実は“超”高級食材!?フジツボを刺身&塩茹でで食べた

タコが食材として優秀な理由はいろいろあるが、やはり歩留まりが良いというのは大きなポイントだろう。
墨袋と鰓さえ取ればいい(鰓も食べようと思えば食べられる)ので、総重量の8~9割は可食部位といえる。
明石ものでなくても地ダコはそれなりの値段がするが、この歩留まりの良さを考えれば許せないこともない。

翻って甲殻類などは、歩留まりの点ではあまり優秀とはいえない。
どうしても殻の重量があるため、可食部位は5割程度に落ち込んでしまう。
身の美味しさがあるので許されてはいるが、食べ終わって冷静に残骸を見るとまるで詐欺にあったような気分になる。
巻き貝やホンビノスなどの貝類もそれに近いものが存在する。

しかし今回、その辺りの食材が甘っちょろいものに思えてくるような、脅威の低可食部位率食材を手に入れた。
それがコイツだ!
ミネフジツボ

ぱっと見でこれがなんだかわかる人はなかなかの通かもしれない。

これはフジツボの一種で、国内では最大の大きさを誇るミネフジツボという種である。
大きなものは高さ5cmを超え、まるで峰のように高くなるのでこのような名前になったと思われる。
ミネフジツボ
フジツボが食べられると言うことは、磯遊びをする人にはそれなりに知られている。
しかし、全国の磯で普通に見られる「クロフジツボ」と比べても二倍以上の大きさがあるため、初めて見た人は非常に驚いてくれる。

超高級食材・フジツボ

このミネフジツボ、主産地の青森県では養殖もされているようで、吉池に入荷しているものはいつも青森県産となっている。

フジツボみたいなありふれた食材、わざわざ養殖なんてするものか?と思った人、驚くなかれ。
このミネフジツボ、ネット通販などではキロ10,000円で売られていることもある。
僕の知る限りもっとも安いのが御徒町吉池なのだがそれでもキロ4,000円だった。
同じ日のヒラメがキロ2,500円、ノドグロがキロ3,800円である。

ネットショップでは「高級料亭などから引き合いが多い」と書かれていたが、需要はともかくとして価格的にはとても庶民向け炉端焼き屋などでは出せないだろう。

この価格のこともあって手を出してこなかったが、先日ついに決意を固めて購入してみることにした。
ミネフジツボ
2~4個のフジツボがくっついて塊になっており、大きいものから6個ほど見繕って積めてもらった。
ミネフジツボ
これで500g、2,000円
感覚の差はあると思うが、見た目よりも少ないなと思った人が多いのではないだろうか。

フジツボは甲殻類の一つなのだが、周囲の殻はセメント状の物質で構成されており、軽石なんかよりも重く、硬い。
ミネフジツボ
特に殻の底辺部分は、養殖時に土台とするホタテの貝殻が残っているので密度が高く、似ても焼いても食べられないくせにやたらと目方を稼ぎやがるのだ。

ミネフジツボの刺身

さて、せっかくマックスサイズに近いもの、しかもまだ元気に動いているほどの新鮮な個体を買ったので、まずは誰もやったことがないであろう「刺身」で食べてみたい。

一番大きな個体を一つ
ミネフジツボ,料理,刺身
ハンマーで叩き割る。

殻は中空の部分も多く、重さの割には割りやすい。
殻を取り、可食部位を取り出すと
ミネフジツボ,料理,刺身
たったのこれだけ…
重量比で言うと10分の1も残らない
ミネフジツボ,料理,刺身
醤油をかけて食べてみると…
(゜~゜)…

生のシャコの味だ!

見た目はさっぱり似てないもののさすが甲殻類同士、身の味は一緒と言うことか。
エビと比べると柔らかくて独特の潮の香りがあり、塩気はまろやかで甘味が物凄く濃い。

シャコ以外では、カンジャンケジャン(生のワタリガニの醤油漬け)にも似ている。
ワタリガニが美味しい理由はその甘みにあると言われるが、その甘みもひょっとするとフジツボの方が上かもしれない。

