先週末の連休初日は長野出身のアウトドア友達とともに、松本平方面でマツタケ狩りに行く計画を立てていた。
しかし今年のキノコの年間進行は、割りと駆け足だった去年よりも更に早回しで、10月の声を聞くとともに、マツタケなど秋のキノコは姿を消してしまったらしい。
こんなときは探すポイントの標高を下げていくのが定石だ。
しかし平地では致命的なほどに雨が降っていない。
地面はからからで、とくに地表から出るキノコの発生は絶望的だった。
探索を延期することも視野に入ってきたころ、友人から
「軽井沢なら霧が多いし、街中から北軽井沢まで標高差もあるから、マツタケはなくても晩秋のキノコがどこかで見つかるんじゃないか」
とエクセレントな提案が。
と言うわけで進路を北西に切り替えて、一路軽井沢へと向かった。
軽井沢キノコパラダイス
市街地の標高が既に1000m近い軽井沢は、街中に生えている樹もカラマツが主体で、まるで街がまるごと高山の中にあるような印象を受ける。
それでもまずは山地を探そうと思い、北軽井沢方面に足を伸ばしたが、からからの斜面からキヌメリガサが数本顔を出していただけだった。
晩秋のキノコすら出終わってしまったようだ。
失意のまま来た道を戻り、市街地で一旦作戦を立て直そうと思っていたとき、視界の片隅に大きな傘が映ったような気がした。
急いで車を停め、徒歩で戻ってみると、真新しい別荘地の法面に敷き詰められていた丸太からそれはそれは立派なヒラタケが!
友人と二人で遠巻きに眺めていると、別荘の方が出てこられたので少し談笑。
事情を話すとなんと採取の許可を頂くことができた!
軽井沢には移住してきたひとも多いからか、よそ者に対しても親切にしてくれるのかもしれない。
最終的に傘径20cmを超える立派なヒラタケを大量に確保することができた。
さらにここからバカヅキモードに突入。
何気なく入った路地や車を停めてすぐの場所、ふと足元を見たときや上に視線を移したときなど、あらゆるタイミングで素晴らしいキノコが目に入ってきた。
株立ちのナラタケ(狭義?)は傘径10cmを超えるもの。
クリタケの群生はあちこちで見られた。
ミズゴケがあれば地上性のキノコも出ていた。
嬉しかったのは
クロカワの白色個体、通称シロカワ。
初めてみたが全く別のキノコにしか見えない。
毒菌も元気。
カキシメジ、
ニガクリタケ。
干からびたホウキタケの菌輪も見られた。
ひとつ採取してみると、表面は乾いているが内部は非常に新鮮で虫食いもなく、美味しそうだった。
すべて状態のよいものだけを採取したが、山分けにしても十二分な量を確保できた。
今後も一雨あればもっと大量に採ることができるかもしれない。
片っ端から入れちまえ!
持ち帰ってきたキノコたち。
これだけの種類があれば…以前からやってみたいと思っていた「アレ」ができる。
アレとは…そう「雲南キノコ鍋」だ。
中国・雲南省では豊富な森林と降水量があり、数々の美味な天然キノコが発生する。
それを好きなだけ入れて作る鍋が「雲南キノコ鍋」だ。
注文するときは、どのキノコを入れるかを好きに選ぶことができる。
種類を増やすほど価格も高くなるが、多ければ多いほど出汁が美味しくなるのだという。
火鍋スタイルが一般的らしいが、ふつうの鶏がらスープで作るものもある。
今回は、
クリタケ
ナラタケ
ヒラタケ
シモフリシメジ
シモコシ
サンゴハリタケモドキ
ホウキタケ
キヌメリガサ
カヤタケ
ノボリリュウ
を投入してみた。
キノコだけを20分ほど煮て、十二分に出汁をとる。
他の具はタケノコとネギだけ。
上品な出汁が出そうな種類が多かったので、辛くないスープにしてみた。
…
……
…うーーまーーぁぁあいいいいいぞおおおおおおお!!!!!!!(味皇注意)
何だこれは、この深みは!!
すべてのキノコの味が溶け込んだこの茶色いスープは、まさに中国4000年の神秘と言わんばかりの奥深さを感じさせる。
…いや、違うな、すごいのは中国4000年の歴史じゃなくて、キノコだな。
ホントは1種類ずつ味のレビューをしようかなと思っていたのだが、
それはまるでビッグバンドの演奏を聴きながらトロンボーンのみを褒め称えるがごとく、無意味な行為であることを悟った。
混然として一体化したこのスープはまさに芸術。
まさに神の御業と言わざるを得ない。
味:★★★★★
価格:★★★★★
次やるときはテングタケ・ヤマドリタケ系の食菌も入れて作りたいな。
たぶん、またベクトルが違う逸品ができ上がると思うんだ。
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