タカアシガニのカニミソで豆腐を作ってみた

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タカアシガニは大きくてカッコいいのでぼくは大好きなのですが、市場においてはそこまで評価が高いわけではありません。
その最大の理由は、水っぽさ。
深海性のカニだからか、筋肉中や甲羅の中に海水と同程度のしょっぱさの体液をなみなみと湛えており(水圧調整用?)、加熱するとこれがぶしゃっと流れ出て身がキュッと縮んでしまいます。

それだけならいいのですが、普通のカニであれば味のハイライトのひとつであるところのカニミソ(中腸線)が、加熱すると溶けてこの体液と混ざることにより「しょっぱくてどろどろの液体」になってしまうのがとても残念なところ。

このドロドロミソに、殻を剥いたカニの身をつけつけして食べるとこれはこれで美味しいのですが、やはり濃厚なミソを口に含むあの幸せが味わえないというのはちょっと寂しいですよね。

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タカアシガニのミソはにがりの代わりにならないか

そんなタカアシガニミソですが、単体で口に含むと、かなり強烈なしょっぱさとともに、にがり(塩化マグネシウム)風の苦みを感じます。
ただの海水ではない感じなんだよね……誰か組成を調べてくれはしませんかね。。

生の状態だと固形の中腸線と水分の体液に分かれている


先日このタカアシガニミソを食べてる時にふと「これ、豆腐を固めるにがりの代わりに使えるんじゃない?」というアイディアが浮かびました。
もちろんにがりほどの凝固作用は期待できないのですが、なんなら海水そのものでも豆腐を固めることはできるらしいですし、やってみる価値はあるでしょう。

ちょっと試してみよう。



豆乳は、豆腐も作れるタイプのものを用意します。

これを鍋で70℃くらいまで温め、


カニミソエキスをドバっと入れます。
さらに、タカアシガニを蒸したときに出てきたエキスも追加しよう。

木べらでさっと混ぜると、すぐに豆乳がもったりしてきました。やはりにがり成分が含まれていたようです。

湯葉もできたぞ

ざるにペーパータオルを敷き、その上に流し込みます。これで水分を切れば寄せ豆腐になるのですが……

……液体分と固形分があまり分離してくれないな…
しょうがない、水分が抜けるのを気長に待つことにしましょう。

冷蔵庫に入れて、3日後。

カッテージチーズみたいになった!
食べてみましょう。


……!
これは、カニ……!

いや、冷静になると豆腐なんですけど、香りと味にすごいカニ要素があって脳みそが「これはカニだ」って錯覚します。
寿司ネタの練りカニミソよりははるかにカニらしさがあっていいです。ってかめっちゃ美味い。

ポン酢をかけるとめちゃくちゃ美味いけど、刺身醤油とワサビでも素晴らしいです。
たぶんカニ酢でもイケると思います。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆


懐石料理の八寸に入っててくれるとめちゃ嬉しいカンジの味です。
作るのに時間はかかるけど、やってみる価値はあると思います。

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野食ハンマープライス

コメント

  1. にくしみ より:

    めっちゃ興味深いです

    ペーパータオルを布のタイプに変えるともっと早く切れそうですね
    水切りの時間での鮮度的な部分で味が変わるのかも気になるところ

  2. kaiou より:

    もしかしたらなんですけど、オオグソクムシのときみたいに「がん汁」にできるんじゃないでしょうか?

  3. Joseph より:

    ビストロアース見たので記念に初書き込みです。
    これからも野食の探求を楽しみにしてます!

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