旬のシーマンを釣って姿造りにしてみたら想定外の美味しさだった

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みなさんは「シーマン」という生き物を覚えていますか。

©オープンブック


人の顔と大昔から受け継がれたという知恵を持ち合わせ、人語を解す、古くからエジプトで伝説となっている生物です。(Wikipediaより引用)

このシーマンがここ数年、日本某所で増殖していると聞き、釣りに行ってきました。

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シーマンを釣ってみた

密にならないよう車で向かったのは、某海釣り公園。
ここでは数年前よりシーマンが多数釣り上げられるようになっており、釣り人たちも「明らかに生息数は増えている」と口をそろえて言います。
彼らはクロダイ狙いの仕掛けを見つけると、防波堤の隙間からヌルリと忍び寄り、その怪力で一瞬にして糸を切り、針を折り、果ては竿をブチ折ってしまうことも。その高い知能で明らかに釣り人の存在を認識し、そして敵視していることがわかります。

我々はシーマンの生態に詳しい地元のハンター・Nさんの協力を仰ぎ、奴らのパワーに負けないタックルを調査。
最終的にイシダイ用のぶっこみ竿に青物用の4000番台のスピニングリール(ほしいものリストから送っていただいたみなさん、本当にありがとうございます)を合わせ、フロロカーボン10号を巻いてハリスまで通しにするという、およそ防波堤の仕掛けとは思えない強靭なタックルとなりました。


餌に使うのは冷凍ムール貝

あの知能の高いシーマンが、本当にこんなものに騙されるのか……と思っていましたが

ハント開始から2時間、Nさんが早々に釣り上げました。

50㎝弱の中型シーマンです。
日本産のシーマンは成長するとおでこと顎にコブが張り出してくるという性質があり、このサイズでもその予兆が見られます。

そのすぐ後にまたNさんが竿をしならせますが、あっという間に竿を伸されてバレてしまいました。
メーターオーバーのヒラマサでも釣り上げられる釣り針「ヒラマサ・ブリ王11号」の針先がぱっきりと折られています。とんでもない怪物です。

その1時間後くらいにまたもハント成功。
50㎝を超えてきましたが、Nさんは「こんなサイズじゃ誰も興味持たない」と渋い顔です。


負けじとぼくも頑張りますが

違うタイプの宇宙人ばっかりが釣れてきます。Nさんにも「フグマスターですね!」と慰められる始末。

フグ星人にやられたムール貝


結局この日、ぼくはシーマンをハントすることはかなわず、Nさんの釣り上げた2枚をいただいて帰ることに。


後日、シーマンの確保をあきらめきれないぼくは、今度は「島が丸ごとシーマンの巣窟になっている」という恐ろしいポイントに向かいました。
足元に群れる餌取りたちにムール貝をぼろぼろにされながらも、半日粘ってなんとか

シーマンの幼体(現地では中ベラと呼ばれているらしい)を2つゲットすることができました。

彼らは知能が高いですが、上空からひらひらと落ちてくるムール貝には弱いらしく、つい口を使ってしまうようです。釣り方としては広島で盛んにおこなわれるカキ餌の釣り「かぶせ釣り」に近いですが、ムール貝はカキよりも殻が軽く、ひらひらと落ちるのが良いのかなという気がしました(あと安い)。


釣り上げたシーマンは研究のため、氷でキンキンに冷やして持ち帰ってきました。

シーマンは「冬のメス」が美味しい?


今回ハントしたシーマンですが、実は「コブダイ」という標準和名でも知られています。
具体的に言うとシーマンと呼んでいるのはぼくくらいで、あとは全員コブダイと呼んでるっぽいです。なので大変不本意ながら、混乱防止のため今後はコブダイと表記させていただきます。


コブダイはベラの仲間で、日本産のベラでは2番目にデカく(1番はナポレオンフィッシュ)、最大で1mを超えることもあるようです。
以前ぼくは80㎝というサイズを船から釣り上げていますが、あの時はまるで岩と綱引きをしているのかというくらい強大なパワーでした。メーターオーバーっていったいどんな引きなんだろう。。

コブダイのコブを生ハムにしてみた
先日、コブダイ狙いの船に乗せてもらって 見事、巨大コブダイを仕留めることができました。 はるき船長、改めてありがとうございました。素晴らしい体験になりました。 このコブダイは、身は刺身や塩焼き、 アラや頭部は煮つ...

