オオグソクムシは「がん汁」にするのがいいんじゃないかな

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はい、というわけでオオグソクムシを無駄なく食べる方法を考えていきたいわけですが、野食界隈に詳しい人ならすでに「あっ茸本あれやるんじゃねぇの」とお察しの方もいらっしゃるやもしれませぬ。

タイワンガザミ(+ガン汁)- ざざむし。

ある意味究極のカニ料理「かにこ汁(がん汁)」 – デイリーポータルZ

そう、がん汁です。
モクズガニやショウジンガニなど、美味ではあるもののサイズが小さく、食べるのに手間がかかるカニを美味しく食べるため、全国各地で行われている調理法。
シンプルにいうと「材料をつぶし、水を足してエキスを漉しとり、加熱したもの」です。

似たものにフランス料理のビスクがありますが、こちらは水やワインを加えて加熱後にエキスを漉しとるものなので、レシピ的には結構大きな差があります。


いずれにしても、節が多く肉が少ないオオグソクムシにはぴったりの調理法といえるでしょう。
ただオオグソクムシとカニはお互いかなり遠い生物なので「がん汁」という名称は本当はふさわしくないです。
なんかいい名前ないかな~。宿題としましょう。

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オオグソクムシの「がん汁」を作ってみた


グソクムシは腹膜を切って胃と消化管をきれいに取り去っておきます。


これをミキサーでぶいーっと回します。
できるだけ低速回転がいいです。高速だと殻が粉末化してしまうので、食べるときに口当たりが悪くなります。

一回目のエキス。

ざるで漉し、ミキサーに戻します。


エキスと同量の水を入れて、またひと回し。


これをもう一度繰り返し、ギュッと力をかけて絞ってすべてのエキスを搾り取ります。


殻の残骸に身が残っていないと確信できるまで絞りましょう。


とれたエキス。
カニで作ったものと比べると、ややピンクがかっていて美味しそう……ではないな。
生臭みも強く、このままグイッといくのはしんどそうです。いかないけど。



これを鍋に入れて、加熱します。


タンパク質の固体化が始まったらかきまぜ……って、あれっ

なんか、

急に全体が膜状に!?


これあれだ、別府温泉の坊主地獄だ。

カニと比べると固形化しやすいたんぱく質なんでしょうか。あるいは組成の問題か。
いずれにしても、かき混ぜるタイミングを逃してしまいました。まあこれはこれでいいか……


固まりきる前に塩をふぁさっと入れて、そっとヘラで全体を混ぜると

固まったエキスが団子状になり、透き通った汁と固体部分に別れます。
ここで、ナスを投入!

通常、がん汁はカニ以外の具を使わないというのが一般的ですが、ぼくが初めてがん汁を食べた大分・耶馬溪のお店ではナスが入ったものが出てきました。
このナスがね……もうカニ以上じゃねぇかってくらい美味かったんです。
なので誰が何と言おうとぼくはがん汁にナスを入れる。
以上、青年の主張でした。

ちなみに高知・仁淀川流域でもナスは外せないとのこと。
ぼくのバイブルにそう書いてあったんで間違いない。



最後に醤油を風味づけ程度に入れて、完成です。

香りは……うーん、甲殻類!w
なんでしょう、カニともエビとも違う、でもやっぱり甲殻類って感じの香りなんですよね。
近いのはやっぱりシャコかねぇ……
生臭みはないですが、ちょっと海苔っぽいような独特な香りがあります。

まずは汁から、ずぞぞーっと

……(`・〰・´)
うん、いいですね。出汁出てるし、風味も良い。
ただ、がん汁と比べると香りが弱い分、全体的におとなしいです。

固体部分のほうは……

……Σ(◎〰◎*)
ウハッ味濃いwwwwなんだこれwwww
よく、がん汁は「飲むカニ」なんて表現されますが、これはむしろ食べるグソクムシ……いやそれじゃただのグソクムシじゃねえか……ちがう、ぼくが言いたいのは「グソクムシという存在そのものを噛みしめているような感じ」ということです。
ともかく身の味が濃いのがグソクムシの特長だということは分かっていましたが、これはまた非常に素晴らしい味です。
表現が難しいですが、エビとカニとイワシで二等辺三角形を作った場合の重心くらいの味わいです。たいへん佳い。

ナスも抜群に美味い。今の時期の、高価なうえに味の薄いナスを使っても、おつりが来るぐらい入れたほうがよいです。
うまいぞおおおおおおおおおお!

味:★★★★★
価格:★★★★★



ということで試作は成功に終わりましたが、課題もないわけではない。

まず、あの独特な海藻っぽい匂いが、冷めるとちょっと気になります。
オオグソクムシは口の周りに臭腺的なものがあるという話があり、場合によってはあらかじめ口回りを切除してからエキスを取ったほうがよいかもわかりません。

それから、オオグソクムシはシャコと同レベルで鮮度落ちが激しいようなので、これもともかく鮮度が命です。
生きたものをすりつぶすぐらいの覚悟が必要かもしれない。お命、頂戴候……

あと、原価的には今回のが 数千円/杯 だからね。それをどう考えるか。
まあ年末年始とかお祝い事にはいいんじゃないでしょうか。

ともかく美味、本家がん汁を凌駕しかねない存在なので、興味のある人は今すぐ焼津にGO! するか、ふるさと納税に15000円ぐらいプッシュしてみてください。たぶん焼津行って長兼丸さんから買うのが一番早く、安上がりでかつ楽しいぞ。

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魚介その2(魚以外) 深海魚
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野食ハンマープライス

コメント

  1. mau より:

    筆者の具足も昇天ですね

  2. ちん。 より:

    まさに愚息汁ですね

  3. 野肉は美味い より:

    つみれみたいwww

  4. たいめん より:

    >ぼくのバイブル
    私も持ってますが今こんなに高騰してるんですか…。買っといてよかったぜw

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