に不足しており、そんな中でこのワイルドレタスが薬として処方されることもあったそう。

これは自分でも試してみたいと思い、採りに行ってみることにしました。

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多摩川のワイルドレタス

ワイルドレタス自体はブリテン島などが原産で、日本には入ってきていないようです。しかし、ワイルドレタスが含まれるキク科アキノノゲシ属というグループの植物は、代表種であるアキノノゲシを中心に日本にもたくさん生えています。

アキノノゲシは稲作とほぼ同時期に大陸から渡ってきたといわれる史前帰化植物で、都心でも街中のちょっとした空き地みたいなとこでも当たり前に見かけるとても身近な植物です。この写真も多摩川の丸子橋周辺で撮ったもの。渋谷とか新宿のビルの脇にも当たり前に生えています。
しばしばノゲシ属のハルノノゲシと混同されますが、そちらは葉がのこぎりみたいにギザギザしているのと、花が春に咲くところで区別が可能です(アキノノゲシは名前の通り秋に咲く)。

アキノノゲシ属の学名はLactucaというのですが、これこそが上記ラクチュコピクリンの語源となったものです。実は量の多寡こそあれど、アキノノゲシ属の多くの植物にはラクチュコピクリンが含まれています。そのため理屈上はワイルドレタスと同じ効能が期待できるはず。

つまり言い換えれば「都心にも生えている草にも、アヘンと同じ効能が期待できる」ということ! これは試してみるほかない!
とはいえあれですよ、モルヒネでもヘロインでもないので「キモチヨクなる」わけではないですよ、あくまで「精神が穏やかになり、安眠効果が期待できる」みたいな感じ。まあそれでも十分ですよね。やってみましょう。

ラクチュコピクリンを摂取してみた

上のは一緒に採ってきたクサギとナラタケ


採取してきたアキノノゲシ。
柄の部分をスパッと切ると

見る見るうちに乳液のような白い液が分泌されます。ここにラクチュコピクリンやラクチュシンがたっぷり含まれているはず。
しかし酸素に触れるとあっという間に変色してしまいます。なんか成分が変化しそうで嫌だったので、とりあえず水に突っ込みました。

ラクチュコピクリンが親水性なのかどうかはさっぱりわかりませんが、まあ細かいことは一回おいとこう。
何度か切って水に漬け……を繰り返していると、水がだんだんと白濁してきました。溶けたかどうかはわからないけど、とりあえずラクチュコピクリンが含まれる汁ができたのは間違いなさそうです。

これを一気して、体調や心身にどのような変化が出るかを確認してみようと思います。と言ってもn=1の短期実験に過ぎないので一般化はできませんが。。
意を決して、ぐいっと行ったれ!

……(✗👅✗)にっがー! クッソ苦い! 目が回りそうだ……!!
そうでした、ラクチュコピクリンやラクチュシンは「非常に苦味が強い」という特徴があるんだった。ワイルドレタスも、原産地では「ビターレタス」と呼ばれているそうで、ともかく苦いのが特徴みたいです。

ただ、この苦さ、慣れると決して苦じゃない。というか、非常に胃に良さそうな苦味です。
実際、キク科の苦い種類のいくつかは健胃作用をもち、民間薬的に用いられてもいます。有名なものに沖縄でンジャナとして食べられているホソバワダンがあります。

レタスの原種(近縁種)と春告茸
ここ数年慢性的胃炎に苦しめられている。 胃薬で抑えているが、ずっと医者に通い続けることを考えると頭が痛い。 そんなわけで、胃によい食材には目がない。 「健胃作用」なんて書いてあるとついつい手を出してしまう。 カレーを作る...

というか、ワイルドレタスやこのアキノノゲシ自体、苦味を楽しむ山菜として一部地域で愛されています。沖縄では野菜としても用いられているとか。南の人、苦いもん好きだもんね~
慢性的に胃を悪くしてる茸本としてもこれは歓迎すべき苦味でしょう。

効果は?

さて、実際にその後変化が起きたかというと……

……正直、よくわからんです。食べたあとフツーにTwitterでレスバとかしてたし、鎮静作用は果たしてあったのか……
あ、でももしかしたら眠りが深くなったかもしれない。ここんとこ眠りが浅くて、どんなに遅く寝ても早朝に目覚めちゃって困ってたんだけど、久々にスカッと眠ることができました。これはもしかしたらラクチュコピクリンのせいかも。


翌日は葉をサラダに。

その次の日は中華風の炒めものに。

さらに翌日は沖縄のンジャナ風に白和えにして食べてみたけど、やっぱり夜の寝付きはすごくいいように思います。ここ最近悩まされてた悪夢も見なくなったなぁ。
もしこれがラクチュコピクリンのおかげだとしたら、市販の快眠系サプリ(ネル○ダ)くらいの効き目はぼくにとってはあるのかもしれません。

茎もパリパリしてうまい


あと普通にこの苦味気に入ったわ。特に白和えが良い! 連れは全然ダメみたいだけど。

味:★★★☆☆ 
入手難易度:★☆☆☆☆



ちなみにですが、ラクチュコピクリンはワイルドじゃない市販のレタスにも微量含まれています。なので鎮静効果を期待したくなるのですが、レタス程度の含有量では効果の発現は期待できないそうです。
まあアキノノゲシなんてどこにでも生えてるから採ってきたらいいと思うよ。苦いの大丈夫な人にとってはふつうに美味しい野草として楽しめるでしょうしね。

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野食ハンマープライス

コメント

  1. 田中惠一 より:

    子供の頃飼っていたウサギの好物で、朝、近所の原っぱへ採りに行ってました。あいついつも寝てばかりいたのは成分由来だったのか? おかげで今でも、叢の中でやたら目につき易いのですが、ウサギがあまりに夢中で食べるので自分でも少しつまみ食いしてみたことがあります。苦かったけど、タンポポほどではなかったかな。タンポポのサラダは欧州では普通らしいし、今なら苦いのも美味のうち。葛の葉、藤の葉、ハコベ、オオバコ等々、ウサギが好きなものは大抵、人間が食べてもいけますね(どれも試した)。 こちらの記事を拝見するようになってから、道端の草藪など食料の山に見えて仕方ありません。店が空っぽになっても困らないかな。

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