加熱調理すると突然海老に化ける魚「ベニテグリ」

先日、ペンさんから「面白い魚が手に入ったんですけどお分けしましょうか?」というありがたすぎる連絡があった。
築地の馴染みの仲買さんに珍魚を扱うお店があり、そこで購入されたそうだ。
豊洲移転後もぜひ続けてほしいお店である。

で、いくつかの魚種をいただいたのだが、その中で一番うれしかったのが

ベニテグリだ。
「手繰り網(底引き?)で採れる赤い魚」という意味らしいが、生息域は200m以深の深海なので手繰ってくるにはちょっとしんどいと思うのだがどうだろうか。
天ぷらで有名なメゴチことネズッポの仲間で、浅海に多いこの種の中では珍しく深い場所に棲む。

そもそもメゴチ型の外見をしているのに派手な色合い、ぼうずコンニャクさんによると味も良いとのことでいつか出会いたいと思っていた。
戸田や沼津など深海魚が多い場所では目を皿にして探してきたのだが、今回こういう形で出会えるとは、やはり持つべきものは珍魚好きの友人であるといわざるを得ない。

 

ベニテグリを捌こう

まずは観察をしましょう。

真っ赤なボディ、風を切りそうな流線型に


派手な黄色の縞入り背鰭。
さぞかしスピード狂なのだろうと思えるが、実際はネズッポ、普段は海底で鰭を立て、のんびり餌を探しているようだ。

深海釣りではどうしても太い糸にごつい針を使用するので、こういう深海底に棲む小魚と釣りで出会う機会はほとんどない。
僕はいつもこういう魚と出会いたくて細い枝針をつけているのだが、たいてい深海アナゴにやられてしまう。


捌き方はネズッポと同じで良さそうだ。
まず、背鰭の後端に包丁を入れて基部から漉きとるように頭部に向かって切り離す。
頭の後ろで包丁をたてに入れて背骨を切り、胴体側の背骨を包丁で押さえながら頭部を持って引っ張ると


靴下を脱ぐように皮が引ける。

棘に注意

ネズッポ類は皮に独特の風味があり、天ぷらなどにするときは皮つきを好む人も多いのだが、個人的には皮のちょっと硫黄っぽい臭みが苦手なのもあって皮は剥いたほうが好きだ。
この辺りは好みによって調整されたい。

ベニテグリ、調理すると突然エビに


背骨に沿って身を切り、尾鰭でV字型につながった「松葉開き」にする。
腹骨もそいでおいた方がいいだろう。
ネズッポと比べると身の厚み、ふくらみが段違いで、全長が同じ個体でも体積は2倍近くあるのではないかと思わせる。
身質もネズッポ並、いやそれ以上に弾力があってプリプリしているかもしれない。

この肉質はやっぱり天ぷら向きだろうな。
ということで小麦粉と水だけで簡単な衣を作り、180℃の油でからりと揚げる。

1匹だけは開きにせず、塩こしょうをさっと振って塩焼きにしてみた。


完成。
……あれ、ワイ、エビを料理してたっけな?

加熱すると皮下の組織の赤色がグッと際立ってきて、まるでブラックタイガーの天ぷらそっくりになった。


塩焼きの方は衣がない分いっそう色が濃く、尾鰭を切ってから知らない人に見せたら8割くらいの確率で「エビですか?」と言ってくれそうな見た目に仕上がった。


味の方はどうか。

いただきマース

……Σ(`・〰・´;;*)
こ、これは……エビ!!
加熱しても繊維がほどけにくい身質をしていて、ゼラチン質も多く食感が完全にエビのそれになった。
味も素直な白身で、衣の嵩増しのために切れ目を入れて揚げられたエビの天ぷらよりもはるかにエビらしさが強い。

これは抜群に面白いし、また美味しい。


塩焼きもめっちゃエビやんけ……!!
小骨もないし、エビに化けるために生まれてきた魚のようにすら思えてきた。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆



天ぷらにするとエビに化ける魚としては、同じくやや深めの場所で獲れる「ヒメコダイ」が有名だ。


今回、吉池で見かけたので調理して比べてみたけども


……うーん(´・ω・`)風味はエビっぽいけど、申し訳ないが身質はそうでもないですわ。
血合い骨が硬いしね。
サクに切り出してから軽く干して、水分を飛ばしてから揚げたらワンチャンあるかしら?


みんな、ベニテグリを見かけたらぜひ天ぷらにして食べてみて!
マジでびっくりするから!!

 
 
 

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