アヒル口がかわいいカナガシラを大塩平八郎風に食べた

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スーパーの魚コーナーで、今が旬のホウボウを見つけた。

ホウボウ,カナガシラ

安かった


小さいが鮮度は良く、刺身にもできそうだ。
買おうと思って手に取ってみると、ちょっと違和感を感じた。

3匹入っているうちの2匹は、普段見かけるホウボウと比べて体色がやや明るく、また残りの1匹よりも明らかに吻が短い。
もしやと思って胸鰭を広げてみるとこの通り。

ホウボウ,カナガシラ,胸鰭

左の個体は青、右は赤

ホウボウ科の地味子キャラ「カナガシラ」

ホウボウのトレードマークである派手な胸鰭を持たないこの子達は、ホウボウ科のカナガシラだ。
一見すると良く似ているが、いくつかの外見的差異があるほか、大きくても30cmは超えない点などで慣れればすぐに見分けができる。
ホウボウがぬぼーっとした間の抜けた顔なのに対して、カナガシラはちょっとラブリーだ。

カナガシラ,頭部

アヒル口萌え、って最近あまり聞かないね


カナガシラとは「金頭」のことで、外骨格のような骨で覆われた頭が非常に硬いためにこのような名前になったという。
発達した骨板で覆われていて、まさにヘルメットのようだ。

ホウボウとカナガシラの食べ比べ

ホウボウと似てはいるが、カナガシラのみを狙って購入するということはまずないと思われる。
せっかくの機会なので、身を食べ比べてみることにした。

カナガシラはホウボウよりも鱗が大きくて硬く、出刃包丁だと取るのに難儀する。
鱗取りを使うにはやや細かすぎるので、なかなか難しいところだ。

頭を落として鰓を見てみると、カナガシラの鰓と口腔は明るい黄色をしていて、地味なようで意外と派手好きの一面も持っているようだ。

カナガシラ,鰓,口腔,黄色

いきなり真っ黄色でびびる


ホウボウはちょっと黄色味がかった緑色なのですぐに見分けがつく。

3枚におろし、サク取りして糸造りにしてみた。

ホウボウ,カナガシラ,刺身

右がホウボウ、左がカナガシラ


見た目にはほとんど違いが分からない。

味の方は…
…(・~・*)
違いは判らないな。
どちらももっちりとして甘みがあり、カサゴやマゴチのようなゼラチン質が感じられて非常においしい。
同じサイズのホウボウと並べて売られていたら、カナガシラの方がお買い得だろう。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

大塩平八郎とカナガシラ

さて、カナガシラについて調べていると、以下のような記述を発見した。

-ところで、大塩平八郎の乱を起こした大塩は義憤の激しい人だった。(中略)ある日、矢部は大塩を招いてカナガシラの吸い物を膳に出したところ、大塩は余程感情が高ぶっていたとみえて、あの堅いカナガシラの頭部をばりばりとかみ砕いて食べてしまった。-(松尾龍之介の「長崎日和」より引用)

非常に綿密な準備をしたにも関わらず、たった半日で反乱を鎮圧されてしまったことで知られる大塩平八郎だが、怒りのレベルを表現するために魚の頭蓋骨が使われるとはなかなか面白い。

というわけで、残ったアラを用いて吸い物をつくり、大塩風に食べてみることにした。
薄塩をあてて湯通ししたカナガシラとホウボウのアラを水から煮て、じっくりと出汁を取る。
味付けは海塩のみ。

ホウボウ,カナガシラ,潮汁

ダブルスチールヘッドスープO-Shio風


黄色がかった濃厚な出汁が出て、細かい脂の粒が広がって非常においしそうだ。

…(≧~≦)
これはっ!!絶品!
これほど濃厚な潮汁はそうそうお目に掛かれない。
生臭みは皆無で、唇がぺたぺたするほどの濃厚なゼラチン質が感じられる。

味:★★★★★
価格:★★★☆☆

感動したまま、カナガシラの頭をかじってみると

カナガシラ,頭,硬い

無理


硬ってぇ
予想はしていたが、ちっとも歯が立たなかった。
ハコフグの表皮のように、固いものにぶつけるとコンコンと音が鳴るくらいに強固なので、とてもではないがかみ砕いて飲み込むことなどできない。

僕は軟弱ものなので仕方なく

カナガシラ,開き

開いて


カナガシラ,から揚げ

カリッと


から揚げにすることにした。
2度揚げすることで頭蓋骨もがりがりと食べることができた。
これも大変美味しい。カサゴ目の魚はどれも美味しくて素晴らしいね。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

怒りのパワーってすごいな

ということで結論としては「カナガシラは美味しく、大塩平八郎はすごい」ということが言えそうだ。

自分のためでなく、農民のため、他人のための怒りでこの頭蓋骨をかみ砕いたんだったら、大塩平八郎とは本当に大した人間である。
乱がうまく行って、大坂だけでも独立国家状態になってたらどうなってただろうなー。西国の大名がそれに乗じて、数世紀早く江戸幕府の終焉が訪れていたりして。

まあでも、歯と顎が強いだけでクーデターがうまくいけば苦労はしないな…

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魚介その1(魚系)
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野食ハンマープライス

コメント

  1. せつな より:

    ぶっちゃけ、そんなに変わらないですよね。
    アイナメとクジメほども差はないと思う。
    とはいえ、鼻炎発症してから微妙な違いがわからなくなってきてて食に対する関心も半減しちゃってまして、毒とか本能で避けられなくなってそうで怖いです。

    ところで、しばらくは無理かもですがラインかFBで急ぎの連絡はとれるので、よろしければ一度メールでもいただければ。

  2. wacky より:

    あらら、鼻炎ですか。。僕も長らく悩んでまして、大学生の時に鼻の軟骨を取る手術と、その後も何度かいじってます。香りは危機管理の最大の注意点ですからね…酸で鼻の粘膜を焼く手術、手軽で安くて2年くらい効果が持続するのでオヌヌメですよ!

    了解です!メールを送りましたのでご確認をお願いします!

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