本当のきりたんぽ鍋作りは真夏に始まっている

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秋田の郷土料理「きりたんぽ鍋」の主役食材である、きりたんぽ作りが始まったそうです。

新米できりたんぽ作り始まる 秋田の料亭「濱乃家」

採れたての新米で作るきりたんぽなんて最高に美味しいに決まっているのですが、しかしきりたんぽ鍋の美味しさを最終的に決めるのはやはりスープ。
秋田が誇る日本三大地鶏・比内地鶏でとった濃厚な醤油スープで知られているのですが、それだけでは味を決めることはできません。もうひとつ、この出汁がなくては本場のきりたんぽ鍋にはならないよという食材があります。

そしてその食材、きりたんぽを作る秋よりずっと前、残暑厳しい夏の時期じゃないと手に入らないのです。。

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きりたんぽの出汁は真夏に出る

今年こそはガチでマジのきりたんぽ鍋を作ってやろうと胸に誓い続けていたぼくは、今月初頭の残暑のなか、その食材を探してブナの森をさまよっていました。
その「出汁のもと」はブナの原生林にしか発生しないレアなものなのですが、もし発生していれば見つけるのは容易なはず。

林道を車で走りながらポイントを見定めていると、突然トミーさんが「あれ、今なんかすごいのありましたよ」と言って車を路肩に止めました。
おっもしや……


キターーーーーー!!!! I got it!!
今日の本命・トンビマイタケです。


マイタケと同じ仲間のキノコですが、本家よりはるかにデカくなるのがこのキノコの特徴。1本の木から100㎏以上のキノコが発生することもあるといいます。
これはそこまではいきませんが、それでもおそらく50kg以上は出ているでしょう。あたり一帯に強烈なマイタケ香をまき散らし、薄暗い森の中で強烈な存在感を放っています。

このトンビマイタケ、ブナ林のある所には全国的に発生するのですが、主に秋田と山形でしか食べられていないというキノコです。しかしその2県、とくに秋田では「トビタケ」とよばれ熱狂的に好まれており、栽培もおこなわれ、トビタケ祭りなるものも開催されるそう。いいですよね、こういうローカルフード。
そして、このトンビマイタケの出汁で、きりたんぽを煮るのが本式のきりたんぽ鍋だと言われています(諸説あり)。

真夏というキノコが少ないシーズンに、山奥にひっそりと出るキノコなので、上記2県以外ではほとんど顧みられておらず、ライバルもいないようです。しかし発生時期が7月下旬から9月中旬と長く、採取できるのは1週間程度なのでタイミングを合わせるのがとても難しいキノコ。
ぼく自身、実に5年ぶりとなる邂逅となりました。有難し。。

マイタケを見つけたときに踊らなくてはいけない「マイタケの舞」を奉納したのち、恭しく一株だけ頂戴しました。


別のポイントで灰色がかった幼菌も確保。姿を見れたことに安堵しつつ、帰宅しました。

トンビマイタケできりたんぽ煮てみた


採取してきたトンビマイタケ。このキノコは刺激を受けると黒く変色するのが特徴で、これも他地域ではあまり食べられない一因ではないかと思います。見た目はアレですが味に問題はありません。

実は右のように茶色みがかっている(それこそ鳶色の)ものは食べるにはやや成熟しすぎで、硬くしわくなっています。しかしこのような個体は香りが強烈で、味もよく素晴らしい出汁が出ます。作業中、台所がマイタケ臭すぎて苦情が出ました。。

なので今回これは出汁用とし、細く裂いて乾燥して保存します。


時は流れ秋、気温が下がりお鍋に向いた季節となってきました。そろそろやっていきましょう。

さっそく出汁をとっていきますが、きりたんぽ鍋なのでもちろん鶏出汁も必要です。
比内地鶏のがらが残念ながら手に入らなかったので、普通の鶏のがらと

以前いただいた鴨を捌いてそのがらも使うことにしました。合わせ技一本で比内地鶏に近づける荒業。


せっかくなので鴨肉も一緒に入れて煮込みましょう。


とれた出汁に干しトンビマイタケを入れて、さらにぐつぐつ煮込んでいきます。


この時点で醤油はまだ入れていませんが、深みのある琥珀色の素晴らしい出汁が取れました。鴨の野生的な香り(若干臭かった)をもしのぐ強いマイタケ香が、互いにがっぷり四つでいい勝負を繰り広げています。

火を切って冷まし、さらに出汁をとっていきます。
その間にごはん(干し芋リストからいただいたつや姫)を炊き


搗いてつぶして


割りばしにまとめてコンロで焦げ目がつくまで焼いて


きりたんぽを作ります。

先ほどの出汁をみりんと醤油で味付け、

きりたんぽと野菜、トンビマイタケの幼菌を入れて1時間ほどじっくり煮込めば


きりたんぽ鍋、完成!
いただきまーす


……これだねこれ! やっぱこれだわ。秋田ほとんど行ったことないし本場のきりたんぽも食べたことないけど、これでしょ? って聞かれたらそうこれこれ! と返してしまいそうな誰もが納得する美味しさ。
トンビマイタケはマイタケより味そのものは少し弱いですが、香りと歯切れが強烈で、鍋の中でまた異なる存在感を示します。地鶏の強い風味と合わせるのに、栽培のマイタケでは全く手も足も出ないことがありますが、トンビマイタケの香りと出汁の強さはまったく負ける要素がありません。
この琥珀色のスープもまたいいよね。きりたんぽによく映える。当地で愛されている理由がとてもよくわかります。

味:★★★★★
価格:★★★★☆



あー美味しかった。次は採れるの何年後かなー。

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キノコ
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野食ハンマープライス

コメント

  1. 秋田人 より:

    セリが入っていない。やり直し。

    • 茸本 朗 より:

      やっぱり要るよなぁぁああ……食べててセリの臭いが恋しくなったもん。駅前のスーパーになくてあきらめたけど、川崎駅のスーパーまで行けば買えたかもなぁ……あるいは上流行って採ってくるか

      まあそれはまた今度ね

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