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星海社Webサイト「ジセダイ」で
「野食のススメ 東京自給自足生活」
を連載しています!!
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先日の渓流釣りの際に見かけたマタタビ。
果実が付く頃になると、葉の先端寄り半分が白くなるので山のなかでもすぐそれとわかる、と山に詳しい友人が教えてくれた。
奥多摩方面では完熟するのは8月半ば以降らしく、まだ未熟な果実がぶら下がっていた。
初夏には通常果より多いくらい見かけた虫こぶ(マタタビの幼果にはタマバエやアブラムシの1種が寄生し、異常に膨らんでこぶ状になる)は大体が地面に落下していた。
ドリカムの歌に出てくる「こくわの実」ことサルナシがあのキウイフルーツの近縁種であることは最近よく知られてきたが、その2つがマタタビ科に属しているということはまだそれほど知られていないようだ。
マタタビの果実も地域によっては天然のフルーツとして利用されているが、いがらっぽさがありあまり美味しいものではないと聞く(まだ食べたことない)
一方で未熟果は塩漬けや味噌漬けなどで一部では利用されているようだ。
もっとも価値があるとされているのは虫こぶ入りの果実で、木天寥という名前で生薬として尊ばれている。
全体的な印象として、嗜好品というよりは健康増進を期待した民間薬的な扱いを受けているように思える。
ネコに強い影響を及ぼす様子も、薬的なイメージに一役買っているのかもしれない。
今回はこの未熟果と虫こぶを集めて持ち帰ってきた
マタタビの未熟果と虫こぶをピクルスにしてみた
持ち帰ってきたもの。
軽く齧ってみると、未熟果、虫こぶともに青臭さとともに強烈な辛みが舌の上に広がる。
トウガラシやワサビとは違った、カーッと来る刺激。
辛味大根やホースラディッシュに少し近いかもしれない。
なんにしてもこのままでは全く食べられなさそうだ。
それじゃあ塩漬けに…… と思ったが、香りがかなり独特で食べる人を選ぶそうなのでちょっと尻込みした。
どうしようかなと思って冷蔵庫に放置していたのだが、先日別のキノコ好きの友人と話していてその話をしたところ
「ピクルスにしたら刺激も弱まるし、その辛味も調味料的に使えるんじゃないかな」
という妙案が。
それいいね♦
やってみよう。
未熟果、虫こぶともヘタを取って洗い、沸騰した湯で1分ほどさっと茹で、水気を切っておく。
りんご酢と白ワイン、塩、砂糖にコンソメを少し入れて漬け液を作る。
これを先ほどのマタタビにざばっとかけて、ラップをして粗熱を取り、さらに冷蔵庫で冷やす。
完成。
ちょっと皺がより、黄色味がかってピクルスっぽくなった。
虫こぶの方はそれほど変化がない。
市販のピクルスと一緒に盛りつけてみよう。
バーで注文したら400円くらい取られそう。
では、食べてみましょう。
……(・~・)
……うーん独特……
果肉はキウイに似ていて柔らかく、種がプチプチとして口当たりはユニークだ。
一方で味はそこまで強くなく、良く味わおうと意識を集中させると例の辛みがぶわっと現れる。
香りはそこまで強くないが、ちょっと何とも言えない、青臭みとキノコのような菌臭が混ざった様な匂いになっている。
ポテトサラダに乗せてみよう。
……味が埋もれてしまった。
調味料的に使うこともできなくはないが、これはむしろケイパー的にサーモンに添えるのがいいかもしれない。
虫こぶはちょっとエグミが強く、美味しくなかった。



歯ごたえも悪いし
こちらはやはり酒につけて薬用にするのが吉だろう。
味:★★☆☆☆
価格:★★★☆☆
もうちょっと漬け汁の味を濃いめにしてあげたほうが良かったかもしれない。
あるいは塩漬けにして水分を抜いてから酢漬けにしたほうが良かったかな?
漬けたりせずに生のままあの強烈な辛みを活かす方法も考えてみたいものだ。
工夫のし甲斐はあると思うので、また出会えたらいろいろやってみよう。
コメント
マタタビ、生薬として使われるのは知らなかったなぁ。
薄いオレンジに色づいて表面に皺が出てきたぐらいが一番甘いです。
たくさん食べると肛門が痒くなるのは生薬由来でしょうかね。
北海道のマタタビは種類が違うのか葉は橙色~黄色に近い色に変化してました。
むしろ木天寥としての知名度の方が高いようですよ!漢方薬として重要な要素らしいです。。
北海道であればたぶんミヤママタタビではないでしょうか。そちらは葉が黄色くなるそうです。