このブログの「人気記事一覧」の中にしれーっと混ざりこんでいる「フジツボ」のはなし。
国内に産するものでは最大になり、その味の良さから養殖もされる「ミネフジツボ」という種類を購入して食べた、という話なのですが、毎年夏になるとアクセスがぐんと伸びます。
ありがたいんだけどたぶんこれ、夏に海で遊んでるときにフジツボを見かけ「これって食べられるの?」と思った人が検索からアクセスしてきてくれてるんだよね……
だからきっと「なるほど、食べられるフジツボもあるんだな、でも今日見かけたやつが食べられるかは分かんなかったな……」って思ってサイトから離脱しているんじゃないかと思うんです。なんだかすみません。
実際のところ、日本の海に棲息するフジツボは基本的に食べることができるそうです。歩留まりこそ最悪ですが、味も素晴らしいものが多いと感じます。
ということで今回改めて、より身近なフジツボを採取して食べてみることにしました。磯遊びをするパパはぜひご一読くださいませ。。
どこにでもいるクロフジツボを食べてみた
先述のミネフジツボは国産フジツボにおける最高峰ですが、生息域が狭く、乱獲もあって現在では一般人が見かけることはほとんどありません。我々がよく見かけるフジツボの中で食べられそう(サイズ的に)なものはクロフジツボという種です。
主に外洋に面した磯場、堤防などに貼りついており、最大で4㎝程の高さになるので存在感があります。
テトラポッドに乗って釣りをするときに足を引っかけることができるので釣り師には重宝されていますが、一方で転んだときにこれの上に手をつくともう目も当てられないことになります。
カキと同じようにへばりついているために貝の一種と思われがちですが、実際は甲殻類の一種。要はカメノテと同じようなもんです。あれも固着性の甲殻類ですからね。
石灰質の基部で岩場に貼りついているので、マイナスドライバーなどを基部と岩の間に押し当ててトンカチでカンカン叩くと、取り外すことができます(堤防のものをはがすのは、堤防自体を傷つける可能性があるので避けたほうがいいでしょう)。
見た目はほとんど石ですが、殻はスポンジのように空気を含む構造になっているので、見た目ほど重くはありません。ただ見た目より殻が分厚いので、可食部はあんまりなさそう……
ミネフジツボの時は「酒蒸しが最高」と書きましたが、今回は素材そのものの味をより見るために
焼きフジツボにしてみました。
焼きあがると火山のように口から泡が噴き出すのでわかりやすいですね。
フジツボは外側の殻のほかに、中心に斜めに閉じる2枚の蓋状の殻があります。これをつまみながら、ちぎれないようゆっくりと引っ張り出すと
取れました。これが可食部。
さすがは大型のフジツボ、意外と食べられるところありますね!
いただきまーす
……(≧〰≦)ショッパウマ!!
味の系統としてはやっぱりカメノテに近く、貝類とカニの中間のような味がします。形状上どうしても海水が入りやすいためかやや塩気が強いですが、それに負けないほど身の味が濃厚で、酒にはとてもよく合いそうな味です。
ここまで味が濃ければ、あれ、できるな……ちょっとやってみよう。
まずはフジツボの殻を割り、可食部だけを取り出します。殻がちょっとついてしまっていても大丈夫です。
スライスした玉ねぎとニンニクを多めのオリーブオイルで炒めて、しんなりしたところにフジツボを投入し、さらにしっかり炒めます。
トマト缶と水を入れて1時間ほど煮たら
ザルでつぶしながらしっかりと濾します。
汁を鍋に戻し、適当な魚や貝を入れて煮詰めていきます。
今回はフジツボと同じところで獲れたカエルウオちゃんを使いました。これも食べたことないけど、たぶんこういう身質の魚がこのスープには一番合うはず。
魚と汁を別々の皿に盛り、パセリをちぎって振りかければ
フジツボのブイヤベース、完成!
いただきまーす
……(≧〰≦)これもしょっぱうまーい!!
ブイヤベースは普通、小魚を内臓ごと丁寧に炒めて使うことで甲殻類のようなコクのあるスープを作るわけですが、臭み消しの為に白ワインやサフラン等のハーブを使う必要があります。しかしフジツボを使うと簡単にそのようなスープがとれ、臭みも全く気になりません。
一緒に煮たカエルウオもやはり正解。ギンポの仲間だけあってクセのないしっかりとした白身で、ブイヤベースの濃厚なスープ(スープドポワソンといいます)との相性は抜群!
フジツボの特徴として全体的に塩気が強いので、素材の塩気だけで調理するのもよいかもしれません。
味:★★★★☆
価格:★★☆☆☆
カメノテのほうは採られやすいためか、近年採りやすい場所はやや小型化しているような気がします。それに対してフジツボは採取に専用の道具(ったってマイナスドライバーだけど)が要るためか、採られている形跡はほぼありません。
採取にあたり注意が必要なフジツボですが、現状は常識的な範囲であればどこで採るのも問題ないものです。海辺のほうに行くときは、ぜひマイナスドライバーをポケットにひとつ忍ばせていってみてください。
コメント
記事と関係ないのですが、数日前にストックを忘れていた豆乳を排水口に捨てたのですが、今日になりアパート内に納豆臭さが漂ってました。
発酵王との異名を持つ発酵紳士の茸本さんなら飲む納豆を作れますか?
液体は菌の反応も変わってくると思いますので、難しいかと(;´∀`)固形化してしまえば何とかなるのですが