先日、野食会にご参加頂いたことのあるgin&itさんから「マンタ肉食べませんか?」というご連絡をいただきました。
マンタ肉!? 一体どうやって手に!!?
「定置網に入ったものが売られていて、3kgほど購入したんです。」
えっそんなことあるの!? と思ったんですが、調べてみるとマンタ(イトマキエイ類)のなかでも最小のものであるヒメイトマキエイは日本近海にも多く、しばしば定置網にかかるそうです。
これまでいろいろなエイを食べてきた茸本、
このチャンスを見逃すわけにはいかぬと二つ返事でお願いしたのです。
マンタ肉食べてみた
そして届いたのがこちら。
結構なサイズですよこれ。
ヒメイトマキエイも、ヒメといえど最大で2mになるといい、さすがにマンタの眷族だなぁと思います。ちなみにマンタは最大で9mになるそうです。化け物だ……
こちらは裏側。
こんなに大きくなる魚ですが、基本的にはプランクトンを食べているそうで、いつも食べている魚食性のアカエイとの違いが気になります。
断面赤黒っ!!
アカエイもまあまあ赤み強いですがここまでではないです。遊泳タイプのエイなので瞬発力系速筋(白筋)より持続力系遅筋(赤筋)が発達しているのでしょうか。
筋繊維もバキバキです。
三枚おろしにすると筋が目立ちます。生だとちょっと歯に障るかもなぁ……
皮を引くとまるで馬肉のようです。
とりあえず平造りにして
刺身で食べてみることにしました。エイの刺身を好む韓国風に、コチュジャンで食べましょう。
ちなみに韓国語で刺身のことをフェというので、この料理はマンタフェということになります。
宮沢りえを思い浮かべた人は全員オッサンな。
— 茸本 朗(たけもとあきら) 「野食ハンター茸本朗ch」公開中!! (@tetsuto_w) September 8, 2022
味は……やっぱり筋が硬い(;´Д`)エイ特有のアンモニア的な臭みは全く無いですが、旨味もなくあんまり魅力的ではありません。
やっぱり加熱調理がよかろう。
ということでカリッとあげてみました。
マンタの唐揚げです。
これは……美味い!!
身質はマグロとシカの中間で、魚の風味がありながらもまるで哺乳類のような強い弾力と繊維感があります。そして件の筋が加熱でとけてねっとりとしていて、まるで鶏肉のような感じもあります。
エイは加熱すると塩化アンモニウムのような独特の苦い後味が出てしまうのですが、マンタの場合はそこまで強くはないです。ただ連れはちょっとクセがあるねと言っていました。
なのでもう一つは煮付けに。クセを完全に消すべく、味噌と砂糖をしっかり入れます。
マンタの味噌煮です。土手煮的な味付け。
……🤓完璧!
肉質と筋のトロミが合わさり、牛すじや豚の角煮みたいな味わいになりました。たぶんこれが正解でいいんだろうなと思う。
マンタのような大型エイは世界的な乱獲などもあり数を減らしているようで、我が国では狙った漁業は行われていません。
今後も他の魚を狙った漁にかかってしまったといった場合でしか流通する機会はないと思いますので、是非食べて! とは申しませんが、もし手に入ることがあれば迷わず食べてみられることをオススメします。
大変美味しかったです!! gin&itさんありがとうございました!
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