カコボラの強烈なヌメリに酢が抜群に効いた件

キノコ狩りをしていると、時に自分でも不思議なくらい次々とキノコを見つけられることがある。
また、キノコに詳しい学者さんでもキノコ探しは大の苦手だったり、初めてキノコを狩る人間があっという間に見つけてしまったりという事はよくある。
これらの現象は一般的に「きのこ目(め)」によるものとされていて、それを備えた人間とそうでない人間は、キノコを見つけ出す能力に圧倒的な差が生じる。
ときにシックスセンスを感じさせるほどの猛者も存在する。



さて昨晩、僕は例によって、磯とテトラポットの隙間を懐中電灯で照らしながら探し物をしていたのだが、始めて一時間ほどで目当てのものを見つけた。

カコボラ

相変わらずもじゃもじゃ


カコボラだ。

この磯に来慣れている達人、「ざざむし」のせつな氏をして「そんなに居たっけ?」と言わしめるレアものだが、2回の挑戦で2個目の発見となった。

写真の通り非常に毛深く、苔むした色合いは保護色となりテトラポットの色や牡蠣殻と同化する。

カコボラ

どこにいるかわかるかな?


おそらくこの「保護色」とか「同化している」というのがきのこ目の発動条件のようで、落ち葉の中からトガリアミガサタケの幼菌を見つけるがごとく、テトラの背面にいるカコボラを見つけることができた。

殻の口を見るとすぐにわかるんだけどね。

カコボラ,殻口

ここだけえらく派手なんよね


ちなみにこれを採るときにメガネがテトラの隙間に落下して、3月だというのに右半身と頭をダイブする羽目になった。
ここまでカコボラに必死な奴みたことない。
カコボラ,採取

パーカー刑事 殉職

カコボラのぬめりに酢は効くのか

さて、今回カコボラを確保した理由は、そのヌメリだ。
ホラガイの仲間は美味しいものが多いが、身のヌメリがとても強烈で、洗い流そうとしてもそう簡単には落ちない。
刺身で食べるためには完全にヌメリを落とさないと臭みが出てしまうが、塩もみを繰り返すのが非常に面倒だ。

しかし、以前のカコボラの記事のコメントで、せつな氏が教示してくれたリーサルウェポンが、その面倒を完全に排除してくれるかもしれない。
「酢」である。

子曰く、タコの下処理に酢を用いたところ、あのしつこいヌメリが、ごく少量の酢であっという間に落ちたのだという。
人によっては洗濯機で洗うとまで言われるタコのヌメリ取りにそこまで効果があるのなら、ホラガイなんて一瞬ではないか。

ということでさっそくトライしてみることにした。

カコボラを捌く

捌く、なんて言っておきながらその下処理は極々単純

カコボラ,捌き方

殻がきれいだからちょっともったいないけれども


砕!

前回散々試して分かったのだが、サザエのように殻を割らずに身を取り出すことは、小型のホラガイに関してはまず不可能だと思われる。
身が固く、殻口が小さく、内臓が奥まで詰まっているためだ。

半日ほど時間があれば、酒の上にぶら下げるのを試してみたいのだが、今回はパス。
海辺に酒を持って行って、生きのいいうちに挑戦しないと出てこなさそうな気もするが…

内臓(中腸腺)まできれいに取り出せるが、ここにはテトロドトキシンが含まれているので迷わず破棄。

カコボラ,中腸腺,テトロドトキシン

細心の注意を払って廃棄


どれくらい含有しているのか、気になるけれどとても実験する気にはなれない。
致死量ってことはないと思うけど…

酢、すごい

さて、こうして残った可食部。

カコボラ,料理

動きだしそう


相変わらずミギーのようなブキミ可愛い感じ。
身は非常に弾力があり、ものすごい量のヌメリが全体を覆っている。
カコボラ,ヌメリ

ボールの中でつるつる滑ります


水洗いしても全く落ちない。

半信半疑のまま酢をかけてみると…
カコボラ,ヌメリ,酢
その瞬間、ヌメリが白い膜のように固まり、そしてぺろりと剥けるように落ちた

カコボラ,ぬめり,酢

うおぉ、完全に落ちた


軽く水洗いして触ってみると、まるでスーパーボールのごとき手触りになった。
しわの間まで、きれいにヌメリが落ちている。
ものすごい効果だ…正直、ここまでのものだとは思っていなかった。
これにより今後のタコ、貝類の処理が格段に楽にできるものと思われる。
ウツボ、クロアナゴ、ダイナンアナゴにも効いたら完璧だが、それはまた別の機会に確認したい。

刺身はきれいにできたが…

こうしてきれいになった可食部を縦に割り、

カコボラ,唾液腺,毒

ナメクジのようになっているもの


「あぶら」と呼ばれる唾液腺を除去する。
カコボラ,唾液腺

確かに脂肪っぽいと言えなくもない


ここにはテトラミンという毒が含まれている。

残りの筋肉の部分をサザエのように薄くスライスし、刺身が完成。

カコボラ,刺身

フツーに美味しそう


相変わらず可食部が少ないが、前回と比べるとはるかに上出来である。

さっそく食べてみると、

…(^~^)…Σ(・Ж・;;)
最初は前回同様強い甘みを感じたのだが、すぐに強烈な酸味が押し寄せてきた。
酢が残ってたか?と思っていると今度は強烈な渋み、そして辛みが現れ、のどに強烈にしみる。

慌ててうがいして口をリセットし、今度は足の先端部分だけを食べてみると、やや渋みはあるものの美味しく食べられた。
しかしのどの痛みは翌朝まで残った。

カコボラロシアンルーレット

なぜ今回は渋かったのか、考えられる理由は3つある

1.個体差
せつな氏によると、ナガニシなどの巻き貝類で味の個体差が大きいものがあるそうで、カコボラもそれに当てはまるのではないか。

2.酢によるもの
酢をかけたことで何らかの変化が起き、渋みと辛みが出たのではないか。

3.残っていたヌメリによるもの

このうち3に関しては、前回の方が間違いなくヌメリが残っていたので可能性は低い。1と2については次回採取できたときにまた試してみたい。
ただ、足の先端部に関してはそれほど渋みもなく美味しかったので、この個体が食べていたものにより中腸腺や唾液腺の苦みが強く、それが筋肉にも移ってしまったのではないか、と考えている。

美味しい個体は本当に美味しいので、採取リストから外すのは忍びないが、人に食べさせるにはまだまだ研究不足だ。
採取と確認を繰り返し、安全性を高めていきたい。
今後もきのこ目の発動に期待することにしよう。

 
 
 
 

コメント

  1. せつな より:

    貝のあの渋いとか渋辛いやつって、理屈じゃなく体が受け付けないから、一般人には完全に毒物だと思うのです。
    ハズレのない種を狙ったほうが心身に優しいですw

    • wacky より:

      やっぱりダメですかね…w
      美味しいやつはホントに美味しいんですが…
      頑張ってボウシュウボラ採るしかないかな。。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA