丑の刻に食べたい、オオナの「五寸釘煮」を作った

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イカナゴ(小女子)といえば釘煮、釘煮といえばイカナゴ。

漁獲量の偏在っぷりの割に、イカナゴという魚の存在が全国的な知名度を誇っているのは、この釘煮という料理の存在によるものといっても過言ではないでしょう。
(「くぎ煮」は某食品メーカーの登録商標だということなので、今後は「釘煮」に表記を統一します)


釘煮は兵庫県・大阪府の瀬戸内海・大阪湾沿岸における郷土料理で、イカナゴ漁が解禁されるとあらゆる惣菜店やご家庭から、釘煮を炊く甘辛い香りが漂うといいます。(ぼくがいたのは豊中だったからかあんまり記憶がないですが)

さらに地元スーパーではこの時期、イカナゴを煮るための大きく浅い鍋や専用の調味液、出来上がった釘煮を詰める専用のタッパーまでもが売られるといいます。
噂によると釘煮のテーマソングもあるとか……?

なるほどね、一種のご当地イベントなわけですね。


釘煮というのは、細長いイカナゴを糖分の多い調味液で硬めに煮上げることで、出来上がったものがまるで古釘のように見えるところから名づけられています。
小女子サイズ(新子)を使っているから、ちょうど小釘くらいのサイズになるんだよね。


でも今回手に入ったのはオオナサイズ(10~15㎝以上)のみ。
なので今回は釘煮についてはあきらめようと思っていました。

でもね、やっぱり釘煮、大好きなんだよなぁ……
それも、市販のひたすらカチカチに煮切ったものではなく、ふっくらと柔らかい自家製の釘煮、これを食べないとうちに春は来てくれないんです。

というわけで、デカいオオナで無理やり作っちゃうことにしました。
大丈夫、やってやれないことはない。

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ごっすんごっすん五寸釘煮

作り方は、小女子で作るときと同じにしました。
オオナの身質や脂の乗りから行って、薄味にさっと煮つければ美味しくなるのは間違いないわけですが、それでは釘煮にならないので。

できるだけ広く浅い鍋に

醤油とみりん、日本酒、しょうが、そして

砂糖どかーん!!!
砂糖はちょっとどん引くぐらい入れるのが、釘煮を形よく作るコツです。
みりんを入れない場合、砂糖は醤油の2倍くらいは入れたほうがいいです。特に初心者は。
「これは料理を作ってるんじゃない、ケーキを作ってるんだ」そう思うと心が楽になります。できるのはケーキじゃなくてごはんのおかずだけどね。

これをいったん煮立ててアルコール分を飛ばし、そこに水洗いしたオオナを

どさっと入れます。

煮ていきますが、初めのうちは強火で。

アクが出てきますのでできる範囲で採りましょう。無理すると身崩れを起こすので、深追いは禁物。


脂が出てきて浮いていますね……美味しいものは脂と糖でできているんだそうですが、それで言うと釘煮は「美味しさの権化」って感じですね。

汁気が減ってきたら中火にしますが、スパイスや味変要素(スダチとかレモンとかおすすめ)を加える場合はここで行います。
今回は「大人の釘煮」なので大人っぽいスパイスを……ということで、先日の野食会で山中さんご夫妻が持ってきてくれた

生コショウの醤油漬けを贅沢に入れていきます。
漬かっていた醤油も入れちゃえ。


これをしばらく煮詰めて、汁が1/3くらいになったら、ザルにあげるなりして汁気を切ります。
弱火で煎り煮にして水分を飛ばし、


皿に上げて広げ、冷ませばオオナの釘煮、完成!


これはまさに五寸(15.15cm)釘サイズですね……

食べてみよう。
ご飯に乗せて……

……(≧~≦*)
やっぱりうまーい!
表面は煮切りで硬めに仕上がっていますが、やはり魚体が大きいだけあって中身はふっくらほくほく。
味付けは濃いですが、魚の味が濃くて脂が非常に乗っているため味付けに負けていません。
単体で食べるにはちょっと重すぎるくらいですが、ご飯と一緒だと格別。
ご飯3合くらいペロッとやってしまいそうです。

そしてここに、卵黄を添えると……

これもうあかんやつや

味:★★★★★
価格:★★★☆☆



ちなみに瀬戸内東部ではオオナのことを「ふるせ」とも呼び、オオナの釘煮を「ふるせの釘煮」と呼ぶことがあるそうです。
まあそれはそれで一向に構わないんですけど、せっかくだから五寸釘煮って呼んだほうが親しみやすくていいんじゃないかねぇ……
ほら、ちょうど先般から丑の刻参りのブームも来てるわけですし。来てない?

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魚介その1(魚系)
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コメント

  1. もみあげ より:

    大阪のとあるイオンで働いてたとき、春になると魚コーナーでイカナゴの歌が流れ続けてノイローゼになりましたw

  2. 釘煮好き より:

    全国的に不漁何ですよね…
    春先のオオナゴの釜揚げからの生コウナゴが懐かしいほどです。
    伊勢湾、今年こそは漁があることを祈ってます!

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