「ジコボウ(ラクヨウ)といえば汁物」はもう古い? ハナイグチ料理の傑作「ブタイグチ」を作ってみた

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先日のキノコ狩りですが、本命はこの


ハナイグチでした。
ハナイグチは西日本の方、ならびに関東平野部にお住いの皆様にはトンとご縁のないキノコかと思いますが、東日本の広い範囲で愛され食用にされるキノコです。野生キノコの中では最もよく食べられているものの一つではないでしょうか。
菌根菌というタイプのキノコで栽培ができないのですが、それでもシーズンになると流通し、豊洲市場などにも入荷します。


赤と黄色のツートンな色合い、つるりとして可愛らしいかさ、似た毒キノコもなく、シーズンにカラマツ林に行けばポコポコ採れるということもあってキノコ狩りでも非常に人気のあるキノコ。ジコボウ(リコボウ)という名前でも親しまれており、もののけ姫に登場する「じこ坊」のモデル(?)になったことでも有名ですね。

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ハナイグチといえば汁物、だけど

ハナイグチの食味上の特徴はまずその強いぬめり。水に濡れるとかさの表面がぬるぬるになり、踏んでコケる事故が多発します。
英語圏ではスリッピージャック(滑るヤツ)というざっくりした名前で呼ばれているようです。

このぬめりはナメコよりも強烈で、したがってナメコ同様に汁物としての需要が高いキノコです。鍋やみそ汁に入れるとつるんとしたのど越しとプリッとした歯切れが楽しめます。


ただなんていうか、この「プリッとしてつるん」っていうの、なんかもったいない気がするんですよね。

ぼくは個人的に、キノコの最大の魅力は「香り」と「うまみ」だと思っているんですけど、汁物にしたハナイグチを「プリッつるん」で食べちゃうとそのどちらもあんまり感じられません。もちろん旨味は出汁に出せるけど、出そうとすると「一回煮てから冷ましてもう一度煮る」みたいな工程が必要になってめんどいです。

なので汁物以外の調理法がないかと探していたのですが、日本のきのこ食文化では「ぬめりのあるキノコはおろし合えか汁物か鍋!(ドン!!)」と決まっているようでほかの食べ方が全然ありません。
なので一時期ぼくはハナイグチを見かけても採らないくらいにはやさぐれていたのですが、ある日ついにこのぼくの欲求を満たしてくれる料理に出会いました。

ハナイグチは炒めても美味しい

それは3年ほど前の野食会でのこと。
参加者のwakiyakuさんが作ってくださった「ブタイグチ」という料理に、ぼくは強い感動を覚えました。
これは彼が別の食イベントに参加された際、「イグチでパスタつくろーぜ」という試みのもと、試行錯誤の末にふわっと編み出されたという創作料理なのだそう。なのでレシピは独創的かつ簡単極まりないです。

wakiyakuさんが公開されたレシピはこう。

まず、イグチの石突を取ってよく洗い

やや大きめに切って



一口大に切った豚バラ肉、ナスとともに炒めます。キノコとナスから大量の水分が出るのでそれを飛ばしていくように。
白ワインと醤油を入れます。ハナイグチというキノコは大量の水分を含んでいるので、水はあんまり入れなくても行けそう。


粗びき胡椒をぱらりと振って、完成!
いただきまーす

……(≧〰≦)ウマー
炒め煮にされたハナイグチは余計な水分が飛び、旨味が濃縮されています。ぬめりがほかの具材にも絡み、香りとともに味として全体になじんでいますね。

白ワインを使いながらも醤油と合わせることで和洋折衷の風味が出るのが素晴らしい。
ハナイグチは実はポルチーニと同じグループのキノコで、同様の旨味がありながらも、そのぬめりにより「和風」というイメージを強く持ちます。このハナイグチに内在するアンビバレントさをうまく引き出す料理法だ、なんて言ったらちょっとカッコつけすぎでしょうか。


「ブタイグチ」という色気もそっけもない名称もまた良いですね。もっとイタリアンな名前を付ければクックパッドでランキング入り確実なのに、そんなことはどうでもいいというか(本当にどうでもいい)。

このままパスタの具材にしても美味しいそうです。そういえば去年サイ〇リヤで「ヌメリイグチのパスタ」なんてメニューが出て野食クラスタを騒がせましたが、きっとあんな感じでしょう。バターをひとかけ乗せてもよいかもね。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

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キノコ
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野食ハンマープライス

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