先日、軽井沢で採ってきた
シロカワ(クロカワの白色個体とされているもの)
山梨の方では「シロット」と呼ぶらしい。(ふつうのはクロット)
普通のクロカワよりも美味しい、ということを何度か人づてに聞いたが、調べようとググってもクロカワカジキ(マカジキ)とシロカワカジキ(メカジキ)ばかりがヒットしてキノコのことはさっぱり出てこない。
まあ毒ってことはないだろうし、自分で食べてレビューすればいいだけなのだが。
クロカワとその苦み
そもそもクロカワ自体が非常に人気のあるキノコで、コリコリした歯応えに濃厚な旨味があり、確かにあか抜けている。
野生のキノコのなかでは非常に洗練された味わいだ。
そして後味の苦味も日本酒とよく合う、とされている。
むしろ苦味が好き、という人も多い。
一方で富士山のクロカワ(ミヤマクロカワ?)などはその強い苦みから敬遠されており、3合目あたりではそこらじゅうに出散らかしているがあまり採られていない。(採取制限もあるしね)
クロカワが好き、と言っている人の中にも、わざわざ重曹で茹でこぼして苦みをとってから食べる人もいる。
確かに歯ごたえがコリコリして心地よいので、味を後からつけ直して食べても美味しいは美味しいのだけど、それもなんかなぁ…という気もする。
クロカワだけではないが、キノコの苦みというのは人によって捉え方が大きく変わる。
味覚の1つとして愉しむ人もいれば、山菜の「アク」と同じように忌避する人もいる。
個人的には「アク」と違ってお腹を壊すことはないので、そこまで嫌いではない。
もちろん、限度はあるけどね。
ミヤマクロカワとキシメジの苦みは限度オーバーかなぁ…
シロカワ、ヤバい
話をシロカワに戻そう。
これが発生していたのは、軽井沢の町はずれで標高は1000m前後。
ミズゴケの生えた斜面にポツリポツリと出ていた。
場腐れしたものは少なく、新鮮さを保っていたことを考えると、晩秋に発生するタイプの亜種なのかもしれない。
同じ場所から発生していたのがシモコシとシモフリシメジという晩秋の代名詞のキノコたちなのでなおさらそう思う。
至近に生えていたのはモミとカラマツだったが、シモコシがあったということは2葉マツがどこかに生えていたのかもしれない。
ひとつの場所にいくつかの個体(子実体)が出ていたが、色の変異がとても大きい。
断面も見てみよう。
ひとつはきれいな白色にわずかにグレーのかすれ模様が入っており、別のものは黒に近いグレー、またその中間的なものもあった。
これを見るとやはりクロカワの変色個体と考えるのが自然だろうか…
さて、それではいざ試食。
半分に切り、虫食いのひどい柄は切り捨て、網焼きにしてみた。
香ばしい香りが台所中に漂う。
クロカワは加熱すると全体が真っ黒になってしまうが、シロカワも黒く変色し、まだら模様になってあまり見目麗しいものではない。
ちょっとがっかりしつつ、醤油を一滴たらして食べてみた。
…
…
……うーーまあああーいいぞおおおおお!!!(二度目)
クロカワから苦みをすべて抜いて、旨味を倍プッシュし、さらに甘みまで付け加えたリッチでゴージャスで『まさに完璧な味っ・・・・・・!』。
アワビのようなコリコリ感は健在で、とくに傘の厚いものではマツタケにも匹敵するかもしれない。
香ばしい香りだけではなくて、いい肉を焼いた時のような、旨味が揮発するような魅惑的な薫りがするのが不思議だ。
これはマツタケにも匹敵、てか超えたね。
ホンシメジともがっぷり四つで戦えるどころか、本調子でなけりゃ電車道であっというまに土俵外ですよ。
一緒に焼いたシモコシ/シモフリシメジも香ばしくて見事な味だけど、シロカワと比べるのはかわいそうやね。
やっぱり別種だよ
というわけで「シロカワ」はクロカワよりも圧倒的に上の味わいを持っているという結論。
だってリアルに甘みを感じるキノコなんて初めてですよ。
旨味も濃すぎてまるでつけ焼きしたみたいだ。
クロカワと同じなのはそのシルエットぐらいで、色の濃い個体でもクロカワの薄色個体よりは淡いし、シーズンや発生環境もぜんぜん違う印象を受ける。
これ、やっぱり別種なんじゃないかなぁ…?
いや、しかし軽井沢ホントいいところだわ。
今年はもう終わりだろうけど、来年は8月くらいから巡回ポイントに加えていく予定。
キノコ友達も移住するし、今後が楽しみだ!
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