傘の裏がひだではなく管孔となっていることで他のキノコと容易に区別ができるイグチ科のキノコだが、その一方で科内での種の同定が本当に難しい。
同時期、同環境に大量の種類のキノコが発生し、また数mの範囲内に何種類も混生することは珍しくない。
また、現在でも種類が多すぎて判別しづらいのに、毎年のように新種が報告されていくので、頑張って同定しようという気すらなくなってしまう。
しかし、食べるために採るのであれば、ある程度は特徴を頭に叩き込んでおかないといけない。
かつては「イグチに毒茸なし」とまで言われていたのだが、現在では猛毒のもの含めたくさんの種類の毒菌が確認されている。
毒イグチに中るとホントに辛いのだ……!
見つけるたびに図鑑で検索していたらどれだけ時間があっても足りないし、疑わしきは罰するというキノコ狩りの基本ルールに則れば、名前が確定できていないものはすべて食べることはできない。
網タイツ履いてても食菌とは限らない
そんな中で、代表的な食用イグチ「ヤマドリタケモドキ」とその近縁種に共通する「柄の網目模様」は、食べられるイグチを指し示す福音的なものとしてしばしば尊ばれてきた。
これらの種は、世界的に人気の食用キノコ「ポルチーニ(ヤマドリタケ)」の近縁種でもあり、どんな料理にも合う美味なイグチである。
これを知るものは、イグチ科のキノコを見かけると傘の裏を覗き込み、太く美味しそうなその足(柄)に網タイツが穿かれていないかを逐一チェックしていくのだ。
しかし、この網タイツも、サイズや質感こそ違えど、意外と多くのイグチに共通する特徴でもあり、そこには猛毒菌もいくつも含まれている。
近年見つかったミカワクロアミアシイグチ(三河黒網足猪口)は、イグチには珍しい猛毒種ということで、キノコクラスタに大きな驚きをもって迎えられた。
キノコの判別に王道はない。
ひとつひとつ特徴を確認し、確実に食べられると判断できるまでチェックし倒すしか方法はないのだ。
黄色い網足イグチを採取した
さて先日、おなじみのヤマビルタマゴタケ山にキノコを採りに行った。
その数日前に野食クラスタの友人にそのポイントをお勧めしたところ、恐ろしく完璧なヤマドリタケモドキの画像を送ってきやがりメンタルが不安定になったので、落ち着かせようと思ったのだ。
彼らがそれを取ったというスポットに向かうと
おお!
おおお!
出とるやんけー!!
いやー美味しそうなヤマドリタケモドキあるやんけ!!
とホクホクしながら採取し、持ち帰ってきた。
しかし、調理前にもう一度確認すると
なんだかやたらと黄色い。
柄の全体を覆う網タイツや傘の質感はヤマドリタケモドキそのものなんだけど、柄が黄色いし、管孔面はなんかもふもふしてるし、ってか黄色すぎィ!
うちにある図鑑をひっくり返すが「黄色いヤマドリタケモドキ」についての記述は見つからない。
しかたないので「ヤマドリタケモドキ 黄色」でググったら……
あった!! これだ!
キアシヤマドリタケ
ほとんどの図鑑に載っていない、和名が付けられて日の浅い種類のようだ。
発生状況や時期、子実体の特徴などもばっちりあてはまる。
ヤマドリタケモドキでなかったのは残念だが、ニューフェイスと出会えたのはキノコ好きとしては嬉しいことだ。
キアシヤマドリタケを食べてみた
さて、このキアシヤマドリタケ、まだ研究が進んでいないせいか食毒については不明となっているようだ。
しかし、いくつかの個人サイトでは試食が行われ、まずまずの評価を得ている。
ならば自分でも確認しないといけないだろう。
ということでスライスし、サラダ油で炒めて食べてみた。
……(・~・)
……味しねー。。
全く無味って訳じゃなく、奥の方に微かに旨味を感じるので、食べる人は食べるかもしれないが……
ヤマドリタケモドキと比べるとかわいそうになるくらい味が薄い。
香りもポルチーニらしさは全く感じない。
しかも、後口にわずかにエグみがあり、数切れ連続して食べると、口のなかにもやがかかったようになる。
歯応えも、見た目のしっかりさに比べるとずっと弱々しく、ふにゃふにゃだ。
柄の歯応えだけは評価できる。
味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆
食毒もはっきりしてないし、これじゃ食べる価値があるとは言えないなぁ。
コガネヤマドリと見た目も味もかなり似ているね。
まあ、お腹は壊さなかったので、我こそは! という人は自己責任でトライしてみるのもいいかもしれませんねぇ。
美味しい食べ方がわかったらぜひ教えてください。
コメント
ワッキーさん、H坂さん、せ○なさんあたりは、もはや人生がポケモンGOですねー。
しかも、可食ww
なにかを狩りながらポケモンGOやるとその行程が一度で二度美味しいカンジになります。オヌヌメ。
おいしいのはイタリア産だそうな、日本のは足元にもってウィキに