どこの海岸にもある野良サボテンで、かつて一世を風靡した「トルコ風アイス」を作ってみた

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先日、お仕事でとある島に行ったのですが、そこの海岸ぺりにサボテンがたくさん生えていました。


庭木としても人気の高いウチワサボテンですね。間違いなく日本在来種ではないのですが、千葉県より南の海沿いには大体生えているように思います。


このウチワサボテンがちょうど実をつけていたので、いくつか持ち帰ってきました。

果実表面に生える微細なトゲが刺さるとひどい目に合うので、採るときはトング的なものがあるといいですね。今回は持ってなかったので軍手が1対犠牲になりました。。

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サボテンの実は美味しいけど使いづらい


ウチワサボテンの実は美味しそうな紫色に熟するのですが、実際結構美味しいです。

ジューシーな液果で、ドラゴンフルーツがもうちょっと酸っぱ甘くなったような感じ。
野生のものは種子がちょっと大きくて硬いのですが、種をぷっぷっと吐き出しながら食べれば大した問題ではありません。

ただ……これらの魅力をもってしてもかなわないいくつかの「厄介なところ」があります。
一番大きい問題はやっぱりトゲ。

サボテンだけあって果実の表面にも細かな毛のような棘がびっしり生えており、皮膚に刺さると異常にチクチクします。口に入ろうものなら数日は苦しむでしょう。

そしてもうひとつは果汁のネバネバ
多くのサボテンにはムチンというネバネバ物質(最近の研究で植物のネバネバにはムチンが含まれていないということが分かっているらしいです、情報古く失礼しました)がたっぷりと含まれており、果実も未熟なうちはかなりネバネバします。完熟するとねばつかなくなるのですが、外見からはよくわかりません。
初めて食べたときはあまりのねばっぷりに「酸っぱい鼻水やんけ」というひどい感想を抱きました。


今回も持ち帰ってはきたものの、未熟なものが混ざってるのは間違いないでしょう。
どうしようかな、ほっときゃ追熟するかなぁと考えていたのですが、ふといいアイディアを思いつきました。

ドンドゥルマ作れないかな

10年ほど前に流行した、トルコ風アイスことドンドゥルマを覚えているかたはいらっしゃるでしょうか。トルコの兄ちゃんが屋台で売り、客をいじって遊ぶことで有名になったあれです。

ドンドゥルマの特徴は「非常に粘りがある」こと。本場のものは1m以上も伸び、非常にねっとりとした独特な味わいが人気の元です。

あの粘りですが、調べてみると「サーレップ」という、ラン科植物の根っこから採った多糖類によってもたらされているのだそう。サボテンの実のネバネバでも、ワンチャン代用が効くかもしれません。ちょっとやってみることにしました。

サボテンの実でドンドゥルマ作ってみた

まず、厚手のゴム手袋を装着し、サボテンの実を流水で洗いながらこすります。これで表面の棘を取り去ることができます。
皮を剥き、スライスして

グレムリンを電子レンジで爆発させるシーンを思い出した


ミキサーに。


……意外と完熟のものが多くて、粘りが少なかった。。。
そこで、一緒に採ってきていた

ウチワサボテンの葉も使うことにします。


こちらはカットするだけで非常にネバネバが出ます。青臭さが強いので入れすぎないよう注意しつつ、果肉とブレンドすると


できた! ネバネバサボテン果汁!

これを


市販のバニラアイスとブレンドし


冷凍庫で凍らせます。
ときどき取り出しては練って、また冷やし……を数回繰り返しましょう。


取り出して今一度よく練り、器に盛り付けたら


できた! ウチワサボテン味ドンドゥルマ
めちゃめちゃ人工的な色味をしていますが、完全に天然の色素です。服につくと一生取れないのでご注意を。着色料なんかにも使えそうですね。

いただきまーす
……(`・〰・´)ふーむ
味は悪くないですね。バニラアイスの甘ったるさとサボテンの酸味が良く合っています。ブルーベリーアイスなんかに似てるかな。
懸念していた青臭さはほとんど感じませんが、種が歯にあたるのがちょっと面倒です。

そして、期待していた粘りはというと……残念ながら物足りないですね。
添加したサボテンエキスの量自体はさほど少なくはなかったと思いますので、もしかしたら冷やすと粘性が失われてしまうタイプのものだったのでしょうか。
あるいは前述のサレップにはでんぷん質も多く含まれるということなので、ドンドゥルマのあの粘りを再現するにはでんぷん質も添加しないといけなかったのかもしれません。


ただ、このくらいの粘りと明るい色味、酸味の立ったバランスの良い味わいは「ジェラート」と考えれば完成度は非常に高いです。
粘性のおかげで0℃近くになってもなかなか溶けださず、練れば練るほど空気を纏いふっくらと仕上がります。イタリア人に食べさせても美味しいと言ってくれるんじゃないでしょうか。

味:★★★☆☆
入手難易度:★★☆☆☆ 海岸歩いてると結構見つかります


繰り返しになりますがトゲの扱いだけは細心の注意を払ってください。見た目は産毛みたいだけど、殺傷能力はめちゃ高いです(;´Д`)

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植物
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野食ハンマープライス

コメント

  1. でこ より:

    北国住まいなので海岸にサボテンが自生していて実までつけることに驚きました…珍フルーツ好きなのでぜひ食べてみたい…!
    レッドドラゴンフルーツとほぼ同じくらい果肉が赤いですが、栄養素的にも近そうですね。
    抗酸化作用の高いベタシアニンが含まれてるならスーパーフルーツとして注目集めそうですが…!

    • 茸本 朗 より:

      たぶんアントシアニンやらなんやらの抗酸化成分は含まれていると思うのです。誰か調べてほしいな
      アホみたいに身がなるし有益だなとは思うのですが、なにぶん味が中途半端でして(;´∀`)

  2. 池田剛士 より:

    (訂正報道新着)高橋書店『野菜の便利帳』シリーズについて

    学術秘書
    池田です。

    ご承知おきください。
    https://www.takahashishoten.co.jp/correction/26290/
    https://www.takahashishoten.co.jp/correction/11530/

    では。

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    代表取締役社長 池田剛士(携帯:09041347927)
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  3. うらやま より:

    いつも楽しく拝見させて頂いております。
    文中、疑問が一点ございます。
    いわゆる「ムチン」は動物のみ保有していると思っていました。私が知らないだけで、サボテンも「ムチン」と呼ぶのが一般的なのでしょうか?

    • 茸本 朗 より:

      ぼくの記憶が古く、間違いに気づいておりませんでした。ご指摘ありがとうございます。

  4. イワトコナマズ より:

    サボテンの粘り成分はサポニンではないでしょうか?
    https://ja.wikipedia.org/wiki/サポニン

    ちなみにサボテンという名前もこの成分の
    界面活性効果に由来するようです
    https://ja.wikipedia.org/wiki/サボテン

    情報源がWikipedia のみで申し訳ありません。

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