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茸本朗 初の単著「野食のススメ -東京自給自足生活-」が発売されました!!
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リアル書店でも、紀伊国屋さま、丸善さま、三省堂さま、八重洲ブックセンターさまなどの各店舗で目立つところに並べていただいています。
よろしければぜひ一度、手に取ってみてくださいませ。(ジセダイサイト内で試し読みも可能です)
購入された方、ぜひ通販サイト・アマゾンのレビューにもご協力ください。
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我らがぼうずコンニャクさんのサイトは、今や多くの魚名検索でWikipediaよりも上位表示がなされており、多くの釣り人や流通関係者にとっては魚類検索ポータルとなっています。マジで尊敬します。
なんだけど、運営されている藤原さんは非常に気がよくノリの良いおじさんで、あくまで個人運営サイトなんだよねという雰囲気を随所に醸していらっしゃいます。
静岡の日本酒が大好きな方なので、パーティーなどで話をしたいときは磯自慢の瓶を携えていくとよいです。これ豆な。
というウェブサイトなので、一般的にはあまり推奨されない食材や調理法を試されていることもあります。
アブラソコムツもバラムツも当然食べてる(酷評していますね)。
それから、地方の食材や食文化に非常に強いリスペクトを持たれているので、現在では危険と思われる利用法についても「自己責任で!」と注記をつけつつ紹介しています。
ぼくのサイト運営のスタンスも、こちらに多大な影響を受けています。
食味評価は真逆になることも多いですけどね。
さて、そんなぼうずコンニャクさんで紹介されている料理で、一番試してみたいと思っていたのは、ずばり、ハクレンの腹身の洗い。
こちらのページにて、ブリさながらの上品な身の写真とともに「かなり美味い」という評価が載っています。
そもそも僕はコイの洗いが大好物で、高校時代は野中町のマイチェリーとか矢取のAコープとかで購入しては寮に持ち帰りバクバク食べていたほど(同室の友人がドン引いていた)
あのコイ目独特の脂の乗りが最高なんだよね……あれでご飯3杯はいけます。いまなら日本酒4合は固いでしょう。
で、調べるにハクレンの脂ののりはコイの比ではないとのこと。
これは食べてみるしかないでしょう。
しかし、ここで懸念となるのが、コイ目魚の泥臭さと、寄生虫の存在。
佐久や米沢における養鯉のように清水養殖されたコイの洗いならいざ知らず、あのファンキーなアメナマちゃんを育む霞ヶ浦の大ハクレンを、果たして生のまま泥臭くなく食べられるものなのでしょうか。
また、コイ目にかかわらず淡水魚には、人体にも悪影響を及ぼす寄生虫がいることがあります。
肝吸虫や有棘顎口虫みたいなやべーやつもいます。
これらは長期間冷凍状態に置くことである程度殺虫することが可能ですが、洗いは捌いてすぐのもので作らないといけない。
マジで大丈夫なのか?
でも、どうしても食べたいんです。
やってやろうじゃねぇかこの野郎。
ハクレン、マジで怪物
というわけで割り勘要因のペンさんを拉致し、レンタカーで乗り付けた先は茨城県稲敷市。
ここでハクレンの目撃情報が相次いでいると聞いた取材班は、現地の詳しい人に話を聞くことにしました。
というか茸本がハクレン童貞であることを嗅ぎつけて「よかったら一緒に釣りませんか?」とコンタクトフォームから連絡してくれたんですね。
ありがたや……人脈人脈ゥ!
こちらが今回声をかけてくれたNさん
そしてN兄さん(肖像権の問題により、ふたりの愛車画像をアイコンとさせていただきます)
おふたりとも釣りが非常にうまく、また当地における外来種の棲息状況に精通されています。
Nさんの案内で、ポイントへ。
……巨大魚が棲息しているにしては、えっらい細い水路だぁ……
子曰く、このような細い場所でも棲息数は多く、また狭い分必然的に密度が上がるのでひっかけやすいとのこと。
ハクレンは噂には聞いていましたが、ブラックバスやシーバス狙いのルアーによく引っかかってくるそうで、繊細なタックルでバスを狙う人々にとっては極めて迷惑な存在だそう。
でも今回は川崎からやってきたという奇特な人類のために、大切なタックルを惜しみなく駆使しハクレンを狙っています。(ホントすみません)
ちなみにベストなルアーは「バイブレーション」だそうです。(伏線①)
一方でNさんはコイの吸い込み仕掛けを用意しブッコミダンゴ釣り。
水深のない水路なので(深いところでも1.5mくらい)ウキを使って流さなくても大丈夫とのこと。
とここで、突然右からけたたましいドラグ音が!
