熊の手は結局右手と左手どっちが美味しいのか:①下処理がホントに大変

スポンサーリンク

年末で仕事も無事納まったので、取り置いていたネタをやりたいと思います。


じゃーん!
ツキノワグマの手です。中部地方産で有害鳥獣駆除で捕られた個体。
有難いことに両手揃っています。
クマの手といえば中華の超高級食材のひとつで、お店で食べるとひとつ数万円するという話も聞きます。まあ1頭から2個しかとれないうえに捕獲も危険を極めるからしょうがない。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
 

熊の手って右手と左手どっちが美味しいの?


さて、熊の手を食べたことがある人もない人も、こういう話を聞いたことはありませんか?

「クマは右手/左手のほうが美味しい」

調べてみると、右手派と左手派がそれぞれいて(「右手が恋人」的な話ではない)ちゃんと理論も携えているようです。

●右手派の言い分
・クマは右手でハチミツを舐めるからハチミツが染みて甘い
・冬眠中は右手に栄養を溜め、それを舐めて過ごす

●左手派の言い分
・左手で敵と戦うから左手のほうが肉が締まってうまい
・そもそもクマは左利き

……ちゃんとした理論ではなかったな。
そもそもクマの利き手がどっちとかクマに聞いてみんと分かるわけないし、かといって聞きに言ったら「教えてやろう」とか言いながら利き手でぶん殴られて(人生が)終わるだろうし、なにもかも確かめようがありません。

中華料理店では一般的に「右手が美味しい」とされているそうで、右のほうが高い値をつけるといいます。とはいえ商売上手な中国人のこと、両手揃ってたら「右手が美味しいよ!」ともいうだろうけど、その結果左が残ったら「実は左が利き手で……」なんて言い出してしっかり売り払っちゃうんでしょうね。


しかし! そんな不毛な議論は今日で終了です。なぜならいまぼくの手元にはどちらもあるから( ̄ー ̄)ニヤリ
これを食べ比べてみれば、そんな中国4000年の疑問もあっという間に氷解するでしょう。さっそく調理していくことにします。

熊の手の下処理がとんでもなく大変

さてしかしこの熊の手、調べてみるとその下処理が死ぬほど大変だと言います。

まずこの全体にびっしり生えた毛を抜き去り、下茹でして匂いを取った後、5日間にわたり蒸して柔らかくして皮を剥ぐ、といった感じ。年越しちゃうじゃん……
正直この工程を見たらダルくなって、ずっと冷凍庫の底に沈んでいたのですが、もうこれはしょうがないので気合を入れ直してやっていくしかありません。やーるぞー!!!


熊の手を軽く洗い、熱湯の中で2~3分温めます。こうすることで皮が柔らかくなり、毛が抜けるようになります。なお台所は動物園の匂いになります。

毛を抜いていきます。毛抜きでやろうと思いましたが、ペンチが楽でいいですね。
とはいえ指の間に挟まった部分の毛を抜くのがめちゃめちゃ大変で、げんなりするほど。連れに手伝ってもらいながら、おおむね抜き終わるまでに2時間かかりました。

若干ばかり残ってしまっていますが、この程度なら

バーナーで焼けばなくなります。


つるりとしたね。
改めて、爪のすごさがあからさまになります。クマは人を襲うとき頭部をめがけて攻撃するといいますが、こんなん食らったら頭蓋骨までいっちゃうわな……
「不死身の杉元さん」はなんであんだけ攻撃食らって無事なのでしょう。。頭蓋骨がオリハルコンかなんかでできているのでしょうか。



これを、しょうが、にんにく、ネギなどの香味野菜と一緒に煮ていきます。
どれくらい煮たらいいか分からなかったので、弱火で、鍋一杯の水が飛ぶまでじっくりやりました。これも2時間くらいかな。

この工程で匂いがなくなったかというと……わからん。相変わらず臭いです。
これだけ煮たのに肉はずっしりと締まり、どこから手を付けていいか分からないほどカチカチです。

ただ、指先はさすがに多少ブニブニになっているので、ここで爪を抜いておくことにします。指の皮を少し切って、ぐいぐいやると抜けます。

爪は「さや」と「本体」に分かれており、カバー状の鞘を抜くと本体が現れます。
今回は勢いあまって本体まで抜いてしまったけど、本当は本体部分は残すのが正解らしいです。早くいってよ……


さてこれをいよいよ「5日蒸す」のですが……
……暮れの忙しい時期にそんなことやってらんねぇわ! ということで、文明の利器を使うことにしましょう。

雷電「あれは……帝・府或! なぜ茸本の家に!?」
桃太郎「なに、知っているのか雷電!?」

聞くところによると、この圧力鍋なる道具を使うと中国での5日間が我が家ではたったの1時間になるといいます。中国4000年の歴史も圧力さえあれば1週間で片が付くかもしれません。
ここにお湯と紹興酒、酢を張り(お酒を入れすぎると爆発するので気をつけて!!)熊の手を入れて蒸します。
30分ほど蒸して、圧が抜けるまで30分待てばOK。
どうなったかなと触ってみると

……手のひらの皮はやっぱりカチカチだけど、その下の層はブルンブルンになってる。これ、剥けるんじゃないかな……


剥けました。なんだかこう、痛そうな見た目でしんどいですね。Google先生にBANされませんように……

と、ここで異変に気付きました。

あれ、右手と左手、皮膚の下の色が全然違くね……?
右手のほうはまるで熊の毛皮のような黒褐色なのに対し、左手は豚足の様な色味。匂いも右のほうが強く、左はまさに豚足です。
一体どういうことなのでしょうか。早く確かめたいですが、ここで力尽きたので調理と実食は明日に回すことにしましょう……

To be continued…

スポンサーリンク
 
スポンサーリンク
肉・シビエ
スポンサーリンク
茸本 朗をフォローする
野食ハンマープライス

コメント

  1. ichi より:

    杉元さんはヒグマに顔の表面ひっかかれただけですからね
    (なおヘッドショットされても死なない模様)

    うちの地元でツキノワグマにパトカーのタイヤがひっかかれてパンクしたという恐ろしいエピソードがあります

    • 茸本 朗 より:

      あー車のタイヤもいっちゃうか……やだやだ(;´Д`)毎年気配は感じるけど、正面からの邂逅はいまだないので、ぜひ一生ないままでいたいです

タイトルとURLをコピーしました