今回ぼくがコブダイにまたトライしたのは「あのパワーを陸から体験してみたかった」ため、そして「コブダイの旬は冬だと言われている」ためです。
コブダイは別名カンダイ(寒鯛)とも呼ばれ、古くから冬に美味しい魚として知られてきました。一方で「大きいほど美味しく、季節はそんなに関係ない」という話も聞きます。
大きさだけなら以前釣ったものを超えるものはそうそうないのですが、あれは夏に釣れたもの。今回のものと味比べをすれば色々見えてくるのではないかと思ったのです。


さっそく捌いていこうと思い、鱗をとっていくと

ますますシーマン度が上がりました。今にも何かしゃべり出しそうな顔。

今八重歯ブームらしいので、彼女もうまくやれば流行に乗れるかもしれません。


3枚におろし、皮を引くと

……!! なんだ、なんだこの脂の乗りは……!? まるでラードのような皮下脂肪がべったりとついています。
ベラの仲間って基本淡白な白身で、そこまで脂が乗るようなイメージはなかったのですが、コブダイはここまで脂が乗るのですね。
しかしやはり、前回釣ったやつと比べると全く違います。あれは皮下のゼラチン質は分厚かったけど、脂はこんなに乗ってなかった。

サクサク捌いて、姿造りに。

死んでるのに死んだ魚の目になってないひと


さっそくいただいていきましょう。
いただきまーす

……うまぁぃ(*´〰`)
タイともブリとも違う、でも非常に上質な脂で、融点が低く舌にのせた瞬間にとろけます。近いのは夏のイサキかな。


身が硬いと聞いていましたが、釣り上げてから氷温で5日寝かせたためかもちもち感は保ちつつ、ふわっとした羽二重餅のような食感に。
繊細ながらもコクのある旨味が出ています。
皮目をバーナーであぶった焼き霜造りは、皮がやや硬いものの、噛みしめると脂がジュわっと口の中に溶け出してたまらんです。いずれも分厚く切ってポン酢で食べると大変美味しい!


Nさんに脂乗りのりのサクの写真を送ったところ「こんなに脂が乗っているのは(いつも持ち帰る)60㎝オーバーのものでは見たことがない」とのこと。
コブダイは60㎝を超えるとメスからオスに性転換をするので、もしかするとそのちょっと前が一番脂乗りが良くなるかもしれません。あとは、オスの頭のコブは脂肪の塊なので、すべての脂がそこに集まってしまうのかも?

コブダイは釣り味のわりに食味がよろしくないといわれることもありますが、もしかしたら「『デカいほど美味しい』という言説のせいでみんなデカいのしか食べないから」かもしれない。まあ醤油に合う味じゃないので関東人はそんなに好きじゃないかもしれませんが、こんなに「ポン酢で美味しい」魚を関西人が嫌うわけないじゃんとも思います。
この辺はあくまで仮説なので、また冬の時期に同じ場所でオスを釣り上げて調査してみるしかないでしょう。シーマンハンターの旅は続く……

味:★★★★★
価格:★★★★☆

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魚介その1(魚系)
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野食ハンマープライス

コメント

  1. kaiou より:

    刺し身も美味しそうでしたが、その肉質を観るにあたってむしろ「水炊き」で楽しみたいような~

    • 茸本 朗 より:

      水炊きや鍋系も美味しいと思いますね! 血抜きは必須ですが
      よい出汁が出ますし、アラに脂が多いので汁にいいカンジに溶け出すと思います。

  2. より:

    はじめまして。
    コブダイは3月~4月頃の60cm位の個体、白子と卵と両方ある?ようなのが身の脂ものって旨いと思います。コブがまだ出ていない40cm以下のは味がなく、70cm以上の完全にオスになった個体は寒い時期も身に脂はのりません、コブに脂が集まるようです(過去に50匹以上は食べた事があります)。
    コブダイとかイラとか嫌がる釣り人いるけど、時期と食べ方次第で美味しいと思うんですがね~

    • 茸本 朗 より:

      すごい!コブダイ博士!
      なるほどですね(`・ω・´)今月また行こうと思っていたのですがコロナでそれどころじゃないので、3月あたりもう一度狙ってみたいと思います。
      イラも美味しいと思いますが、やつも脂が乗りますか? さっぱりしたのしか食べたことなくって

      • より:

        過去の釣果の写真とか見てたら、アベレージサイズが大きい場所のほうがオス化するのが遅いようで(おそらく)、そういう所では60cm超えてもコブが控えめで体色の濃い、メス個体が釣れ、逆の所では60cm程でも厳つい顔に薄い体色のオス個体が釣れていました。たぶん、“大きいメス”が美味しいんだと思います。
        イラは自分の地元(瀬戸内海の真ん中です)ではおらず、遠征で南のほうに行った時のみなんでそんなには食べてないんですが、刺身でお醤油にはっきりと脂が浮く位のはいましたね。そいつは内臓脂肪も凄かったと記憶しとります。

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