シログチとエツで中華の発酵調味料「ハムユイ」的なものを作ってみた

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「野食のススメ」第9回の記事が公開されました。
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先日のガイドの際に釣れたイシモチことシログチ

関東ではいまいちメジャーになり切れないが、実はどうやって食べてもとても美味しい魚だ。
でもそれは、釣り人だけの特権ともいえる。


東京湾、特に金沢八景周辺ではイシモチ狙いの船が盛んに出船しているが、どこの船宿も必ず出船前の注意事項として「釣り上げてすぐに血抜きをすること」を念押しする。
シログチは身の水分が多くすぐ鮮度が落ちてしまう上に、血抜きをしないとせっかくの綺麗な身に血が滲み、また生臭みを強く感じてしまう。
これがあるので野締め(水揚げ前に死んでしまったもの)を刺身にするのは難しくなる。

もちろん火を通しても抜群に美味しい魚なのだが、生の美味しさもまた出色なので、どんなに忙しくても年に一度はイシモチ釣り船に乗りたいなと思うのだ。

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シログチを美味しく食べよう

今回、ゲストの皆様はシログチを食べるのは初めてとのことだったので、その淡白ながらも旨味の強い味を楽しんでもらうべく、何種類かの料理を提供させていただいた。


まずは刺身&焼き霜造りに、なめろう(味噌たたき)。
皮目の脂と、皮の風味が魅力の魚なので、個人的には普通の刺身よりも焼き霜造りのほうが好みだ。


なめろうは今回初めて作ってみた。
味のない白身魚で作るとただの「魚風味のなめ味噌」になってしまうのだが、シログチの場合は旨味とねっとり感が味噌と香味野菜に全く負けておらず、非常に美味しかった。

皮や浮き袋だけでなく、身にもゼラチン質が多いのか、水分含有量は多いのに全く水っぽさを感じないのがイシモチ類の魅力だ。
とはいえこれも鮮度がよい時の話で、時間が立つとすぐに身の水分が染み出てきて水っぽくなってしまい、さらに特有の生臭みが出てしまう。


続けて塩焼きと、清蒸。

塩焼きは時間をかけて、水分を飛ばすようにじっくりと焼くのがおすすめだ。
皮のゼラチンがねっとりと溶け出し、ほくほくとして骨離れの良い身と絡み合う。

韓国や中国では非常に人気の魚だというが、当然だろう。
日本では伝統的に足の速い魚はあまり評価されてこなかったので、今の地位に甘んじてしまっているが……



清蒸はシログチが手に入ったら必ず作りたい料理のひとつ。
いろいろなレシピがあるようだが、僕が好きなのは、下処理をしたイシモチに紹興酒をかけて蒸し、そこに刻んだ白ネギとしょうがを乗せて、熱したごま油をたっぷりと回しかけるというもの。

シログチの風味と紹興酒がここまで合うということ、見つけた人は天才かもしれない。
一人で5~6匹分くらいは食べることができる。

これらに加え練り物も作りたかったが、時間と設備に不足があったため断念した。
シログチのすり身でさつま揚げやしんじょうを作ると、なぜこの魚が選ばれるのか一発で実感できるほど美味しいものができるのだが……


どれもお口にあったようで、大変満足していただけたようだった。
今回のガイドが成功したのは9割がたシログチのおかげであり、僕はますますこの魚が好きになった。

ハムユイを作ってみよう


さて、当日食べきれなかったシログチが数匹あり、現地で下処理のみ施して持ち帰ってきた。
ここ数か月、シログチが手に入ったら作りたいと考えていた料理があったのだが、いい機会なのでそれを試してみようと思ったのだ。

それはハムユイである。


中華街やアメ横に行くと、カリッカリになるまで干しあげられた魚がいくつも売られている。
僕はそれをずっとただの干物だと思っていたのだが、聞いてみるとこれはハムユイと呼ばれるもので、調味料的に使うのだという。

調べてみると、南部中国ならびに台湾などで昔から作られている伝統的な調味料兼食材で、塩漬けにした魚(一般的にはイシモチ類、もしくはコノシロが用いられるという)を半発酵させ、さらに干しあげて保存しておくのだという。
アンチョビといくつかの共通点がありそうだ。


購入してみて匂いを嗅いだところ、これがなかなか強烈なにおいがする。
一番近いのは、釣りえさのアミエビの汁をつけてしまった釣り具を洗い忘れた時のそれ。
くさやのような「悪臭に近いもの」ではないのだが、耐えられない人もいるかもしれない。

これを油で揚げ、ほぐしてから各種料理に使うほか、そのままご飯に乗せて食べたりもするのだという。


作り方はシンプルで、かつ発酵食品とはいえあまり難易度は高くなさそうだ。
せっかくシログチがあるのだから、作ってみることにしよう。

シログチは鰓と内臓を抜き、全体にしっかりと塩をまぶしてジップロックに入れて空気を抜き、タッパーに入れて台所に放置。

1週間ほど経ったものを取り出してみると……

……(`・∞・´)
うん、塩辛がやばくなったみたいな匂いがする。


これを皿に乗せて、適宜裏返しながら室外にて陰干し。
ハエがじゃんじゃん来るのでざるをかけておきましょう。

……あ、そういえばこないだ造ったエツの塩漬け、これも結構塩辛っぽい香りがしてきたなぁ……

一緒に干しておきましょう。

丸3日干したのがこちら。


……うん、干す前と比べるとかなり穏やかだけど、それでも洗ってないサビキカゴの匂いがするな……w


これを油で揚げたのがこれ。


味見してみよう。

……(≧~≦)
おお、すごい! うまみの塊!
めちゃくちゃしょっぱいけど、このままバクバク食べちゃうの分かるな~

揚げると発酵臭がまろやかになって食べやすくなるのは、臭豆腐とかと一緒だね。

エツのほうはこれは完全におせんべいやね。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆




揚げたものはほぐして、油漬けにして保管しておくことにした。
近いうち、これでチャーハンを作ってみたいと思います。

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魚介その1(魚系) 発酵
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野食ハンマープライス

コメント

  1. gim より:

    愛知の実家ではイシモチの清蒸がたまに食卓に上がってました。
    結構好きだったんですが、かれこれ10年以上食べてないです。

    最近、アメ横で黄魚と書かれた、これに良く似た魚が売っていました。
    あれもシログチみたいですね。
    今度買ってみようかと思います。
    いや、鮮度を求めるなら、やっぱり釣りですかね。

    • wacky より:

      黄魚は似てますけど、たぶんコイチかフウセイだと思います(`・ω・´)もっと大きくて、あと鰭が黄色いですよね? あれも美味しいですよ! ただアメ横のだと鮮度がギリギリです(^_^;)

      • gim より:

        返信ありがとうございます。
        鰭は確かに黄色だったような気がしますが、サイズは20cm届くかどうかくらいでした。
        おっしゃる通り、見るからに鮮度がギリギリな感じだったので、二の足を踏んでしまい・・・。
        加熱すれば大丈夫でしょうし(たぶん)、今度見かけたらチャレンシしてみようかと思います。

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