臭みの類も一切なく、可食部位がものすごく小さいこと以外はなかなか素晴らしい珍味と言える。

味:★★★☆☆
価格:★★★★★

驚いたことに触手すらも美味しい
ミネフジツボ,料理,触手
カメノテのようにもさもさして舌触りの悪いものではなく、じゃきじゃきぷちぷちとして歯切れよく、磯の香りがして美味しいのだ。
活けのフジツボだから美味しかったのかもしれない。

ミネフジツボの塩茹で

さて、それではいよいよ本命の塩茹でに。
茹で時間が分かりづらいが、生で食べても問題なかったのであまり熱を入れすぎないように、3分ほどで湯から揚げてみた。
ミネフジツボ,料理,塩茹で
このフジツボは殻口が非常に大きく、
ミネフジツボ,料理,塩茹で
ここから竹串を差し込んでグリグリやった後に、蓋板(フジツボの殻口を覆う、三角形の爪状の蓋。4枚1セット)をつまんで引っ張ると、中身を引きずり出すことができる。
NCM_0213
ミネフジツボ,料理,塩茹で
刺身で食べたときは液体状だった部分が加熱により凝固しており、ちょうど蒸しガニの殻の中の白いふわふわ状のものにそっくりになった。

さっそく食べてみると…
(≧~≦)!
こ、これは美味い!
筋肉部分は繊維状にほぐれて歯ごたえがあり、非常に上質なタラバガニの爪のようだ。
白いふわふわには甲殻類の香りが凝縮されている。
そして究極なのは殻に残った汁。
うま味成分が凝縮されており、非常に濃厚な甘みが合わさって単体の出汁としては最上級と呼べるものになっていた。

先ほどから甘み甘みと繰り返してしまい表現がチープになってしまっているが、この甘みこそがフジツボの味を海産物最上位たらしめている最大の要素だと思う。
動物の身がこんなに甘くなるものか…と誰もが驚くに違いない。

塩茹でがポピュラーだと聞いていたのでそうしたが、初めて食べるなら絶対に酒蒸しにするべきだ。
殻の中に残った出汁をすする至福が、塩茹でだと半減してしまう気がする。

味:★★★★★
価格:★★★★★

これで価格さえ安ければ…

ひょんなところで甲殻類最強の味に出会ってしまった。
まさかフジツボがそうだとは…意外な伏兵すぎてびっくりである。

ただ、そのうえで敢えて言うと、この価格の高さが本当に残念すぎる。
ミネフジツボ
この3個の個体から採れる身は
ミネフジツボ,料理,塩茹で
たったのこれだけ。

可食部だけで計算するとキロ100000円くらいになってしまうのではないだろうか…

以前は青森の海岸のあちらこちらで見られたというミネフジツボだが、今では乱獲されて見る影もないのだという。
これだけの高値で売れるなら乱獲されてしまうのもわからなくもない。

資源の保護のためにも、養殖の規模を拡大させて価格を下げていければと思うのだが…
どうにかなりませんかね。。
安けりゃ毎日でも食べたいよ。

 
 
 
 

コメント

  1. せつな より:

    随分前に食べて以来ご無沙汰ですが、当時も2個500円程度だったからあんまり値段が変わってない。
    でも、可食部はもっと大きかったけどなぁ。
    やったことないけど、しゃぶしゃぶしやすい形状でヤバいんじゃないかと思うのですよ。

    • wacky より:

      高っww今より高いですね。。
      需要過多で小さいうちに出荷してるのかな…?
      爪をつまんでしゃぶしゃぶにするのは面白いと思います!まあその場合は最初っから殻を割って中身を出したほうが良さそうですけどね。。

  2. ユー より:

    本当にデカイですね・・・
    野生のフジツボには興味があり、ヒザラガイとともに食べたのですが
    甲殻類アレルギー持ちなので知らずに蕁麻疹になってしまいました
    でも、おいしいんですよね
    記事のはそれ以上にうまいんでしょうけど・・・高いですね

    • wacky より:

      おっきいんですよ!食べ出も…あると言わないとクロフジツボがかわいそうですねw

      甲殻類アレルギーでしたらフジツボはドンピシャで危険ですね…でももしかするとヒザラガイの中に住み着いている甲殻類(フナムシのちっちゃいみたいなやつ)のせいかもしれません。
      アレルギー持ちは野食やるのはちょっと大変ですよね。。僕も貝でダメなやつがあるので気を付けてます。

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