世界一の養殖魚「サバヒー」を買ってみた

日本で一番養殖されている魚は?と聞かれて、即答できる人は地理マニアだと思う。

漁獲高ベースで言うと、正解はブリ
次いでマダイ、カンパチと続いていく。(「魚介類」というくくりでは1位ホタテ、2位カキ、3位にブリ。海藻も含めるとノリが断トツ。)
もう少し前はヒラメがランクインしていたような気がするのだが、このあたりは日本人の脂好き傾向によるものか。
いずれの魚も魚食魚で成長が早く、養殖に向いている。

では、世界で一番養殖されている魚はどうだろう。
貝ならばカキのように「世界中で食べられている種」があるが、魚となるとそういったものはマグロくらいしか思いつかない。
従って、人口の多い場所で非常に愛されているものが、漁獲高というランキングでは1位になるはずだ。

そしてまさにその条件にあてはまる魚がいる。
サバヒーだ。

サバヒー,アメ横

見慣れているようで違和感のあるシェイプ

 

アメ横センタービルでサバヒーを買う

先日、Hさんとアメ横で魚ウォッチングをしていたときに、冷凍ケースに入っていたBANGOSという魚を見かけた。
サバヒー,アメ横センタービル
袋に霜がついて魚体のようすはよく分からなかったが、30~40㎝ほどのものが3匹で1000円となかなか安い。
袋には「台湾産養殖ミルクフィッシュ」と書かれていた。
和名はなんだろう?とHさんに聞くと「サバヒーではないか?」とのこと。
サバヒー(ぼうずコンニャクの市場魚介類図鑑)
やはり魚のプロがいると話は早い。

店主のオジサンによると、ミルクフィッシュという英名は肉の色に由来し、とくに脂の乗った腹部の筋肉が絶品だとのこと。
期待が膨らむ。

サバヒーを観察しながら捌いてみる

持ち帰ってきたサバヒー。
サバヒー,アメ横センタービル
ネズミギス目という聞きなれない目に属するというが、見た目的にはイワシとボラにニゴイをミックスした大陸的なカンジをしている。
サバヒー,アメ横センタービルサバヒー,調理,口
脂瞼のある眼とへの字型のおちょぼ口はまさにボラ、
サバヒー,アメ横センタービル
びっしりと詰まって並んでいる鱗はトウゴロウイワシやコイ科の小魚のようである。
分類学的にはニシン目に近いそうで、そういわれるとイワシやコノシロと同じ雰囲気を感じなくもない。

この鱗、出刃包丁で取ろうとすれば飛び散って大惨事は免れないだろう。
そこで今回導入したのが

この鱗取り。

せつなさんオススメの逸品なのだが、出刃包丁で剥ぎ取る方法と柳刃包丁で漉き取る方法のいいとこどりといった感じで、きれいに落とせて取り残しもなく、またほとんど飛び散らない。
サバヒー,調理,鱗取り
こんな風に、鱗の下に潜り込んで剥がしてくれるので、5枚刃の剃刀でひげをそった時のように心地よく鱗を落とすことができる。
歯の硬さが絶妙で皮に傷がつかないのもありがたい。

綺麗に鱗を取り去った御姿。
サバヒー,調理
皮のようすはやっぱりコノシロっぽいかもなぁ…

頭を落とし、三枚に下ろす。
サバヒー,調理,三枚おろし
腹腔に脂がびっしりとついて層になっている。
もともとこのように脂肪を溜めこむ魚なのか、それとも養殖ゆえの現象なのかはわからない。

筋肉の色は言うほど白くなく、脂の良く乗ったサバの身に似ている。
冷凍品なのでドリップは出ているが、それほど水っぽくなく適度な柔らかさだ。
やっぱりサバっぽい。
サバとサバヒーは似ている。

サバとサバh(大事なことなのでry)

サバヒー粥を食べてみた

サバヒーは台湾、インドネシア、フィリピンでよく食べられているそうで、各地にさまざまな人気料理がある。
今回はその中で最も手軽、かつサバヒーの味が分かりそうな「虱目魚粥」を作ってみることにした。
これはサバヒーとカキを似たものにとろみをつけ、ご飯にかけた料理で、粥というよりは餡かけ飯に近い。

