臭くもなければつまらなくもない、ソウギョでもない?「草魚(クサウオ)」を食べてみた

野食新年会の日、岡山中央卸売市場・豊栄水産の翔さんからLINEが入っていたので見ると「ヘンな魚が来たんで送っときました!明日着です。」との連絡だった。
普段いわゆる「変な」魚ばかり扱っているはずの翔さんがこんなこと言うってことは、相当にヤバいものが来るんじゃないだろうか。


翌日。
ワクワクしながら開けてみると、
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…なんか居るバイ。。

箱から出してみる。
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めちゃめちゃブヨブヨしているが、表皮は意外とざらざら。

ご尊顔。
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タラコ唇がユニークだ。
なんかいたよなこういう漫画のキャラ…
何だっけな…思い出せない…

どあー

どぁー




翔さんにLINEを送る。
これ、ビクニンですか?
「いえ、クサウオです!下北半島から来ました!」

こ…これが、クサウオさんか…!

クサウオは「スズキ目クサウオ科」の代表魚で、50~100mくらいの水深に棲息している。
見た目やこのぶよぶよ感は実に深海魚っぽいが、そんなに深いところにはいないようだ。

ちなみに「ビクニン」はクサウオ科の魚の一種で、ぬるりとした坊主頭を尼僧のそれに例えたものである。


クサウオと聞くと臭い魚なのかと思えるがそうではないらしい。
ぼうずコンニャクさんのところでは2つの由来が載っている。

1.石川県加賀地方ではつまらないことを「くさい」といい、網にかかるが利用されないこの魚のことを「くさいうお」と呼んだ
2.草色をしているから

1の方は非常にしっくりくる説だが、石川の方言を調べてみると、つまらない・くだらないに相当する言葉は「だらくさい」「たるくさい」で、「くさい」の部分のみを取りだすのはやや違和感がある。
おもに福島周辺で食用にされている魚なのに、石川の地方名が正式和名になるというのもどうなんだろう。

2の方は…うん、まあ草色の個体もいるんだろうけど、シンプルに考えたら灰色じゃないですかね。
どちらかというと腹部の鮮やかな黄色が目につくと思うが、なぜ草色に比定するのだろうか。

 

クサウオを生で食べてみた

福島の原釜漁港は、産卵期になるとこの魚が大挙して網にかかるため、よく利用されるのだそうだ。
水揚げされたクサウオは頭を落とし、皮を剥いて出荷されるという。

やってみよう。
まず頭を落とし、お腹を出すと
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お、卵巣。

タラコとトビコの中間ぐらいの小粒な卵で、生で食べられることもあるというが…

…(・~・`)
ちょっと渋いなこれは。
近い仲間なのかはわからないが、ごっこ(ホテイウオ)のそれに似ている。
湯洗いしてから醤油に漬ければ美味しくなりそうだが、味の予測がつくので今回はやらない。


断面の皮をつまみ、やさしく引っ張ってみると…
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めっちゃ簡単に剥ける。
ここまで簡単に皮が剥ける魚は初めてだ…!

身と皮の間にあるゼラチン層がとても柔らかく、膠の役割を果たしていない。
皮もゼラチンがスゴそうだが、手触りがざらついており美味しそうには思えない。
これは捨てでいいかな。


ゼラチン系フィッシュの代表格ノロゲンゲと比べると、上下のヒレの骨がしっかりとしている印象を受ける。
これを切り落とし、
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適当に背越しにして、ポン酢ともみじおろしで食べてみた。
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…(・~・´)
うん、これはなかなか面白い。

身質は意外にももちもちしていて、寒天っぽい見た目とは大きく異なる印象だ。
うまく例える言葉が見つからない。
ゼラチン質は多いがスポンジ状でもあって、ポン酢が美味く絡む。

