田んぼのインベーダー・ジャンボタニシことスクミリンゴガイを食べてみた

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福岡野食会の会場に持ち込んでいただいていながら、事情により提供できなかった食材がいくつかあります。
そのうちのひとつがこの

ジャンボタニシ
正式和名はスクミリンゴガイ、南アメリカ出身の外来巻貝です。
生息地では夏になるとどピンクの卵塊が非常に目立つので、生き物に詳しくない人でもその存在を知っています。
ぼくも福岡に引っ越して最初にビビったのは、目の前の用水路の壁にたくさん貼りついたピンク色の物体でした。

日本には例によって食用として移入されました。一時期は500か所以上の養殖場があったといいますが、それでも商業化には至らず。
廃棄されたものが野生環境に逸出し、西日本を中心に定着しています。
このパターン何度目なんや……って話ですよね(;´Д`)戦後すぐのことならともかく、ジャンボタニシが移入されたのって1981年の話らしいですからね。そんなに食糧難への恐怖が人々の中に残っていたのか、なんにしても食にワガママで外来種に無頓着な日本人らしい過ちです。


さて、なぜこのジャンボタニシを会で提供できなかったのかというと、泥抜きがうまくいかなかったから。
もってきてくれたシェフ曰く「泥抜きしててもどんどん水面上に出てきてしまうし、意外と弱って死んでしまう」とのこと。
確かにこいつら、肺みたいな器官も持ってて乾燥にはひたすら強いらしいし、ちょっとでも環境が不快だったらすぐ出てってしまうんやろなぁ……

ちなみに日本産のタニシとはかなり遠い種類だそうです。

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ジャンボタニシを食べてみた

さて、そういうわけで泥抜きはできていないのですが、せっかくなのでいただき、持ち帰ってきました。
特定外来生物ではないのですが、要注意外来生物に指定されており、扱いには注意が必要です。
前記の通り乾燥に強く、水から上げていてもなかなか死にません。
ただ一方で水温の変化には弱いようで、冷蔵しているとかなりやる気をなくします。

東南アジアでは現在でも食用にするというのですが、いったいどうしたらいいのか。
シェフに「どうやって食べたらいいんですかね」と聞いてみると、とりあえず殻を割って内臓を取り出してから調理すればいいとのこと。
なるほど、やってみよう。


殻は非常に薄く、小さい個体であれば指の力でも容易に割ることができます。
内臓部分はすべて取り除き、脚の筋肉部分のみにします。


個体によっては内臓にピンク色のものが詰まっています。もしかすると未熟な卵巣でしょうか。それとも中腸線がカラフルなやつか(巻貝には割とよくある)
ジャンボタニシの卵巣には神経毒が含まれていることを考えると、泥抜きできたとしてもタニシみたいにそのまま調理するのは避けた方がよいのかもしれません。

見た目は美味しそうだけど


歩留まりクッソ悪……
10分の1くらいになってしまいました。
ジャンボタニシは最大で殻長8㎝くらいになるそうなので、そのくらいデカければもう少し歩留まりもよいかもしれません。



匂いを嗅ぐと大変泥臭く、また生臭さも強いので、とりあえず酢をかけて洗います。
酢はいいぞ、ヌメリも泥臭さ(ゲオスミン)もとってくれるからね。

これを半分はエスカルゴバター(バター+ニンニク+香草)で炒め、もう半分は甘めの味噌煮にしました。

水から煮るといい出汁は取れるが臭み取は必須

エスカルゴ風

みそ煮


いただきまーす

……(`・〰・´)
うん、うまいうまい。フツーに美味い。
下処理をちゃんとしたからか、臭みは全く感じません。
エスカルゴ風はまんまエスカルゴです。カタツムリみたいな弾力があります。
みそ煮はというと、ちょっと加熱が長かったせいか堅く締まってしまいましたが、これはこれで悪くないです。
味がしっかりしていて、お酒やご飯のおともにとても良さそう。

味:★★★☆☆
価格:★★★★☆



日本人が、自分たちで食うために移入したんだから、我々日本人がしっかりその尻ぬぐいをしないといけないでしょう。
だから見つけたらみんなで食べましょう。泥抜きしないでいいと考えたら、普通のタニシよりむしろ調理は楽だしね。

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魚介その2(魚以外)
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