アオウオを最高に美味しく食べたかったので、トマトの発酵調味料「紅酸」を自作してみた

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先月のとある日、冷凍庫を整理していると、肉塊が出てきました。

これは……なんだっけ??
脳の中で記憶のひもを手繰っていくと……

……

……あ! これ……3年前に小宮さんから頂いたベトナム土産のアオウオだ……

完全に食べたと思って小宮さんにも「美味しかったですよ」と伝えていたのですが、冷静に思い出してみると、あれは自分で釣って冷凍してあったコイじゃなかったかなという気がしてきました。小宮さんすみません。


もうこうなったら「これぞ最高のアオウオの食べ方だ!」といえるものを試してみないと小宮さんのお赦しを得られそうにありません。
この際だ、前から試してみようと思っていたアレ、やってみるしかないか……

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紅酸を作ってアオウオの「紅酸湯魚」を作ってみた

中国の南西内陸部にある貴州省。ここに住む少数民族・苗族は、あらゆる食材を発酵させて調味料や食材にするのだそうですが、その中でも最も代表的なものに「紅酸」と呼ばれるものがあります。
これは「半野生のトマト」と「発酵させた唐辛子」をベースに、各種調味料を混ぜ合わせて塩漬けにし、発酵させたもの。野菜の中でもトップクラスにグルタミン酸の多いトマトは、発酵させることでより旨味が強くなり、酸味と合わさって最高の調味料になるのだそう。

その味は「中華調味料の最高傑作」「日本人ならこれを嫌いになるのはありえない」とまで言われるそうで、その存在を知ってからずっと作ってみたいと思ってきました。

そしてその紅酸を使った代表的な料理が「酸湯魚」。紅酸をスープで割り、それで川魚を煮るというものです。
川魚屈指のうまさを誇るといわれるアオウオで作ったとしたら……そんなもん、美味しくなるに決まってんだろ(憤怒)

やってみましょう。


まずは紅酸の製造から。

スーパーで安売りしていた訳ありトマトを爆買いし、

切って、甕……がないのでビニールを敷いた寸胴に入れます。


ここに塩、チューブニンニク、ショウガと


中国のもち米の甘酒である「甜醸」……がないのでジャパニーズ米麹を入れてよく混ぜ、


発酵唐辛子もないので、ジャパニーズ唐辛子発酵食品である「かんずり」をひと瓶ぶちまけます。麹がかぶるけどまあいいや。



これをよく混ぜ、寸胴の中で一か月発酵させます。



ひと月後、できたものを瓶にあけてみると


……なんか思ってた見た目と違うな。
米麹を水で戻さずに入れたためか、ひと月程度では溶けきってくれなかったようです。まあこれはしょうがない。
ただそれにしても、もっとペースト状になってくれると思っていたのですが……日本のトマトは貴州のものと比べると水っぽいから、しょうがないのかな。

見た目以外の要素はどうだろうと、匂いを嗅いでみると……

……ピザ!?
麹の発酵香とトマトの香りが合わさって、なぜかピザのような香りになっています。それもイタリアの本格ピザではなく、ピザポテト系の香り。
全く予想外ですが、食欲がわかないと言ったらうそになります。

味もみておこう。
……辛っ! すっぱっ!! そして後味が美味い!
口の中にまったりかつふわっとしたうま味が広がります。さわやかですがコクがあり、薄めるだけで美味しく飲めそう。
実際に貴州の人は、暑い日にはこの紅酸を薄めて冷やしてスポドリみたいに飲むそうで、さもありなんという感じがします。


というわけで無事紅酸の自作に成功したので、さっそく調理を行っていきます。

あご出汁と煮干し出汁をベースにした魚スープを作り、

紅酸を入れて紅酸湯を作ります。


そこにアオウオを投入し、くつくつと1時間ほど煮ます。


できたー!! ひと月かけて遂に完成しました「酸湯魚」。実際はもっと野菜とかハーブとか具材とかも入れて鍋っぽくするらしいけど、今回はこれで良しとします。

いただきまーす
……(`・〰・´)なるほど、これは日本人好みの味!

出汁スープで魚を煮るという意味では日本のちり鍋と同じです。違うのは、うま味のグルタミン酸の出所が「昆布」なのか「トマト&トウガラシ」なのか、ということくらいですね。
見た目のわりに全然辛くなく、汁もむせずにごくごく飲めます。


アオウオのほうはというと、見た目はコイですが身質はタイやハタのようですね。筋繊維が太く長く、ゼラチン質と脂が多くてコイよりもフナに近いような。。


正直めちゃくちゃ美味いです。ベトナムではアオウオはコイの倍くらいの価格らしいのですが、さもありなんという美味しさです。

なお貴州では「ドクダミの根」を用いたつけ汁につけて味変したりするらしいのですが、想像しただけで即死するのでやめました。とはいえ薄味なので、途中から何か味をつけて食べたくなるのは確かです。われわれ日本人ならポン酢やゴマダレで良いかもしれない。

味:★★★★☆
価格:★★★★☆


日本の味が薄くて水っぽいトマトでも、ちゃんと美味しい紅酸ができたので良かったです。中国やイタリアの酸味・旨味が強いトマトで作ったらきっとはるかに美味しいのでしょう。
それと今回は発酵ミスが怖かったので乾燥米麹を使いましたが、味的にはむしろ甘酒を入れたほうがより純粋な乳酸発酵になってよかったかも。まあ、本物を食べたことがないのですべて想像ですが……



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コメント

  1. もるだ読者 より:

    3 年間冷凍した魚って食べられるんだ。。。
    というのがこの記事の一番の驚きポイントでした。
    なんかすみません。

    • たいめん より:

      先日冷凍庫の奥から発掘した平成25年モノのヨコワ大トロを美味しく頂きましたw
      さすが-60度だ、何ともないぜw

      • もるだ読者 より:

        検索かけましたが、業務用じゃないと -60℃ ってなかなか無いですね。
        7 年前でもいけるんすね。
        中国では 40 年前の肉が発見されたらしいですが食ったのかな。。。

        https://www.afpbb.com/articles/-/3052608

        腐乱肉って記載あるので食ってないか。。。食ってないよな。。。

  2. そこらのすずき より:

    貴州省の人はどんな食事のときにも、ドクダミの根を刻んだものに、荒く砕いた素炒りの唐辛子と黒酢、醤油を混ぜて食べてますねー。つけダレというよりそのままボリボリ食べてます(・–・;)ゞ

    香菜は好きになれましたがこれはどうにも強烈でした…。

    • 茸本 朗 より:

      あれ、ドクダミみたいな香りのハーブではなく、本当にドクダミなんですかね……だとしたらすごいなぁ(;´Д`)考えるだけで頭痛くなりそうです、。
      ぼくもチャンツァイは大好きなのですが……

  3. たか より:

    トマト缶から作ればもっと美味く作れそうな気がします(・∀・)

    • 茸本 朗 より:

      水分飛ばしてますもんね(`・ω・´)とはいえトマト由来の酵素は死んでしまっているでしょうから、味に差が出ないかどうかが気になります。

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