霞ヶ浦に浮かぶ「沼のナタデココ」オオマリコケムシは超臭いけど結構食える

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先日、外来種ハントツアーで霞ヶ浦をうろうろしていたら、ナガエツルノゲイトウの群落で詰まりかけた水門のところに謎の物体Xがふよふよしているのを見つけました。

大きさは直径25cm程度で、一瞬ミドリガメかと思ったのですがよく見ると亀甲模様が小さい。さらに頭も尾もありません。なにより生命感がない。


たも網で掬い上げてみると、真ん丸な半透明の球体。霞ヶ浦の濁った水をそのまんま固めたようなものが上がってきました。なんぞこれ……


15秒くらい全力で考えた結果、これは「オオマリコケムシの群体」なのではないかという結論に至りました。

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謎生物オオマリコケムシ


オオマリコケムシは「外肛動物」なるグループに属する生物で、北アメリカ原産の外来生物だそうです。霞ヶ浦のような富栄養水域に生息し、多数の個体が集まった群体という形状で暮らしています。


今回拾った球体を割ると、内部はほぼ透明なゼラチン質が詰まっており、表面の亀甲模様のところにオオマリコケムシの本体が集まった層があるように見えます。

たぶんですが、表面のオオマリコケムシたちが周囲の水をろ過して栄養を摂取しながら内部に取り込んでいき、徐々に球体が大きくなっていくのではないかと思います。Wikipediaによるとこの球体は一畳分くらいになることがあるそうです。


このあともあちこちでオオマリコケムシの群体を見かけましたが、ボートや流木にくっついて浮かんでいるものもあれば単体で川底に沈んでいるものもありました。
ともかく水中にあればいいみたいで、テキトーな感じの生き物です。クラゲなんかにも感じるけど、一体どんなことを考えながら暮らしているんだろう。。、

オオマリコケムシ食べてみた

さてこのオオマリコケムシ群体ですが、気になるのはもちろん「食えるかどうか」。
Twitterに画像をアップすると、多くのかたから「探偵ナイトスクープで食べてた」というタレコミをいただきました。

しかし不思議なのは、誰も「どんな料理で食べていたか」「味は良かったのか」などの情報を一切覚えていない!
「きたねー溜め池に浮かぶ謎のボールを調理して食べた」という情報の字面が強すぎて、みんな他のことが頭に入っていかなかったのかもしれませんね。


まあでもおかげさまで「食えはする」ということはわかりまして、あとはどうやって調理すればうまく食えるかということだけを考えれば良さそうです。やったね(*≧∇≦)ノ


……(´・ω・`)やってない

いやいや、こんな霞ヶ浦の水固めただけの物質、どうやっても食える気はせんて! 
霞ヶ浦は豊かな生態系を育むいい湖だけど、水質の悪さは全国ワーストランキング常連。湖岸にたつとモワっと蒸れたにほひが漂う様子は、我が故郷の誇る児島湖にも負けていません。
言っちゃうとここの湖水は田んぼに張られた水のようなものです。うまい米は作れるけど人が飲めるもんやない。


でもまあオオマリコケムシ自体がこういう水を好む生き物なわけで、これを食べるにあたっては水質の悪さなどは食わないいいわけにはならないわけです。気合いを入れてやっていくしかねンだわ……


ということで取り急ぎ、内部のできるだけキレイそうなゼリー層をちぎり出し

よーく洗って、

茹でて食べてみました。
いただきまーす!

……
ッッッッッッツッッツッ
臭っせぇええぇぇぇぇぇえーーーー!!!

シンドッ! 田んぼの臭いしかせん! しかも施肥直後のやつ!
田んぼ脇の用水路でガサガサしたあとのたも網を口に突っ込まれた様だ……なんという戦闘力……!


でもね、でも……
食感自体は、かなり良い
寒天のプリプリ感とナタデココのムチムチ感をあわせ持っていて、ひどい臭いにも関わらず清涼感すら感じさせます。

これは、臭いさえ何とかしてやればワンチャンあるかもしらん。マリ子、わしがお前をプロデュースしてトップスターにしてやる……!


ということで一旦持ち帰り、塩と砂糖、酢、白ワインの混合物に3日ほど漬け込んで見ました。

塩と砂糖でマリ子の体内に含まれている邪悪な負のオーラを追い出し、さらに酢で藻臭さを、白ワインで生臭さを消し去る作戦です。


3日後、そこにはすっかりきれいになったマリ子が。なんだか半分くらいのサイズになっていますね。

これをきれいに水洗いし、熱湯でしっかりと茹でます。茹でるとさらに縮んでいき、最終的には当初の3分の1ほどの大きさになりました。

冷水にとって水気をきり、スライスしていただきます。味付けはとりあえずポン酢のみ。

いただきまーす
……
……(`・~・´)うん、イケる!
臭みはかなり薄まり、気にしなければ気にならないくらいのレベルになりました。一方で食感のよさは変わりなく、むしろさらにパリパリした質感が加わって大変よいです。これは正解だった…!

味:★★★☆☆
入手難易度:☆☆☆☆☆ いくらでもいますね


ということで何とか食べてもいいなというレベルまで持っていきました。でもまあ食用にするならはなっからもっときれいな水で培養した方がずっと楽でしょう。
砂糖などで味付けした水で育てたら甘くなったりするのかな。マリ子、お前はきっとまだまだ輝ける…!


オオマリコケムシ、無害そうですが、そのデカさゆえ水門などに詰まったり、在来生物たちの暮らしを圧迫したりしてしまうと考えられています。持ち帰るときは他の水域に伝播させてしまわないよう注意をお願いします。



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コメント

  1. 田中惠一 より:

    子供の頃河口湖で泳いでいたら、水草にこんにゃく玉の如き物体が幾つもくっ付いており
    、時折思い出してはあれはいったい何だったのだろうと気になっておりました。昭和五十年代の当時はネット検索などというものは無く、所持していた百科事典にもそのようなマイナー物件の記載などある筈も無く。今は良い時代ですね。

  2. 通りすがり より:

     もう皆さん言われてるようですが、ナイトスクープで調理した時には、真空処理でドブ水をできる限り抜いてからお酒にしばらく漬けて薄切りにして、ペーパータオルで更に水分を抜いてからフライとシュウマイにしたり、刻んだフルーツとココナッツミルクでポンチにしたりしていましたね。
     ドブ臭さはかなり抜けていたようですが、食べた出演者はその後お腹を壊してしまったそうです。

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