「野食のススメ」第11回の記事が公開されました!!
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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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「野食のススメ」のような連載をやっていると、食材に対する考え方に変化が生まれてくる。
具体的にいうと「旨味だけが魅力じゃない」ということ。
いやもちろん大前提として「美味しいから野食する」というのはあるわけだけど、美味であればあるほど至上だという考え方では息詰まってしまうし、逆説的であるが「本当に美味しいものが見つからない」という状況に陥ってしまうと思う。
様々な「可食」にトライし、調理法や季節などを変えて試行錯誤していくうちに出会えるものこそが真の美味であり、自分にとってのオンリーワングルメなんじゃないかと思うのだ。
で、そういう考え方のもとに様々な可食材を探していると、「旨味が強い」という以外で大切なのは「身近である」、「見分けやすい」それから「個性がある」という3点なのではないかと思えてきた。
前の2つは「気軽に挑戦でき、試行錯誤しやすい」ということ、残りの1つは「ほかにない味わいと出会える」ということから。
そしてこれらを満たす素晴らしいキノコを、今の時期に採ることができる。
カンゾウタケはキノコ界随一の個性さん
カンゾウタケというキノコは、いくつかある「初心者にもやさしいキノコ」のなかでもトップクラスに安全なキノコと言える。
なにせ近縁種がなく、見た目から発生時期から味から何もかもが個性の塊なのだ。
詳しくは過去の記事を見ていただきたいのだが、他のキノコがまだ姿を見せない梅雨前の乾燥期に、スダジイの老木から出てくる真っピンクのキノコであるという点で、まず他のキノコとは間違えようがない。
断面の独特さ、赤い液体が大量に出るという点でも他のキノコとは一線を画す。
スダジイの木は関東地方の日当たりの良い丘陵地帯では実にありふれた木で、寺社の後背林などには特に巨大な老木がみられる。
そのためカンゾウタケは東京都心でもしょっちゅう見かけることができるし、初心者でも容易に採取・食用にできる。
見間違えそうなキノコは……ヒイロタケくらい? でもこっちは小さいしぱっきぱきに硬いからすぐに違うって分かるはず。
肝心の味の方はというと、歯ごたえ、旨味ともにあるが酸味が強く、調理にはちょっと工夫が必要だ。
かつて様々な試行錯誤の結果「カレーに入れるのが一番美味い」という結論に至ったのだが、あれから4年経ってもう一度いろいろ試してみたくなった。
カンゾウタケは「牛タンキノコ」?
で、いつものシロに行って採ってきたのがこちら。
かわいい pic.twitter.com/WYkVUpzg7f
— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) May 20, 2017
めっちゃラブリーやん……(*’ω’)
カンゾウタケは普通はサルノコシカケ状に平らに開くのだが、スダジイの根元のうろから発生すると、こんな風に柄が大きい形状になる。
他にもいくつか若くて新鮮なものや、老成したものが採れた。
老成すると風味が強くなるので、カレーにぶっこんで一晩寝かすのが一番美味しい。
ルーはあまり辛口じゃないほうがよいかもです。
市販のカレールーで作ったカレーが、なぜかトマトピューレとデミグラスソースにガラムマサラで作ったような本格派の味わいになるので面白い。
んだけど、若いものは今回どうしてみようかしら。
ヒントを得るべくネットで調べてみたが、そもそも日本人というのはキノコが好きな割にキノコの食べ方に工夫があまりなく、さらにこのカンゾウタケは食用キノコとしては全くマイナーなので、あまり面白いレシピは見つからなかった。
野生キノコのレシピを調べるときには、ヨーロッパの知識に頼るのが一番だ。
キノコといえば網焼きかみそ汁と思ってるジャポネーどもに、世界に冠たるフレンチの知識を教えてやってくだせぇよヘッヘッ(揉み手)
フランスの図鑑「生で食え」
仏語Wikipedia「sashimiとかsushiで食べられるよ」
さっぱり役に立たねぇ!!!
てめえらはShiitake生で食ってアレルギーになってろこん畜生!
……あ、でもカンゾウタケ、フランスだと「langue de boeuf」牛タンキノコって言うんやね。。
じゃあ、牛タンみたいに料理してやればワンチャンあるかしら。
まず、全体に火を通しつつ酸味を抜くために、たっぷりのお湯でゆでる。
取り出して塩コショウをまぶし、余計な水分を抜いておく。
フライパンにたっぷりのバターを溶かし、ハーブとニンニクで香りをつけ、
カンゾウタケを入れてしっかりソテーする。
焦げ目がつくまで焼きたい……のだがちょっと水分が多すぎて無理そう。
アンズのブランデーを少量入れてフランベ。
厚めに切り分け、フライパンに残った煮汁を振りかければ
カンゾウタケの牛タン風ソテー、完成!
いただきマース
……(・~・)
……あーね、うん、まあ歯ごたえがね、牛タンっぽいといえばポイかな。
牛タンっぽいエリンギってカンジ。
悪くはないけど、やっぱり酸味がなぁ……
バターじゃなくてオリーブオイルでソテーして、冷蔵庫で冷やして冷製のオードブルにした方が美味いだろうな。
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
明日はもっとドラスティックに方向転換したレシピにトライしてみよう。。
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