ホシエイのロニョン(腎臓)はアンモニア臭くないのか?

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魚類界屈指の肝を持つことが判明したホシエイですが、そのあまりの美味に色々と酷い目に遭うこともあるそうです。

一番多いのは「肝だけとって捨てられる」。
これは他のエイでもあるようなのですが、軟骨魚類であるエイやサメは身に独特の風味があり、それを好まないひとが捨ててしまうのです。
とくに鮮度が落ちると、彼らが浮力・浸透圧の調整に用いている筋肉中の尿素が体内細菌の活動でアンモニアへと変わり、食べるとあまりの刺激に涙がでるほどになります。
そういったものを食べる文化もあるにはあるのですが一般的ではないでしょう。


個人的にはどうかというと、小さめのエイ・サメを新鮮なうちに処理したものはどんな料理でも美味しく食べられるのですが、大きくなってくるとどれだけ新鮮でも身の独特な「苦しょっぱい」感じが気になってしまってあまり好きではありません。
塩化アンモニウム的なものなのかなと思っていますが、実際のところはどうなんでしょう。



しかし今回はそんなこと言ってる場合じゃない。
なんせ肝を除いても7kgほど残っています。
いろいろ試しながらやっていくしかないでしょう。

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ホシエイ、身も美味しい

まずは左右の鰭の部分を切り出します。
エイはだいたいこの部分に一番肉があり、まだしっとりとして食べやすいのです。


ヌメリをしっかりと拭き取り、皮を引っ張ってはぎます。
他のエイよりも皮が剥ぎやすいですが、それでもペンチがあった方が楽です。


鰭の中心に骨が入っているので、それに沿って上下の筋肉を切り出します。


骨の模様が幾何学的でよいですね。。美しい……


残った胴の部分にもたくさんの筋肉があるので適宜そぎ落としていきます。

これをいろいろやっていきましょう。

●ムニエル

フツーに美味しい。
裏面の皮は柔らかく、剥がさずにソテーするとゼラチン質が溶けてバターに絡み、とても美味です。
美味しすぎて写真撮り忘れた。

調理時のコツとしては、できるだけたっぷりのバターで揚げ焼きにすること、そして塩コショウで下味をしっかりつけること。
中途半端だと上記の苦しょっぱさが気になります。

しょっぱめに作って、オレンジソースのような甘いソースでバランスを取るのがテクニックです。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

●煮凝り


めっちゃ美味い!
エイの魅力はほろりとほぐれる繊維質な身ですが、ホシエイの場合はより顕著で、細雪のような柔らかさです。
栗田さんは羽二重餅のような……とかゆうてはったね。あれはアカエイでしたけど。

腹側の皮を入れて一緒に煮ると、煮汁のゼラチン含有量が爆揚げされて、冷やしたときよりガッチガチに固まるのでオススメ。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

●さつま揚げ


から揚げは美味しいだろうなぁと思ったんですけど、デカすぎて軟骨が硬いかなと思ったので、一度ミンチにしてから揚げました。
揚げたてを齧ると、中から苦しょっぱいエキスが出てきてウエッてなったんですけど、冷まして落ち着かせてから食べるとなかなか乙でした。
肉質はムチムチ、軟骨がコリコリして美味しいです。

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆

●肝和え


生でもいってみよう、ということでトライ。
悪くはないですけど、良くも悪くもエイの身そのものって感じなので、苦手な人はしんどいでしょう。
あと、肝は酒蒸しにしたんだけど、やっぱり加熱すると微妙……

味:★★☆☆☆
価格:★★☆☆☆

腎臓を食べてみた

さて、ホシエイを捌いていると、非常に気になる臓器が出てきます。

ふたつに切ってみると

……!
そう、これは腎臓。
実に哺乳類っぽい見た目ですね。
マメとか、キドニーとか、フランスだとロニョンなんて言われるあれですね。

軟骨魚類は体内の浸透圧を高濃度の尿素で高く調整するため、結果として大量の尿を排出します。
そのため腎臓が非常に発達しているそうですが、結果としてこんなにも「いわゆる腎臓」っぽい見た目になるとは面白い。


さて、ぼくはモツ肉の中でも腎臓が結構好きで、新鮮なマメがあると買って炒めたり煮たりしています。
新鮮ならアンモニア臭くもないし、レバーとガツの中間のような歯ごたえがなかなか癖になるのです。

なので、このホシエイ腎臓も食べられるんじゃないか、食べてみたい……と思うのは、実に自然なこと。
しかし、腎臓に限らず全身が鮮度落ちでアンモニア臭くなるエイの腎臓……果たしておいしく食べられるのかな?


この時点で匂いを嗅いでも、肝と同じでほぼ無臭です。
尿素って無臭なんだよね……というのが実感できます。

それでも万一匂ったときに、煮つけだとダメージがデカいので、フレンチ風に調理してみることにしました。


ふたつ切りにした腎臓をたっぷりのバターでソテーし、シェリー酒でフランベ。
煮汁にバルサミコ酢を加えてソースとし、回しかけます。


ホシエイロニョンのソテー、完成!
いただきマース

……(´・益・`)
オゥ、ちょっとシンドイデースネ。
まずね、食感がいくない。
コリッと感は皆無で、なんていうかヌルッドロッといった感じです。
そして、臭くはないんだけど、苦しょっぱさが身の1.5倍くらいに強化されてる。
これはなんなんだろう。塩化アンモニウムか?

味:★☆☆☆☆
価格:★☆☆☆☆



結論:ホシエイは肝を生で食べ、身はムニエルか煮凝りにしましょう。
デカいので手を出しづらいかもしれないけど、価格はすごい安いし、大きい個体ほど肝も大きいのでお買い得です。
皆様ぜひ佐島にお立ち寄りの際には、丸吉商店さんで「ホシエイありません?」と聞いてみてください。

……お願いしたら肝だけ売ってくれるかも(← 今日の記事台無し)

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コメント

  1. にら より:

    外房でアジングしてた時に、漁船が肝だけ抜いたアンコウを何匹も海中に廃棄してたのを見た時には殺意を覚えましたね。
    エイの身は水分が多くて、水分に変な癖があるから、無香性ペットシート(お金のある人はピチットの方が無難w)で包んで一晩冷蔵すると随分癖が無くなります♪

  2. ワダ@まほろば より:

    ちょっと一手間をかければ食材になる魚が、投棄されたり岸壁に放置されている現状は悲しいですね。
    昨年8月に日経ビジネスオンラインで「独り負けニッポン漁業」と題した特集があり、天然の海洋資源(主要魚種)は近い将来に必ず枯渇すること、養殖を伸ばしていかないと漁業者に未来はないこと、日本の漁業者は設備投資で出遅れていて漁船も老朽化していること、などが紹介されていました。
    未利用魚の活用も絶対に避けてはとおれない道であり、われわれ市井の人間よりも、まず漁業者が率先して研究するくらいで当然だと思うんですが、現実は程遠いですね。いまある付加価値の高い魚種が自分たち漁協の占有物であり、将来も存在し続ける(し続けてほしい)という考えの人がまだまだいる。
    私の祖父は北海道の金山掘りでしたが、まあ考え方がよく似ています。資源は公共物であり、いつかは尽きるものだと考えないと衰退は免れないでしょう。