先日、会社をサボって休んでウツボ釣りに行ったのだが、その際に隣のフカセ釣り師が掛けたアイゴを貰うことに成功した。
ありがとうおじさん、でも43㎝もある元気なアイゴを堤防上に放置して知らんぷりするのは、いろいろアレ過ぎて地獄に落ちそうだからやめた方がいいですよ。
夏の間の好敵手にして最強の餌取りでもあるアイゴだが、一般的には磯臭い魚として知られている。(地方名の「バリ」もおしっこという意味だ)
しかし、僕は福岡にいたころからよく食べており、好きな魚のひとつだ。
関東ではお店で手に入らないので、銛で突いたり、釣れたものを貰ったり(フカセをやらないので自分で釣ることはまずない)してたびたび食べてきた。
アイゴのぜんまいに再挑戦
さて、以前“小便魚”アイゴの内臓「ぜんまい」を食べてみた!という記事でアイゴの内臓にトライしてみたのだが、魅力は理解したもののちょっと苦しいな……という感想だった。
海藻を主食とするアイゴは、腸が非常に長く体内で渦を巻いており「ぜんまい」と呼ばれている。
アイゴをよく食べる九州地方でも、磯臭さの強烈な腸に関してはあまり食べる話を聞かず、むしろ身に匂いが移るのを防ぐため釣り場で頭ごと切り離して捨てるのが一般的だ。
これが、瀬戸内沿岸や四国に行くと途端に珍重されるようになり「アイゴはぜんまいを食べる魚」とまで言われるようになるらしい。
全く食文化とは不思議なものだが、確かに磯臭さというのはアンモニアによる部分が大きく、受容範囲は人によって大きく変わってくるだろう。
普段から養殖魚ばかり食べている人にはアイゴの匂いは厳しいだろうし、逆に磯の魚ばかりを食べている人にはむしろ穏やかなものに感じられるかもしれない。(メジナを非常に愛好する北部九州でもアイゴの内臓は臭いとされているんだけど)
さて、当該の記事を後悔した後、魚好きのバイブルともいえるインターネット魚図鑑「ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑」でアイゴのぜんまいに関しての記載が強化されていた。
新たに煮付けが写真とともに言及されており「魚類中内臓の美味さは屈指」とまで書かれている。
正直、前回食べたときの印象としては可もなく不可もなくと言ったところだったのだが、ここまで手放しで褒められているのを見ると、再度挑戦してみたくなる。
やっていきましょう。
アイゴのぜんまいを煮付けで食べてみた
取りだしたぜんまい。
未消化~消化済みの海藻と思われるものがいっぱい詰まっており、厳しさが伝わってくる。
前回の記事の結論で「切って開いて内容物を全部出せばイケるかも」という推測をしていたのだが、これを食べる地域では特にそういった処理をせず、魚体に収めた状態で丸のまま煮ることも多いという。
ちょっと悩んだが、今回も内容物は処理せずに調理してみることにした。
鍋に醤油、酒、砂糖と水を入れて沸かし、
ぜんまいを入れてじっくり煮る。
……内容物が出てきて、実に見目よろしくない。
緑はいかんよ緑は……
煮上がった。ウンコ内容物が噴出している……
いやしかし、これが美味しいのかも……
……(;~;)
リームーだわこれは……
海藻がね……ジャリジャリするのよね……
内容物を見る限り、このアイゴが主食にしているのはサンゴ藻の類のようだ。
これは石灰化した細胞壁を持っているため、胃の中でジャリジャリと砂状になっていてとても食べることができない。
あまりの仕打ちにブチ切れて、ザルでジャコジャコ洗いパーツごとに分けてみた。
これなら多少はイケるかな。
大腸の壁の厚い部分はコリコリとしており、焼き鳥のモツのようだ。(ジャリつくけど)
肝臓もしこしことしていてなかなか美味しい。(ジャリつくけど)
内臓脂肪は前回の個体より少ないものの、牛脂に似ていて好みの味だ。(ジャリつくけど)
そして面白いことに、醤油で濃いめに煮られることで、ぜんまいの磯臭さが、サザエやアワビの内臓の風味と近しいものになるのだ。
これは確かに、煮付けにすると美味しくなるものと言っていいかもしれない(ジャリつかなければ)
味:★★☆☆☆ ポテンシャルは大いに感じる
価格:★★★☆☆
三浦や伊豆においては近年、磯焼けが非常に深刻化してきており、原因の一端として温暖化によるアイゴの生息数の増大が挙げられている。
磯焼けになると、浅場の岩には海藻類の代わりにサンゴ藻が繁殖してしまう。
