むしむしQ野プラ支店 蠍・竹苞蛾・雀蜂・蛙・蛇

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ある食べ物がゲテモノかそうでないかは、提供する側の意識によって決まるのではないかと思っている。
食べる人にとって全く信じられない食材であったとしても、食べる人のことを考えてしっかりと調理されたものであれば、僕にとってそれはゲテモノではない。

食用サソリ

ヴィジュアルというか、見せ方も大事よね


このサイトは「奇食レポート」の一種であり、それを期待して来られる読者さんがほとんどではないかと思う。
しかし僕としては「その食材は食べられるか」ということよりも「どうやって食べたら美味しくなるか」ということにウェイトを置いているつもりだ。

もちろん、ゲテモノをゲテモノとして食べることがいけないなんてことはない。
場末の立ち飲み屋で「鹿のペニス酒」とかあったらオトコであればつい頼んでしまいたくなるものだし、よりゲテモノらしい方がそういう下世話な欲求には効きそうな気がするものだ。

考え方の差でしかないのだが、このサイトを運営していくうえで一度はっきりさせておかないといけないなと思ったので、ここで書かせてもらうことにした。

新宿蟲喰いナイト

さて、なぜ今日はこういう書き出しになったのかというと、昨晩新宿の某有名中華料理店で、ゲテモノとそうでないものの境界線上を歩いてきたからである。

大学時代の先輩に誘われていったその店は、中華の食文化を一切日本ナイズすることなく提供してくれることでそのスジでは有名らしい。
「サソリを食べに行こう」というインハイ高め154km/hド直球のお誘いをいただいてホイホイ付いて行ったのだが、予想以上に様々な虫編の生きものを食べることができた。

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サソリ(から揚げ)

まず出てきたのがサソリのから揚げ

食用サソリ,から揚げ

かっちょいい


大きくとも5㎝ほどのサイズで、食用のキョクトウサソリだと思われる。
店員さんにどこ産かと聞くと「山東省!サソリと言えば山東省よ!」と即答された。
虫食でよくある、味が分からないくらいまでぱりぱりに揚げられたカッスカスのものではなく、最低限の加熱でジューシーさも残した素晴らしい仕上がりになっている。
毒針も付いたままだ。
味付けはおそらく塩のみ。

口に入れてみると、予想以上にしっとりしていて、毒針が口の中に刺さりまくる
味はちょっと古くなったサンマの塩焼きの内臓のような油臭さと、虫に感じることの多い青臭さが入り混じった味わいで、美味しいかと言われると非常に微妙。
不味くはないが、佃煮にしたらもっと美味しく食べられるのではないかという気がする。

味:★★☆☆☆
価格:★★☆☆☆ 純粋に食材として考えると、価格と味が釣り合わない。薬膳として考えるべき

スズメバチ幼虫(素揚げ)

から揚げなのかもしれないがほとんど素揚げの状態で出てきた。

スズメバチ,幼虫,から揚げ

フツーに美味しそう


いわゆる地蜂であるところのクロスズメバチと比べてはるかに大きいので、おそらくはキイロスズメバチだかオオスズメバチだかの幼虫だと思われる。
ローヤルから揚げとも書かれていたので、女王蜂の幼虫なのかもしれない。
身が多いので味がしっかりしているし、揚げて塩かけただけのようなのでハチの子そのものの味が楽しめる。
少し甘くて、ミルキーで、脂っこくてまあまあ美味しい。
ハチの子ってたぶん、佃煮みたいな濃い味付けにするよりシンプルに食べた方が美味しいと思うんだよね。

味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆ 買うとちょっと高い。自分で捕まえられるなら食べてみたいけど、死にたくないのでたぶんその機会はない。

竹虫(素揚げ)

竹虫,タケツトガ,から揚げ

頭が無かったらもうちょっと食べやすいビジュアルになるかも


虫に強いHさんに写メしたら、速攻で「タケツトガじゃない?」との返信が来た。さすがである。
このサイトではおなじみの「虫は食べてる物の味がする理論」から考えると竹の味がするはずだが、はたして青臭く、竹と言われれば竹だなぁ…というような香りがした。
でも同じ鱗翅目だと、以前食べたアワノメイガの方が美味しかったなぁ…

味:★★★☆☆
価格:★★☆☆☆ 高級食材ということだが、採取の手間はともかく、味が見合ってない。竹につく虫なら、節のところに寄生しているカミキリムシの方が美味しそうな気がする

カエル、ヘビ(香味揚げ)

フツーに美味しいです。どちらも食材としてはすでにかなりポピュラーな気がする。

ヘビ,から揚げ

ヘビから揚げ


どちらも鶏肉に例えられるけど、カエルはもも肉、ヘビはせせり肉だよね。
骨が多くて食べにくいので、KFC風に圧力鍋で揚げたら食べやすくなるかもしれないけど、危険なんで絶対にやらないで下さい。
ヘビ,小骨

ウツボみたいな骨

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆ 自分で採って食べたいです。

虫編は美味しい

来たるべき食糧危機の際、世界を救うのは昆虫食だとしばしば言われているが、どの食材も味はともかく、栄養源としては十分すぎるほどなのは間違いない。

ただやはり調理の面で工夫しないことには「ゲテモノ」のレッテルを剥がすことは難しそうだ。
素揚げで美味しい虫はハチの子などごくごく一部のものしかないので、独特の生臭さや油っぽさ、青臭さを消してあげる調理法をセレクトする必要があるだろう。

そう考えると、長野のざざむしの佃煮やセミの缶詰なんかは食べやすさを考えて作られているので、ゲテモノと呼ぶのは非常に失礼な気がする。


なんでも毛嫌いせずにいたほうが人生楽しいよ。保守的なことは百害あって一利なしだと思うけどね。食べることも、考えることも。

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野食ハンマープライス

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