今年2014年は野生キノコが大不作だったが、めげずに新規開拓を繰り返した結果、初見の種類にも数多く出会うことができた。この熱意を仕事の方に向ければもっと稼げるのにね
その中でも個人的に「これは…ッ」と思った種は、マツタケモドキだ。
見た目の通りマツタケによく似たキノコで、アカマツの下に出る点も共通している。
マツタケより遅い時期に出るというが、11月に見られるとは思わなかった。
このすぐ横にシモコシが大量に発生しており、夢中になって採取していると突然目に入ったのだった。
自分は20年以上キノコ採取をしているがいまだマツタケには出会えておらず、このキノコを見たときも最初はドキッとしたが、これだけ傘が開いていてマツタケの匂いがしないというのはおかしいのですぐにモドキだと気付いた。
とはいえこちらも歯ごたえ良く美味しいキノコだというので、持ち帰って食べてみることにした。
さて、マツタケモドキについて調べているとしばしば見受けられるのが「3日置くとマツタケ香がする」という記述。
確かに同じキシメジ科で似た環境に出るとはいうものの、生えてる状態では全く香らない(いわゆるキノコ香もほとんどない)マツタケモドキが本当に香るのか、半信半疑ではあったが、試してみることとした。
調理
一般的にキノコは水洗いしない方がいいというが、土がついているまま調理するのは嫌だし、そもそも現時点で香らないから問題ないだろう。
まずは、お吸い物にしていただいてみた。
…本家マツタケよりだいぶ柔らかいようだ。
柄はしゃきしゃきとしてブナシメジや栽培ホンシメジに似ている。味は茸の旨味が若干感じられるが、エリンギやブナシメジ程度でそれほどのものではない。一緒に採ってきたシモコシとは比べようもない。
評価
味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆
本体の味はよくわかったので、残りは秘密兵器を使う。
スーパーの特売コーナーで200円で売られていた北米産マツタケ。こちらも実際は近縁種らしいのだが、マツタケ香がするという1点において「モドキ」とは月とスッポンなのである。
こちらの泥をさっと洗い流し、香りが出るように手で割いて、吸い物に入れてみた。
マツタケは火を通してもそこまで軟らかくならず、非常にしゃきしゃきして歯ごたえが素晴らしいが、いかんせん味が弱い。旨味だけで見ればマツタケモドキより劣るかもしれない(空輸されている間に旨味が落ちた可能性はもちろん高い)
逆にマツタケから出た香りを纏ったマツタケモドキはなかなかのものとなった。本人たちにとっては非常に不本意かもしれないが…
その後
放置しておいたマツタケモドキだが、どうも水分が多いせいか痛みが早い。
冷蔵庫に入れていたにもかかわらず、2日めにして悪くなったマツタケ臭を帯び始め、3日目にはかなりどぎつい感じになってしまった。欧米人がマツタケ香を「軍人の靴下の香り」とたとえる理由がわかろうものである。
ああ、3日置いたらマツタケって、こういう意味だったのね…
悪いことは言わない、採れたらすぐに食べたほうがいいっすよ。香りなんかなくても、それなりにおいしいキノコっすから。「モドキ」も世界に一つだけのキノコ、だれでも特別なオンリーワンっすよ。
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