見るとN兄さんのシーバスロッドがひん曲がっています。
ハクレンは最初のひとのしがブリに匹敵するとか、「利根川のGT(ヒラアジ)」と呼ばれているとかいろんなエピソードがありますが、それにたがわぬ力強さ。
それでも「スタミナないんですぐに疲れますよ」というコメントもあり、和やかな会話など行いながら釣りが続いていました……
うおおおおお pic.twitter.com/bOFy64O5Re
— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) November 26, 2017
……そして10分経ちましたが、近寄ってくる気配が……ない。
N兄さんの顔もかなり真剣になり、唯一危機感のなかった茸本も「あこれヤバい奴やんけ」とさすがに察します。
断続的に続く糸が引き出される音。時に10m以上猛ダッシュしやがり肝が冷えます。
これ、相当デカいんでは……!?
N兄さんのYoutubeチャンネルにファイトの動画がアップされています↓
利根水郷の怪物ハクレン捕獲計画
20分近くの格闘を経て、あがってきたのは
でけぇええぇえええぇ
106㎝、15.5㎏!
5歳男児とほぼ同じサイズの巨大なハクレンが上がってきました。
こんな細い水路に……こんな化け物が……!
サイズもさることながら、面構えも日本らしさが全くない。
ハクレンちゃんは本当にどっちが上かわからん顔しとるな pic.twitter.com/SJcT5bzqoR
— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンターの七転八倒日記」好評発売中! (@tetsuto_w) November 26, 2017
ぼくのクーラーに入るわけがないので、急遽Nさんに発泡スチロールをとってきていただき、堤防上で3つに切り分けて、何とか収めます。
卵でけぇ……!
クーラーも心もパンパンに満たされてしまったので、ここで納竿としました。
ぼくは釣ってないですがそんなんもうどうだっていいです。ありがとうNさんN兄さん、美味しく食べさせていただきます!
ところでこの巨体、全部持ち帰るのは結構しんどいんですけども、みなさんよかったら少し持っていきませんか……?
Nさん「いえ、結構です」
ペンさん「うちも冷凍庫パンパンだから……」
あっ(白目)
生のハクレン、遺憾ながらすげー美味い
というわけで、こちらが手に入ったハクレンです。
はい。
デカいですね。伝わるだろうかこのデカさ。
切り身だけじゃわかんねぇだろうこのク○野郎って?
わかったわかった、じゃあほら
頭。
わかるかいこのデカさ。
わからないなら、とりあえず「一般家庭にあったらいろんなもののゲシュタルトが崩壊する」と思っておいていただければ結構。
この時点で23時、このままクーラーに氷を追加して寝てしまいたいところですが、ただでさえ鮮度落ちの早いコイ目の魚、今日の時点で解体ぐらいは済ませておかなくてはいけません。
ということでシンクの底で鱗を取り、
5枚おろしのイメージで側線から包丁を入れ、
腹身のほうまで包丁を進めて、そのままガンバラ(あばら骨)に沿って切り開いていきます。
寄生虫のことが気になったのと、ガンバラが固すぎて腹膜側から包丁を入れるのがしんどかったので、このように切ってみました。
まあ、それくらい腹身も肉厚だったよということです。
皮はペンチで引っ張れば簡単に剥けました。鱗をはがす必要もなかったかもしれない。
釣り場で頭を落としていたからか、神経締めした魚体のように身がぷりぷりといかっています。
皮下脂肪の層もすごい!筋肉はカンパチ、血合いはボラっぽいですが、腹身の脂肪ののり方はブリそっくりですね。
これを手際よく薄く削ぎ切りにして50度ぐらいの塩水でざっと洗い
氷水に放します。
あこがれの利根水郷モンスターの洗い、完成!
さっそくいただいちゃうよ!
……(≧〰≦*)
うまーい!!
食感はブリブリムチムチ、コイ目のあの魅力的な弾力がハクレンでも味わえます。
しかし異なるのはその脂、噛みしめると天然ブリのそれみたいに甘く、ジューシーです。
融点がブリよりちょっと高いのか、じっくりと噛みしめることで口の中に染み出してくるような感じ。
その中でコイ目らしい淡水魚の川の香りも現れますが、魅力的な個性のレベルで全然気にならない。
あえて少し放置してみたりもしましたが、それでもからし酢味噌があれば美味しく食べられるでしょう。
これは美味しいなぁ。寄生虫の心配がなければバクバク食べちゃいたいくらいだ。
味:★★★★☆
価格:★★★☆☆
ハクレン、生での食味評価は「コイより上、フナよりはちょっと下」といったところでしょうか。
ほかの料理ではどうでしょう。いろいろ試してみたいと思います。
コメント
ほっほ~ぃ!!すごさ~!!
時々ですがこの素晴らしいブログ拝見させていただいてます
福岡出身だとは 存じ上げてましたが
野中町だの矢取だのでてきたのでつい親近感を持ってしまいコメント書かせてもらいました(御井町に住んでたのでww)
ちっご川でも時々掛かるけど(草魚は 狙って獲れるが蓮魚は 稀)
まだ 食ったこつは ないとですよね・・・
ましてや生食は なんかジストマとかが気になって勇気が湧かんとです
旨かとですか・・・今度食うてみゆぅかなぁ・・・Wow!