まず、サバヒーの頭と中骨でしっかりだしを取り、そこにサバヒーと、カキの代わりに大きなアサリを入れて煮る。
アサリ,吉池,巨大
このアサリは吉池で売られていたもので、大きいものは殻幅が6㎝ほどもあった。
あまりの大きさにアサリではないのではないかと疑い、剥き身にしてみたが本物のアサリのようだった。
良く洗って刺身にしてみたら、身が甘く大変美味しかった。(良い子は真似しない)

汁気が減ってきたらカタクリ粉でとろみをつけて、ご飯にかければ
サバヒー,粥,レシピ,完成
完成。

(^~^)…
フツーに美味い。
まさに大衆料理といった感じで、絶品グルメというわけではないが十二分に美味しい。毎日でも食べられる味だ。
ボラに似た見た目と解凍したものという点から生臭みを覚悟していたのだが、ショウガなどを入れずとも全く臭くなく、淡泊ながら良いダシが出ている。
身の味もさわやかで後味にわずかな酸味があり、レモンを入れずともさっぱりとした味わいになっていた。
夏向きの魚かもしれない。

味:★★★★☆
価格:★★★☆☆

冒頭で書いた通り、一般的には養殖に向いているのは肉食魚であるとされる。
成長が早く、また脂がのり味がよくなるので高値で売れるからだ。

しかし、サバヒーの口を見る限りはとても肉食には思えない。
Wikipediaによると、サバヒーを養殖するときはまず米ぬかなどの有機物を養殖池に撒き、藻類や植物プランクトンを育て、それを餌に養殖を行うのだという。
植物食にもかかわらず成長速度は速く、育て続けるとメーターを超えるというが、30㎝を超えたあたりで出荷するのだそうだ。

近年、魚の養殖の是非が問われている。
1匹のブリを肥えさせるために、大量の餌のイワシが必要になるからだ。
しかし草食魚のサバヒーならその心配はいらない。
低水温に弱いという欠点があるが、日本でもこの魚の食用としての利用を考えてみてもいいのではないだろうか。
(日本でも少量の養殖水揚げがあるが、生き餌としての利用がほとんどだそうだ)

さて、あと2匹は和風で食べてみようかな。
なにせサバヒーはサb(ry

 
 
 

コメント

  1. rennzann77 より:

    初めまして
    サバヒーの養殖実験をしている某県在住の野生の大学院生です。
    採集とその調理が趣味であり、偶然にもここへたどり着きました。

    日本一の生産されている養殖魚は授業で習いましたが、世界一については、ピンと来ませんでした。(もしかして大陸の鯉かな?とは思いましたが)

    サバヒーについては、岩波新書の名著「エビと日本人」をよんでみると、現地でどのように扱われているのか?そして歴史は?などなど面白いことが分かるかもしれませんよ。

    ではでは

    • wacky より:

      コメントありがとうございます!
      専門家の方のご意見はとてもありがたいです!

      「エビと日本人」ですね、ぜひ読んでみたいです。
      日本でサバヒーの養殖をされているんですか?
      個人的には結構おいしい魚だと思うので、食用にも流通してほしいと思ってるんですが、可能性はありますか?

  2. rennzann77 より:

    あ、すみません。私は学生です。
    サバヒーを養殖実験しているのは県の水技センターです。書き方が悪かったです・・・。
    サバヒーの養殖は、カツオの一本釣り用の生きえさとして稚魚が試験的にされています。従来のカタクチイワシの供給が不安定らしくて代替魚類として研究されているとか学校の授業で習いました。

    • wacky より:

      なるほど、ということは鹿児島の方でしょうか?
      カタクチイワシと比べれば、どんな魚も丈夫で扱いやすいでしょうし、養殖魚で代替できれば都合がいいですもんね。。
      でも、そのまま食べても美味しいんだからそっちの需要を満たしてくれてもいいのになぁ…

  3. RUMI より:

    差し支えなければアメ横のお店の名前を教えて下さい。是非欲しいです。

    • wacky より:

      店の名前はちょっと失念してしまいましたが、アメ横センタービル地下街の冷凍魚を扱っている店には大体置いてあります。バンゴス、BANGOSと書いて売られていることが多いですね。

  4. わんころ より:

    わりとどうでもいい話なのですが、
    同じアマゾンで、ベルモントのうろことりと富田刃物の仁作 ステンレス製Rスクレーパー キッカケ No.2170が466円で、同じもののようですよ

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