タニシのタンクメイト風お雑煮を作ってみた:茸本朗のお雑煮探訪②

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年末に、イグニ(@amaze3551)さんのご案内で茨城に淡水貝を採りに行きました。

用水路や側溝が主戦場

本命はイシガイ系のもろもろだったのですが、道中寄った水路で試しにガサガサしてみると、タニシがいっぱい採れたんです。

ほとんどがヒメタニシ、もしかするとマルタニシも数匹いるかな? くらいのイメージ。
田んぼがたくさんあると、タニシがいつでも採れていいですよね。うらやましい。


さて、タニシが食べて美味しい貝であることは今更言うまでもない……と思っていましたが、知識として持ってはいても、実際に食べたことがないという人は多いようです。

ヒメタニシはジャンボタニシよりずっと美味しい
☆★☆★☆「僕は君を太らせたい!」★☆★☆★ 以前ハクレンハントでいろいろとお世話になった茨城のNさんから、クールの荷物が届きました。 これは……タニシ! 田んぼや用水路、ため池など...

かくいうぼくも前回イグニさんに送ってもらうまでは、ちゃんと料理して食べたことはありませんでした。
実際にやってみると黄金色のめちゃ美味しい出汁は出るし、身もコリコリと歯ごたえいいし、内臓に至っては豊潤で甘みすら感じるコク味がありまして「こりゃあ美味い」と感激したわけです。

というわけで今回も喜んで貰ってきたわけですが、食べるまでに結構な苦労があることはこの度初めて知りました。

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タニシを泥抜きして雑煮にしてみた

採りたてのタニシはこの通り

苔がついており、これが強烈な沼臭(とわずかなゲオスミン)を放っています。
また腸内にも内容物(つまり糞)がみっちり詰まっており、泥臭さの原因となります。
なのでまずはこれらを何とかせねばならない。

シンプルに言えば泥抜きなのですが、これが意外と厄介なのです。
まず、ペットボトル等の閉鎖空間に入れて、水を3/4くらい入れてふたを閉めます。

このまま冷暗所に放置しておくと、彼らは動き回り、糞を出していきます。水がどんどん汚れるのですぐにわかります。
ただ、糞を出す一方で、彼らはお互いの殻についている苔を食べあいます。このため最初のうちは実質泥抜きが始まっていない状況が続くわけです。
この食欲を見れば、彼らがタンクメイト(水槽内に放しておくと、藻などを食べて水槽をきれいにしてくれる生き物)として重宝される理由がわかります。

またよく動くせいか水中の酸素量に敏感で、水替えを忘れるとすぐに水面や水上に上がってきてしまいます。(ペットボトルの中に空間を作るのは窒息死させないため)
幸い水質の変化に強く、またカルキ抜きをしていない水道水中でも平気で生きていけるので、水替え自体を忘れなければいつまでも生きています。


今回は都合10日間ほど放置しました。

ご覧の通り、ほとんどの個体の殻についていた苔が食べつくされ、また水も濁らなくなってきました。
ただ、これはまず第一段階が終了しただけ。

このあと、殻についている苔や汚れを、手できれいに洗い落としていく必要があります。ともかく苔が少しでも入り込んでしまうと、あなたの鍋が田んぼの用水路(のザリガニ巣穴の中)に変貌してしまうので……。

タニシをざるに入れ、溜めた水の中でこすり合わせながら洗っていきます。


めっちゃ水が汚れるのでガンガン変えます……手間も水道代もかかるぜ……
ヒメタニシ、アメ横センタービルの地下で一皿2000円くらいで売られていますがさもありなんというカンジです。食べるまでの手間がすごい。

15分ほど水を変えながら洗って、ようやく汚れが出なくなってきたので、ざるから上げて料理の準備をします……
が、このとき、忘れずに「死んだ個体をより分けて、捨てる」ことを行ってください。泥抜き中に死んだタニシが料理に混ざると一発でダメになります(←経験者)


死んだ個体はイグニさん曰く「蓋が採れて落ちてしまっている」そうです。あとは匂いを嗅ぐと強烈に臭いのでわかります。


ここまでしてようやく調理が開始できます。あーめんどくさ……
泥抜き、苔落とし済みのタニシをもらった方がいたら、ぜひ相手の方にねぎらいの言葉をかけてあげてください。


まあでもここまでしてでも食べたくなるほどタニシは美味しいのです。こればかりはぜひ食べてみてくださいとしか言えないんだけど。

今回はせっかく正月なので、お雑煮にしてみることにしました。

まずタニシを水から火にかけ、出汁をとります。

ひゃー美味そう。香りは最初のうちちょっとだけ田んぼ風味がありますが、しばらく沸騰させていると消えます。

みりんと昆布だしで味を整え、1杯は醤油仕立て、もう1杯はみそ仕立てにしてみましょう。
菜っ葉は、、田んぼをイメージして


セリにしました。

あとは焼いた餅を投入して……

できた!

タニシ雑煮、完成です。

餅の上にタンクメイト風にタニシちゃんを乗せてみました。
醤油仕立ての方が、底に沈んだタニシも見えてより水槽っぽいですね。アクアリウムをやってる皆さんは食欲が減退するかもしれない。

いただきマース

……(≧〰≦)ウマー
だいたいの場合、タニシ料理って匂いを抑えるために味噌をもちいることが多いのですが、今回は泥抜きがきっちりできているので醤油仕立ての薄味でも全く臭みが気になりません。
深みがありこっくりとしたよい出汁が出て、餅との絡みがいいです。

味:★★★★☆
価格:★★★★☆



雑煮だけど二日酔いにめっちゃ効きそう。正月で疲れ切った胃腸を、タニシ雑煮でねぎらってあげるのはいかがでしょうか。。

身も内臓もちょううまい

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魚介その2(魚以外)
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野食ハンマープライス

コメント

  1. 名田 より:

    大粒のタニシだったら、下処理をしっかり、おでんに入れたらサザエのような食感が楽しめます。

  2. 翡翠 より:

    スクミリンゴガイ内蔵ごと食べた時は田んぼが口中に広がったのでタニシ系は無理かと思っていましたが…ヒメタニシは内蔵もいけるのですね!
    ヒメとマル捨ててジャンボだけ取ってた自分を殴りたい。

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