ポン酢の味が料理の味を決めてしまいそうだが、それ以上に食感のインパクトが強くて面白い。
旭ポン酢で食べたら絶品だった。

身の軟らかさに対して中骨が意外としっかりしているので、無理に食べずに出したほうがいいと思う。
この辺はさすがカジカ亜目と言ったカンジか。

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆



ゼラチンの多い魚なので鮮度が落ちたらとても食べられない料理だと思うが、今回のものは臭みもなくサイコーだった。
下北半島から岡山を経由して川崎に来た魚が鮮度バッチリってすごいな…
翔さんいつも本当にありがとうございます。

やっぱり汁物は美味しい

残ったアラともう1匹は、オーソドックスな汁物にしてみた。
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まずはシンプルな味噌汁
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…(・~・*)
身体温まるぅー
身はほろほろ、出汁はそこまでコクは無いがほっとする味だ。
肝と卵がマジで美味しい。
これが無かったら平凡だな。

味:★★★☆☆
価格:★★★☆☆

続いて醤油とみりんで味を調えたもの

…(`~´*)
あー、個人的にはこっちの方が好きだな。
味噌よりも醤油の方がこの繊細な身質に合っているような気がする。
むかし小樽の市場でおばちゃんに教わった「ごっこはゼラチンだから醤油!八角は脂だから味噌!」の定理がここでも当てはまった。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

基本的にゼラチンぷるぷるの魚はどれも美味しいとは思うんだけど、鮮度落ちが激しすぎるので産地での消費が基本になってしまう。
クサウオを食べるなら福島まで行くか、吉池まで廻ってくるのを根気よく待つかしかなさそうだ。

翔さんいつもありがとうございます!
また変なのあったら送って下さいね!

瀬戸内のマイナー魚が食べたい!という皆さんへ

このサイトでマイナー魚を取り上げはじめてから、「自分も買ってみたい!」「通販はないの?」という声を多くいただくようになりました。

翔氏がお勤めの「岡山市中央卸売市場 豊栄水産株式会社」では、個人からの注文や鮮魚の発送も承っているとのこと。
(※2015.11.20注※現在、豊栄水産さまではクロネコヤマトの代引き決済システムの登録申請中とのことです。個人のお客様については、代引きが利用できるようになってからのご注文をお勧めいたします。使えるようになりましたらこのサイトでもお知らせします。)

興味がある、という方や聞いてみたいことがある方は、このサイト(ブログ)右列のコンタクトフォームからご連絡いただければ、取り次がせていただきます。

もちろん、直接以下の連絡先に問い合わせいただいても大丈夫とのことです。
(営業時間は市場に準じるので、10時~17時、21時~1時の間は電話をお受けできないことがあるそうです。)

岡山市中央卸売市場 業務用水産物卸
豊栄水産株式会社(ほうえいすいさんかぶしきがいしゃ)
086-265-8800
定休日:日曜・祝祭日、隔週水曜(市場の定休日に準ずる)

「野食ハンマープライスを見た」「翔さんをお願いします」と言えば話がスムーズに行く…かもしれませんw

 
 
 

コメント

  1. doiken より:

    この子、ジャージャービンクスですよね。

  2. wacky より:

    いやーあんなには嫌われてないと思いますよ…!w

  3. ストロンガー より:

    はじめまして!
    いつも楽しく拝見しております。

    今回の魚は、馴染み深いので思わずコメントさせて頂きました。

    私、原釜漁港のある相馬市出身なのですが、当地では『どんこ』と呼ばれており、とてもポピュラーな魚です。
    震災以降は、食べる機会も少なくなってしまいましたが…

    この魚、汁物や煮付けも美味しいのですが、塩焼きや干物も美味しいですよ(^^)

    皮も美味しく頂けますので、また食べる機会があれば、ぜひお試しください!

    • wacky より:

      コメントありがとうございます!

      そう、調べてみても「原釜漁港以外では珍重されない」みたいに書いてあるんですよね。
      宮城以北でも水揚げはあると思うんですが。。
      そして安定の「どんこ」…日本中で「どんこ」と呼ばれる魚はどれくらいいるんでしょう(^^;)

      皮付きの干物や塩焼きは一度やってみたいですね!

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