「水辺のソーセージ」ガマの穂はソーセージではなく「パン」にすると美味い

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先日、多摩川の河川敷を歩いていたときのこと。
水辺に降りてクレソンを探していると、やたら存在感のある例のアイツが目に入りました。

ガマ(蒲)の穂です。
ガマはガマ科の植物で、日本各地の湿地帯に普通に見られます。夏にソーセージみたいな穂(雌花)をつけるので親しまれていますね。

この穂ですが、子供の頃に親や悪友に「これ食べられるんだぜ」と言われてかじりついたことがある人は結構いるんじゃないでしょうか。どう見ても串に刺さったフランクフルトといった容貌で、野食に興味がなくても「あれ食えないのかな」って思ったことがある人は多いと思います。「蒲焼き」なんて言葉もあるくらいだしね!

今回ここで見つけたのもなにかのご縁、「川辺のフランクフルト」いただいてみることにしました。

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ガマの穂を焼いて食べてみた


採取したのは、まだ若くしっかりとした雌花。質感はビロードそのもので、柔らかく上質な手触りです。こんな感じのハムスターいそうだなぁ。
それでもその串刺しフランクフルトのシルエットが食欲を喚起します。かぶりついたらぶしゃっと肉汁飛び出そうじゃん?

というわけで、グリルでこんがりと焼いて、いただきまーす

噛めねぇー!!

まあ概ね予想通りだけど、これはあれですね、完全に毛束ですね。硬く巻いたタオルを噛んでいるかのよう。
未熟な綿毛の束なんで当たり前っちゃ当たり前。美味しそうなのは見た目だけです。
ちなみになぜウナギを焼いたものが「蒲焼き」なのかというと、かつてウナギは開きにせず、ぶつ切りにして串に刺しつけ焼きにしたそうです。その様子が蒲の穂に似ていたため蒲焼きと呼ばれるようになったとか。蒲焼いて食ってたわけじゃねぇんですね。


まあでもね、そんなこともあろうかと、別のガマの穂も採取してたんですよ。
それはこの

ヒメガマ。名前の通り小さな穂をつけるガマの仲間です。上についている猫のしっぽのようなものが雄花の穂、下にあるのが雌花の穂ですね。

上が雄花、下が雌花


このヒメガマの穂については、実は事前に「未熟な若いものであれば、焼くと食べられる」という情報をネットで拾っており、もはや勝ったも同然です。早速焼いて、かぶりついてみます! オラッ肉汁噴射しろッ!!

うそつきー(;´Д`)全然だめぢゃん

小さくてもやっぱり硬くてダメだわ。。ギシギシしてて美味しくもなんともない。
試しに雄花の穂の方も焼いてみたけど同じ感想です。ほぐれた繊維がまたキシキシするんだよな。うまぐね。ガマの穂、食えねーわ。。、

ガマの穂で食えるのは「花粉」

と、思ってたけどここでふと、雄花の見た目に目が行きました。

真っ黄色の粉がボフボフ出てきていますね。こちらは雄花の穂だから、この粉は花粉でしょうか。

ガマ(これはヒメガマだけど)の花粉といえば、因幡の白うさぎの物語に登場することで有名ですよね。騙したワニ(サメ)に皮をひん剥かれたうさぎが苦しんでいると、通りがかったオホナムヂが「蒲の穂にくるまって休みなさい」というやつ。実はガマの花粉には止血消炎作用があるそうで、古くから民間薬として用いられてきたようです。
その一方、アメリカ大陸ではネイティブアメリカンがこの花粉を食材として用いてきたという歴史が残っています。花粉を集め、バノックというパン様の焼き物に練り込んだりしたそう。

数本の穂から予想以上にたくさんのガマの花粉が集められたので、試しに食べてみることにしました。

まず篩にかけて綿毛を除去し、

強力粉、重曹、塩を混ぜ、更にサラダオイルと水を混ぜてよく練ります。


これを190℃のオーブンで20分ほど焼くと

できました、ガマ花粉入りバノック。予想以上に黄色く仕上がりましたね。
いただきま~す

……(≧~≦)うんまっ!!! えっ、花粉ってこんな美味しいん!?
実はもう、焼き上がってオーブンを明けたときから香ばしい「焼きとうもろこしのような香り」がブワッと漂ってきていました。
食感は柔らかめのビスケットですが、香りは焼きとうもろこしで、味には不思議なコクと甘みがあります。驚く美味さ。

調べると、ガマの花粉には脂肪分が多く含まれるそうで、これが味にコクを与えているのではないかと思います。これは素晴らしいシーズニング、ネイティブアメリカンがわざわざ集めてパンに練り込んだ理由がわかりますね。

味:★★★★☆ 
入手難易度:★☆☆☆☆



ガマの穂、そのまま食べても美味しくないけど、花粉だけとりあつめて食べたらとても美味しいということがわかりました。
粉だけ軽く炒ってきなこの代わりにしても美味しいらしい、今度やってみよう。

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植物
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野食ハンマープライス

コメント

  1. 畦之助 より:

    いつも拝見させてもらっています
    今回の記事ですが、花粉を採取したのはヒメガマのみですか?ガマの穂からも採取したんでしょうか?
    それはそうと、手軽で美味しそうですね

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