海藻はフロンティアだ⑤ 適当な紅藻を採取して寒天(おきゅうと)を作る

小学5年生の時に、東京から福岡に引っ越した。

僕は割となんでも美味しく食べられる性質だったので「異国の食文化」にもあまり苦労はしなかったが、それでもある日の給食で「おきゅうと」が出たときは面喰ってしまい、残してしまった。

おきゅうと

「おきうと」と書くことも多い


おきゅうととは一言で言うと「海藻の風味をそのまま残した心太or寒天」で、食べ慣れてない人間にとっては独特の海藻臭さ、舌触り、酸味がかなり気になる。

その後家の食卓でも出ることがあり、何度か食べる機会があって慣れてきたが、それでもあまり好きなものではなかった。

しかし時がたち、おきうとのあの風味が酒によく合うことを知ることができる年齢になった。
たまに福岡に行くことがあると居酒屋などで注文し、懐かしい風味にほろりとすることもある。

おきうともどきを自作してみた

さてそんな福岡のソウルフードおきうとであるが、他地域にも似たような食べ物が存在する。
これは、原料のエゴノリという海藻が比較的身近なものであったことが理由の一つだろう。

エゴノリ(google検索結果)

エゴノリは寒天原料として有名なテングサ類とおなじ紅藻類に含まれる海藻で、潮間帯に生えており容易に採取できる。
テングサやエゴノリのみならず、紅藻類には寒天のように煮ると固まる性質があるものがいくつか存在するらしい。

テングサ類はその商品価値の高さから、全国的に漁業権のある場所が多いと思われるので、テングサ以外の紅藻類をいくつか採ってきて、おきゅうとのように利用できないかどうか試してみることにした。

 

身近な紅藻類を採取する

先日、友人Hさんの取材の手伝いでオニヤドカリを探しに行った際に、潮の引いた磯際に腰を下ろしてみると、様々な紅藻類が目に入った。

しかし紅藻類は食用海藻が多く含まれる褐藻類と異なり、一つ一つの個体が非常に小さい。
短時間でさっと採集したのだが、実験材料になるほどに集まったのは
オゴノリ
オゴノリ
トサカノリ
トサカノリ
マタボウ
マタボウ

の3種のみであった。
仕方がないので今回はこの3種で実験してみることに。

固まる紅藻を探せ!

この3種のうち、オゴノリとトサカノリは刺身のつまとして市販されたりもする非常にポピュラーな種である。
さらに、オゴノリに関しては安価な粉寒天の主要な原料でもあり、まず成功するだろうという自信があった。

対してマタボウ、図鑑で見るまで全く名前を聞いたこともなく、手触りはガサガサしていて他の海藻のようなプルプルした感じがない。
凝固力はあまり期待できそうにない。

それぞれ、ひたひた程度の水で30分茹でたのち、冷まして固まるかどうかを観察する。
その際凝固剤として酢酸が必要とのことで、食用酢を数滴添加した。
さらにオゴノリには中和剤としてアルカリ(本来は水酸化ナトリウム)が必要らしいのだが、素人にはややハードルが高いので手短に重曹を使用することにした。

実験結果

まずはオゴノリ。
茹でるとすぐに緑色になり、大量に泡が出てしんなりとしてきた。
しかし、型に流して冷やしても固まる気配がない。
やはり重曹では中和力が弱かったか…
寒天度:★☆☆☆☆
次回は水酸化カルシウムでやってみよう。



ついでトサカノリ。
これも茹でるとすぐに柔らかくなったが、冷やしても全く固まる気配がない。
量が少なすぎたか…?
寒天度:☆☆☆☆☆



最後にマタボウ。
30分茹でても見た目にはほとんど変化がなく、枝がツンツンと尖ったままだったが、型に入れて冷ますと…

マタボウ,寒天

ぷるぷるだ!!


固まった!!

凝固力については寒天どころかゼラチンやアガーにも劣り、せいぜいコーンスターチ程度だが、それでもブラマンジェのようなふわふわしたデザート程度なら利用できそうだ。
寒天度:★★★☆☆
一番期待していなかったのでびっくり。

マタボウのおきゅうともどき

さてこのマタボウおきゅうと、お味の方は…

…(・~・)

ちょっと酢を入れすぎたな。

海藻の味がして悪くないけど、やはり多少がさつくというか、海藻が口の中で強く主張するので、エゴノリで作った本物のおきゅうととはかけ離れている。

味:★★☆☆☆
価格:★☆☆☆☆

とはいえ実用価値は高そうなマタボウ寒天、次はもっとまとまった量を採って、テングサと同様に天日にさらしてから寒天分を抽出してみようと思う。

 
 
 

コメント

  1. せつな より:

    残念なことに、いまだにおきうとを美味しいと感じたことがないのです。
    旨いのとまずいのってありますか?
    食べれなくはないんですが、あえて何で?って感じで。

    オゴノリは結局、中毒例の原因も不明みたいだし、一応自己責任ってことにしといたほうがいいのでは。
    まぁ、なんでも自己責任なんだけどw

    • wacky より:

      えーっと、とくに無いですww
      正直なところ、他地域の人にウケる食べ物ではないと思いますね。ほんとに、なんでこれを食べるんだ…?といった感じで。酸っぱいし、心太みたいな清涼感もないし。
      でも、子供時代から食べてると妙に懐かしくなる瞬間があるんですよね

      オゴノリは付着したクサフグの卵で中毒死したなんて説もあるみたいで。。そうすると潮だまりの海藻すべてに共通するリスクのような気が…
      まあ、野食は基本、自己責任としておきたいですね、。

  2. STORM より:

    こんばんは。
    おきゅうとによく似た物に佐渡の「いごねり」があります。
    こちらは「いごぐさ」を使います。アフロヘアーのような紅い海藻でシーズンになると浜に打ちあがるのでそれを地域のおじいちゃん、おばあちゃんが拾って干して業者に買い取ってもらい、おじいちゃんおばあちゃんには孫への玩具へ、海藻は「いごねり」へとなります。
    さて、風味はふんわり磯の香りのきしめん状の前菜ですね。
    おかか、ショウガ、ねぎ等をかけ、醤油で頂きます。
    うまいですよ!おきゅうとが駄目な方に食べて貰ったら、これは旨いと言われましたよ!

    • wacky より:

      STORMさま

      コメントありがとうございます。
      「いごねり」気になってます。一度食べてみたいですね!「いご」「えご」「おご」似ていて紛らわしいですね…

      「いごねり」は「おきゅうと」と似たものなのかと思っていましたが、風味など違うものなのでしょうか。個人的には、おきゅうとを作るときに酢を入れることによる酸味が、食べる人を選ぶ原因になっているのではと思っているのですが…

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA