食べるとおしりからワックスが漏れ出る魚・バラムツを美味しく食べたい③:からすみ風

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バラムツシリーズ第3弾。


食べるとおしりからワックスが漏れ出る魚・バラムツを美味しく食べたい①:黒はんぺん

食べるとおしりからワックスが漏れ出る魚・バラムツを美味しく食べたい②:燻製

ここまでのトライから判明したのは「バラムツはワックス(ワックスエステル)をある程度除去することができれば、安全に食べられる」ということ。
もちろん巨大魚であるバラムツ、ドカ食いしてしまえばどんな食べ方だって危険なのは変わりませんが、一食分程度なら美味しく食べることは可能でしょう。

で、今回はそこからもう1歩進んでみようと思います。

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バラムツを「からすみ風」にして食べてみた

ここまで「ワックスを抜く」ことにこだわってやってきましたが、今回の課題は「ワックスを活かす」こと。

筋肉中にみっちりと脂が入り込んでおり、9割以上がワックスエステル


というのは、先日から何度か言及していることですが「ワックスがあることが食味評価に好影響をもたらしている食材」というものがいくつも存在しているのです。
その代表はからすみ

ボラは卵巣中にのみワックスエステルを含有しており、それがからすみのあのねっとりとした食感と味のコクをもたらしていると言われています。
そしてそのからすみが特産となっていることで有名な台湾では、バラムツと同じワックス含有魚として知られるアブラソコムツの卵巣を使って作ったからすみ「油魚子」が3大珍味の一つとして珍重されるそう。
煮付けや塩焼きで美味しいマグロやタイ、タラの卵巣をからすみ風に加工しても、あのようなコクとねっとり感が出ないので、やはりワックスが重要な役割を果たしているのでしょう。

珍味だったら高いししょっぱいので、おのずと一回の摂取量が抑えられ失格(決壊)せずに済む、ということも大事な観点です。


であれば、バラムツやアブラソコムツの身を同様に加工すれば、魚卵ではなくても似たような風味を楽しめるのではないか?
そう思い、やってみることにしました。


バラムツの身を小さなサクに切りだし、

たっぷりの塩をまぶして、数日の間塩漬けに。
ペーパータオルでくるんで、毎日塩をまぶし直してペーパータオルを取り換えるとよいでしょう。

この行程には
・余計なワックスを抜く
・腐敗を防ぐ
・食感をもたらす
という役割があり、ここでミスるとその後の行程が全部パーになります。
今回は4日ほど漬けましたが、不安な人はやや長めに漬ければいいでしょう。

これを塩抜きするのですが、普通は薄い塩水で塩抜きした後、日本酒に漬けつつさらに抜いていきます。
でも面倒なんで、今回はいきなり日本酒で塩抜き。

端麗辛口でその名を知られる磯自慢を使っているのでほら、水みたいなもんじゃん?(錯乱)

これも3日ほど行います。

酒から引き揚げ、水気をよくとって陰干しします。


この時、乾燥が進むにつれて表面にワックスがにじみますので

日本酒を含めたペーパータオルで拭い取りつつ、酒の風味をより浸透させていきます。

このまま10日ほどかけてじっくり干し上げたのが

こちら!

……もうちょっとかちんかちんになると思ったけど、ワックスがバリアーになってじぇんじぇん乾かんとたい……
これを見るだけでも、ワックス(というか脂)の保湿性の高さというのが実感できますね。

それからこの期に及んでも、触った部分のワックスが体温で液化してにじみ出てくるというね……
あな恐ろしや。


それでも、端っこのカピカピになった部分を切り出して

食べてみると……

Σ(`・~・´)
あっ、この香り、からすみじゃん……!!

魚卵ではないにもかかわらず、からすみと全く同じ香りがします。
からすみのあの香りは「乾物魚介」「ワックス」「酒」の3つの要素によってもたらされているのかもしれませんね。

いただきマース

……(`・〰・´)
うん、適度にしょっぱくて、からすみみたいな風味があります。
でもまだちょっと脂が強すぎるかな……それからからすみのねっとり感はやっぱり無くて、その代わりに鮭とばを柔らかくしたようなギュッとした食感があります。
からすみではやっぱり無い、でもこれはこれで高級珍味って感じです。鮭とばとからすみの合いの子みたいな……
塩漬けはあと3、4日やっても良かったな。。


からすみといえばそう、大根のスライスと一緒に食べるのが一般的ですね。
というわけでやってみようと思ったのですが、なぜかうちには



紅芯大根しかなくってさ……
甘くて好きなんだよね、これ。


しょうがないから紅芯大根のスライスを添えてみました。


……この禍々しい感じ、むしろ逆にバラムツと合うのでは……


味は良いです。

味:★★★☆☆
価格:★★★★☆



ということでいろいろなレシピを試してみましたが、どれもそこそこ美味しく食べられました。
個人的には②の燻製はお気に入り、また①黒はんぺんも予想以上の美味しさでびっくりしました。

いずれにしても
・余計なワックスが抜ける調理法を選ぶ
・そして確実に抜く

ということは意識したほうがいいでしょう。


今後もしバラムツが釣れたら、とりあえず持ち帰り、カチカチの塩漬けにしてワックスを抜いた状態で保存しておこうと思います。
makimary船長、どうもありがとうございました。またよろしくお願いします!

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コメント

  1. dcbc より:

    フグの卵巣を食べられるようにした先人たちはこういう過程を経たのかなと
    そのうちにばらむつも地域の特産として同じ道を歩むことになるかもしれないと
    思うとムネアツである

  2. にら より:

    塩漬け、乾燥してもカチカチにならないエステルの保湿力に脱帽ですw
    そういえばエステルって今女子に大人気のホホバオイルの主成分ですが、ホホバの種子って約半分が油分で、その約9割がエステル…あれどこかで見たようなスペックw
    バラムツ自体食用よりそっち方面に役立てた方が余程無難そうw

  3. 野肉は美味い より:

    ワックスエステルとか言う魔物

  4. MOT より:

    こんなのあるんですねぇ。
    商品紹介:バラムツ
    http://www.wenchiseafood.com.tw/J0300_D_01.html

  5. かわせみ より:

    この保湿力、化粧品会社に売り込めばスクワランオイルみたいな感じで人気出そうですね。
    人気になって乱獲しすぎて数が少なくなるのとかは嫌ですが、うまくすれば町おこしとかになりそうな。

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