味噌よりよっぽどオソマなオントゥレプをサヨにしてヒンナヒンナしてみた

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晩秋になると捗るのが、各種植物からのデンプン採り。

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冬に備えて植物たちが果実や茎、根に溜め込んだデンプンをごっそり頂戴し、アルファ化して摂取のうえ我々の脂肪として溜め込む。縄文の昔から連綿と繰り返されてきた生業ですね。

世界各地で行われているデンプン採りですが、その土地土地でデンプン源となる植物は異なります。
先日、そのひとつである野生のユリ、ウバユリからデンプンをとる機会がありました。


ウバユリの球根はチューリップのそれに良く似ています。いわゆる百合根のように大きくはなりませんが、ひとつの親株の周りに複数の小株がつくので1本から採れるデンプン量は多いです。



丁寧に潰して濾し、上質なデンプンを採りました。めでたしめでたし……ではなく、ここからが今日のテーマ。

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オントゥレプサヨを作ってみた

ウバユリをデンプン源として珍重するのは、アイヌの人々。
採れるデンプンの上質さゆえか、デンプンだけでなくその副産物……もっというと絞りカスも貴重な食糧となっていたと言います。

彼らはウバユリをトゥレプと呼び、絞りカスをオントゥレプというものに加工しました。そのオントゥレプについて、いろいろ気になるところがあったので、作ってみることにしました。


まず、ウバユリからデンプンを採り、その絞りカスをまとめておきます。

それをガーゼにくるみ、さらに大きな葉に包んで数日発酵させます。今回はちょっと長めに、10日間やってみました。


開封してみると……

……なんかヤバそうな見た目。
発酵すると茶褐色になるという文献を見たので間違ってはいないと思うのですが……

うん……まるで体内で発酵が進んだかのような見た目です。どろどろの部分と繊維質の部分の絶妙な混ざり方とか、水分の含み具合とか。

細長く伸ばしてドーナツ型に整形し、乾燥させて保存するということなのですが……

……手で握った質感がもうヤバいですね。
完全にこう……アイヌ語でいうところのオソマですね。

ゴールデンカムイという漫画で、アイヌの少女アシリパが、和人の男杉元の持ってきていた味噌を見て「オソマだ!」とびっくりするシーンがありますが、こっちの方がよっぽどオソマです。


しかし、見た目はさることながら香りはというと……

……(`・∞・´)
なんだかラムネのような、清涼感のある甘っぽい香りがあります。見た目と違って実に爽やかです。

繊維質が多くてドーナツ型にまとまらず、やむ無く棒状のまま乾燥。

こちらでオントゥレプは完成です。


続いて調理に進んでいきましょう。
オントゥレプは通常「サヨ」と呼ばれる薄い粥に入れて食べられるそうです。


まず、オントゥレプを細かく砕き、水でよく戻します。
そのまま放置し、沈殿物を丸めて団子状にする、というのですが……


案の定。
ウバユリ球根の強靭な繊維が大量に沈んでいます。
このオントゥレプという食材について疑問だった点のひとつがこれ。デンプンを絞ったあとの球根となれば残っているのはほぼ繊維のはずで、果たしてそんなものが美味しく食べられるのか? と不思議だったのです。
発酵の力で柔らかくなるのかな……とも思っていましたが、どうもそういうことはなさそう。



あんまり強靭で食べられなさそうなものは排除し、残りの沈殿物の水を切って、団子に丸めました。


アイヌの粥であるサヨは、粥というよりは重湯に近いものだそう。

ということで、少量の米を伸ばすように大量の水で煮て、そんな感じのものを作ります。

ここに、オントゥレプ団子を投入。

そのまま30分ほどじっくりと煮れば、完成。

オントゥレプ団子が溶けてほぐれるかと思いきや、ほぼそのままの形を保っています。まるで泥で作ったタピオカのよう。
さんざん絞ったハズですが、まだ大量のデンプンを含んでいるということなのでしょうか。。

いただきまーす
…(`・~・´)なるほど
サヨ自体にはあまり味の変化をもたらしてはいないようです。若干のちぎれた繊維が混ざりこんで舌触りは強くなっているのかな。。
でも、やっぱり繊維なのでモサモサします。

オントゥレプ団子。

…(‘~’)
やっぱりタピオカだね。タピオカに稲わらが混ざりこんでしまったような感じ。
ただ、繊維が強いので食べごたえがスゴいです。風味はさほど強くなく、ちょっと土の臭いと、生の時に感じたわずかの清涼感程度ですね。

味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆


わざわざ発酵させる理由は……正直、よくわかりませんでした。栄養価が高まるとか、あるいは発酵によってデンプンが僅かに糖化して美味しくなるとか、そういった効果があるのかもしれません。
ただ、あれだけグイグイと絞ったにもかかわらず、まだ大量のデンプンを含んでいたのはスゴいなと思います。貴重なデンプンを無駄にしないよう、そして長期間の保存が利くように発酵させてから乾燥させたのかもしれないですね。

見た目はうんオソマですが、とてもユニークな食材のお話でした。

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