海藻はフロンティアだ① 海藻の魅力と採取の基礎知識

今更言うまでもなく僕はキノコ好きだ。
もちろん一年中大好きだ。

大好きだが、なにも今の時期(真冬)までキノコだけを追っかけなくてもよろしかろう、という思いがある。
ヒラタケもエノキタケも硬質菌も、ひとつひとつ注目すると非常におもしろいものなのは疑いもないが、春になればアミガサタケを皮切りに沢山のキノコが出てくるのだから。
せっかく四季がある国に住んでいるのだから、我慢せずにそれぞれの季節を楽しんでいたい。
真冬は真冬ならではのおもしろいモノがあるのだ。
そう、海藻とかね。

海藻,オオバモク

ヒジキの仲間「オオバモク」の浮き袋

 

キノコ好きなら海藻も好きになれるはず

海藻はまさに海中のキノコといったカンジで、キノコ好きの琴線に触れるポイントがいくつもある。

特に、秋までなにもなかったところに、冬になると突然現れて、夏になる前に忽然と消えてしまうとこなんかは非常にキノコっぽい 。



キノコよりもイケてることもいくつかある。

まず、だいたいの種が無毒で、美味しく食べられるものも多いということ。
生で食べられるモノから、茹でて乾燥→戻しの工程を経なければならないモノまで種類の差はあるが、何だかんだでだいたい食べられる。
もちろん美味しくないモノも多いが…

次に、必須栄養素「ヨウ素」をふんだんに含んでいる。
これを日々摂取しておけば、メルトダウンや核関連事故が起こっても、慌てて被爆防止のヨード剤を飲む必要がない、と言われている。

さらに、キノコの場合は、採取時に裏返すとナメクジやヤスデがこんにちはしてニュートラルな気分になることがあるが、海藻の場合はウニやサザエやアワビなので非常に楽しい気分になる。(採取はできないが)



もちろん、逆にキノコと比べてイタダケナイ点もある。
もっとも気を付けないといけないのは、キノコと違って海藻は採取してはいけないものが存在するということ。

マツタケでもマイタケのような高級なキノコでも、私用地に生えたもの以外は基本的には採取して問題ない。
それに対して海藻はサザエ、アワビ、イセエビなどと同様に漁業権が設定されており、ものによっては密漁でしょっぴかれてしまう可能性があるのだ。
神奈川県の共同漁業の種類及び時期の一覧
これは僕の住む神奈川県における、地域ごとの漁業権の一覧表となっている。
漁業価値の高い海藻は、漁業権を放棄している地区以外では採取してはいけないことになっている。
これは神奈川のみならず全国的にそうだろう。

ただ、例えばワカメ、ヒジキ、テングサのようなメジャーな海藻ならまだしも、最近高値で取引されるようになってきたハバノリ、三浦方面で特産物として注目されているカジメなんかはぱっと見ただの海藻にしか見えないので、知らずに採取してしまう可能性がある。
コトジツノマタアカモクなどは名前も聞いたことない人もいるだろう。
その地域で細々と食べられてきた海藻類が、町おこしの一環で急に注目され、漁業権対象になることはままある。

意外なところではホンダワラも採取禁止の地域がある。
ホンダワラやハバノリは釣り餌としての需要もあり、そのあたりで漁業権が設定されているのかもしれない。

タマハハキモク,海藻

ホンダワラに似たタマハハキモク。海藻は写真が撮りづらいのも難点か?


いずれにしても、まずは自分の住む地域の漁業権一覧を入手し(ウェブで公開しているところが多い)、採取禁止の海藻をネットや書籍で頭に叩き込んでからフィールドに出かけるのがオススメだ。
毒キノコを見分ける力のある皆さんなら、このあたりはきっと問題ないだろう。

海藻採取のコツ

海藻は冬から春がもっとも観察・採取に向いている。
とくに冬は非常に繁茂しているので、専門家は水も冷たいこの時期でも採取を敢行している。
特に真冬は夜中に大きく潮が引くので、潮間帯下部に生える海藻類の観察・採取は真夜中に行うことも多い。

僕もこの時期は会社にウェーダーを持っていき、終業後に磯に直行して観察・採取を行うという「エクストリーム帰宅」の体を取ることもしばしばだ。

月明かりに照らされながら、タイドプールに怪しくうごめく海藻類を眺めている時間は寒さも忘れてしまうほど。

海藻探索は野食のフロンティアだ

海藻はその多くが利用されていないか、されていても地域ごとにごくわずかなものであったりして、インターネットで検索しても利用法や食味が出てこないものが多い。

しかし、千葉県中央博物館の菊池先生によると、「殆どの海藻は茹でて食べることができる」ということで、まだまだ大きな可能性を秘めた食材と言える。

野食界に残された、数少ないフロンティアのひとつと言っても過言ではないのだ。

先週の大潮の時も行きつけの磯に向かい、いくつかの海藻を採取してきたので、今週はそれをバリバリ食べてレポートしていきたい。

 
 
 

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