星海社ウェブサイト「ジセダイ」にて連載させていただいておりやす「野食のススメ」。
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「野食のススメ 東京自給自足生活」
 を連載しています!!


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お読みいただいている皆様のおかげで、今週金曜日に第5回の記事が掲載される予定です。
 今回は、誰もが知る某巨大都市河川で、タモ網によるガサ&周辺の散策のみで食材を一揃い集め、一膳作ってみました。
 冷たい秋雨を浴びながら腰まで水に入り、ひたすら網を振り回し続ける1日でしたが、おなじみ担当編集の平林さん&石川さんの活躍もあり、とても豪華な食卓となりました。
本編公開までしばしの間、こちらのスピンオフ記事をお楽しみいただければと思います。
カマツカはやっぱり川のキスだった…… のか?
今回の記事でメイン料理のひとつとなったのが、カマツカ。


 日本の川を牛耳るコイ目コイ科の一種でありながら、砂泥での暮らしに特化した結果、かなり特異な形態になった魚だ。



 この魚のシルエットを見て川魚だと分かる人は結構な魚通なんじゃないかという気がする。
 知らない人なら「キスの一種かな?」と思ってもおかしくない。
 そのため、釣り人や川漁師の中ではカマツカを「カワギス(川のキス)」と呼ぶ人も多い。
カマツカはキスと比べると各鰭が大きい一方で、第二背鰭がなく、水中でのようすも結構異なるため近縁でないことはすぐにわかる。(ひげも生えてるし)
 しかし驚くと砂に潜ることや、吸い込むように摂餌するところなど、生態に似ている部分が多い。
 そのため形態も似ており、例えば吻の形は収斂進化のひとつだろうと思われる。
ただ、キスと比べるとちょっと面長な印象を受ける。
 口の悪い川漁師は「ウエハラ」と呼んでいるという。
 似ているのは見た目だけではなく、味も川のキスの名にふさわしいものだ。
 本記事の中ではごくシンプルに食べてみたのだが、臭みの全くない淡泊な白身に、皮の鄙びた風味が合わさって、シロギスと比べても全く遜色のない美味しさだった。
 大きいものは脂も乗り、かなりおつな味だ。
 ただ、実を言うと一番やってみたい料理はできなかったのだ。
 それには理由があるのだが、取材が終わった後もやっぱり「食べてみたいなぁ……」という欲求は収まらなかった。
 そんな折、先日鹿茸を送ってくれた三重県の猟師Sさんが、見事な型のカマツカをたくさん送ってくれた。
 これはもう一度トライしろという神のお告げに違いないと思い、もう一度川に採りに行って大型のものを追加し、やってみたい料理に十分な量を揃えた。
さっそく、トライしてみたいと思う。
カマツカの洗い&湯引き&焼きびたしを食べてみた
今回の取材でカマツカを調理するにあたり、まずは例によってぼうずコンニャクさんのところを参照してみた。
すると、オススメ料理の中に「洗い」があった。
 活けのものを背越しにして井戸水で洗うのだという。
河川の上流域で採れるカマツカは確かに臭みもなく、刺身でも行けそうな気がするが、やはり寄生虫が怖い。
 そのため本編で取り上げるわけにはいかなかったのだが、個人的にはコイやフナなど淡水魚の洗いはかなり好きなもののひとつ。
 スピンオフ記事の中ならば公開しても許されるだろう。
とはいえ、念には念を入れて冷凍庫で凍らせ、24時間待って調理することにした。


 鱗と内臓をとり、よく水洗いしたカマツカを



 背骨ごとスライスし、



 個人的な好みから氷水ではなく、塩水でさっと締める。



 完成!!
 いただきマース
……(≧~≦)
 美味い!
 シロギスと比べるとやや身が柔らかいんだけど、ゼラチン質を感じさせるようなむちむち感があり、脂も乗っていて意外に濃厚だ。
 生の皮には川魚らしい鄙びた匂いがあるが、臭みとして気になるものではない。
 洗いとしての完成度はとても高いと思う。
味:★★★★☆
 価格:★★★★☆
 続いて湯引き。



 3枚におろし



 ペーパータオルをかけて皮目にさっと熱湯をかけ



 すぐに冷水にとる。



 ……(`・~・´)
 これもなかなか乙だね!
 皮に火が通ることで、より心地よい風味になり、また加熱によって身が締まりながらもホクホク感が出てきた。
 皮目に脂があって、シロギスよりもカマスに似ているような気がする。
味:★★★★☆
 価格:★★★★☆
 最後に焼きびたし。



 鱗だけをとったカマツカをじっくりと焼き



左向いて~



右!



 薄味でさっと煮て、そのまま冷ます。



 ……(≧∀≦)
 イイネ!
 カマツカの身は焼くと締まるのがいい。
 煮ると全体からとても良い出汁が出て、それが煮汁とともに再度身に染み込んでいるのが素晴らしい。
 内臓の苦味も心地よい。
味:★★★★☆
 価格:★★★★☆
 総合すると、やはりカマツカは川魚屈指の美味と言うことができると思う。
 惜しむらくはあまり大きくならず、最大でも20㎝位にしかならないという点だが、都市近郊の河川でも簡単に手に入るというのはありがたいところだ。
 今回はタモ網で採ったが、大きいものを狙い撃ちするなら釣りもオススメ。
 琵琶湖周辺では高値で取引されているというこの魚、気になった人はタモ網 or のべ竿を持って川に行ってみてほしい。
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コメント
うまそう(迫真
海の釣りしかしたことないですが、川もほんとによさそうですね…じゅるり
悩みどころとしては埼玉では泡が浮いて澱んでいるような河川のイメージしかなく、場所選びに苦労しそうです…
話は変わりますが、一昨日釣ってきたアイゴ、とりあえず刺身と焼き物作りながら「うーん、ぜんまい食べてみたいけど怖いな、うーん」とか悩んでたらいつの間にかオカンに捨てられてました(´・ω・`)次は食べてやるんだお…
川の魚の味は、平均すると海のそれよりも上かもしれないなと思っています。サケ・マス類だけじゃなく、コイやフナも条件さえ整えばめちゃくちゃ美味しいです。
埼玉北部、東部は水路なんかは多いですが、環境がいいところはあまり多くないですよねぇ……
東部、秩父方面ならあるいは。。
ああ……wwまあ、ゼンマイは迷ってるヒマもないくらい速攻で鮮度落ちちゃうので、今回はしょうがなかったと思うしかないですよw
今件も見事にありがとう!
鮎漁する人間の9割は雑魚外道扱いする魚が、舞台に上がれば川の宝になる。
いや、宝だったものが忘れられようとしてる昨今か…。
今後も大事に扱いたいと思います✨
鹿児島のド田舎出身の親父(80)によると、コレが一番ステータスが高かったそうです。ヤマメやイワナはいないし、鮎は子供が獲るのは難しいからなあ…。