急に増えたアイゴ類が、このサンゴ藻を主食にしてしまい、磯臭さの増大やぜんまいの価値の毀損を起こしているのではないだろうか。(そもそもぜんまいはこちらでは市場価値ないけど)
さらにこれも仮説ではあるが、外洋に面した水のきれいな磯よりも、内湾に面したところのアイゴの方が美味しいのかもしれない。
瀬戸内海は当然そうだし、福岡でも外湾に面した港(玄海島とか)よりも、博多湾・唐津湾に面した港(唐泊とか福吉とか)で釣れたアイゴの方が美味しかった記憶があるのだ。
これは先ほどの磯焼けや、あるいは生息している藻類の違いもあるかもしれない。
また、これらの漁港でアイゴが釣れるのは主に夏で、市場に出回るのも夏が多いのだが、臭みを感じたことは無かった。
夏に美味しくなる魚なのかもしれない。
それから、ぜんまいごと煮られるアイゴは20㎝位までの中型のものが多いとも聞く。
これはあまり大きくなっていないアイゴが、柔らかい藻類を主食にしているため、磯臭さや内容物の食べづらさが少ないためではないか……という気もする(全くの推論だけど)
これらの論を実証するには、
1.三浦・伊豆で小~中サイズのアイゴを釣って食べる
2.西日本に行った際に、内湾で釣れるアイゴをゲットして食べる
の2点は最低やらないといけない。
めんどいけど、興味あるので引き続き頑張ります。
アイゴ好きなんですよ、関東じゃ全然分かってもらえないけど……
コメント
私も三浦で隣のおじさんが釣ったアイゴを
煮付けにしたことがあります。
内臓は捨てましたが、めちゃくちゃ好みの味でした。
適度な磯臭さがいいんですね。
売ってたら買うのにな。
ちなみに季節もちょうど今頃でした。
そう、魚好きこそ好きになる味だと思うんですよ……現に沖縄では人気がありますしね。棘を切った状態で流通させられたらいいのになと常々思っています。いまでも朝市なんかでは見かけますけど。
アイゴ釣り!!!行きたい!!!
最近は、ず~~っと好きだったはずの穴釣りよりも、アイゴ釣りたさに慣れないフカセ始めました^q^
アイゴ釣れて喜んでると、みんな「変わってるね~」と言いながら自分の釣れたアイゴくれるから楽しいです。相当数アイゴをいただいたのに、隠し剣の存在を知らなかったのはかなり運がよかったのでしょうね…おーこわ…
しかし相変わらずぜんまいの威力たるや…。画像を見るだけであの香りが…おっふ。
苦笑というか漏れる苦笑いと共に見ていたのですが、ブチ切れてザルで洗ったくだりで普通に決壊しました。クソワロタw
しかし内容物を処理したら、煮つけは逆に好きかもしれない。寒い季節になったし、試してみる価値はありそうです!
アイゴ、釣り味について言えばかなり上位ですからね! 味も良いし、関東でももっとみんな狙えばいいのにな~
内容物の処理が大変面倒だと思うのですよ……なんせぐるぐるになってますからね……
なので内容物ごと食べられるのならそれが一番なのですが……うーむ
初めまして。
いつも楽しく読ませてもらってます。
茸本さんに習い、食材の評価は伝聞を鵜呑みにせず、自分で食って判断することにしています。
…で、天王洲アイル付近の運河でミノーに引っかかっちゃったボラ、普通に美味しく食べられました。捌く時臭かったので、ビビって刺身は試さず、唐揚げにしちゃったんですが。
魚臭いのが苦手なお嫁さまもぱくぱく食べてたので、以後何度か引っ掛けて食べてますが、別に臭くもないです。あれ?って感じ。何で嫌われてるんですかね?
アイゴも、貰ったら試してみようと思いまーす。
京浜運河のボラですか……!? それはまたヘヴィーなものを……
と思いましたが、東扇島で釣れたボラもそんなに臭くなかったなそういえば……
迅速に内臓を出し、皮目を処理すれば結構イケるのかもしれませんね! 本当に臭いやつも時々いますけど。。
京浜運河のさらに奥の支流、高浜運河のボラです笑
一応釣ったらすぐ血と内臓抜いてます。
でもやっぱりハズレの個体があるんですね…
ちなみに、別の記事に書かれていた、京浜運河のセイゴの風味、というのも感じたことはないんですよね。
うちの家族が鈍感なのか、単にハズレを引いてないだけなのか…
スズキに振られるたびに、八つ当たりでボラさん引っ掛けてるので、二桁は食ってるんですがね〜
茸本さんを見習って、今後も色んなモノに挑戦してみます。